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私
の名前は……
さぁ、今日から君は、この新しい世界で生きるんだ。
「おー!お前さんが俺の新しい相棒かい?」
「えっと……」
「ほらほら、もっと気楽にいこうぜ!」
「はい」
そうして俺は、今度こそ自分の人生を歩むことにした。
「うぉ!?なんだこれ!!おいおい!ちょっと待ってくれよ~」
「え?あれ?ちょっ!!」
「あちゃ~またやり直さないといけねぇのかよ」
「あの、すみません」
「ん?今度はちゃんと聞いてくれよ」
「いえ、その、やり直しじゃなくてですね」
「あんた誰だよ」
「だから俺は」
「名前なんてどうでもいいんだよ!それよりも早く戻してくれ!」
「違うんです」
「はぁ?なにが違うっていうんだよ」
「ここはどこですか」
「はぁ?なに言ってんだよ」
「いや、本当にわからないんですよ」
「わかったよ、とりあえず話を聞いてやるよ」
それから俺は彼に事情を説明した。
「つまりあんたは異世界から来た人間だと」
「そういうことです」
「あぁ~なるほどね」
「えぇ……」
「ん?」
「はい?」
「……」
「あの、先生……何か?」
「あーいや……なんでもないよ」
(……そうだったのか)
「……?それでは僕はこれで失礼いたします」
「うん、また明日」
「お疲れ様でした!」
ガチャッ!バタン!!
「ふぅ……」
さっきの彼の説明だと……
おそらく「恋」とか「愛」に近いような気がするけど……
う~ん……よくわからないな。
そもそもこの症状の原因は何だろうか? 恋愛関係なのか? それともある特定の人物に対してだけ発症するものなのか? あるいは複数の異性を同時に好きになってしまったことが原因なのか? もしくはその両方? それにしても……一体どういう状況でこんなことに……
「あれ……まだ残ってたんだ」
「あ、こんにちわ」
「今日も一人ですか?」
「えぇ……まぁ……」
「そういえばいつも誰を待ってるんですか?」
「え? ああ……恋人だよ。もう何年も会えてないけどね」
「へぇーそうなんだ! どんな人ですか!?」
「ん? そうだねぇ……綺麗で優しくて、ちょっとおバカだけど可愛い子だったよ」
「うわぁ~素敵ですね!」
「ふふ、ありがとう。君もいい子だよね。よくできた妹みたいで可愛いよ」
「あ、ありがとうございます」
「あはは、照れてる~!かわいい!」
「うるさいよ……」
「あっそっかぁ、お兄ちゃんも恥ずかしがり屋さんだもんね?」
「そうだよ。だからあまり大きな声で言わないでくれ」
「わかった。じゃあお口チャックするー」
「よしよし。いい子だ」
俺は妹の頭を撫でた。
妹は気持ち良さげに目を細める。
その表情を見てると、俺まで嬉しくなってきちゃうよね。
「えへへぇ♪」
「それで、今日は何をする? まだ時間はたっぷりとあるぞ」
「んっとねぇ……ゲームしたい!」
「了解。それじゃあまずはソファに座って待っててくれ」
「うんっ!」
元気よく返事をした妹はリビングにある二人掛けのソファへと座った。
そしてテレビをつけると、ゲームのコントローラーを握って待機している。
「ふぅ……」
俺は台所に向かいながら小さく息を吐いた。
よし、ここからが本番だ。
気合を入れろ、俺! 絶対に失敗できないからな。
これからするのは『膝枕』だ。
それもただの膝枕じゃない。
――恋人同士が行うような膝枕をしてあげる。
それが今回のミッションだった。
このミッションを達成するために、俺は一週間前から入念に準備を重ねてきた。
ネットで調べたり、本を読んで勉強したり、妹に直接聞いたりと。
そして昨日、ついに最終確認を終えたところなのだ。