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ある日の体育の授業後、校庭の隅で六葉は友人と話し込んでいた。
すると生徒会長である隷がなぜか生徒会室とは真逆の運動場に現れた。
彼はいつものように完璧な姿勢で、書類の束を抱えていた。
隷は六葉たちの横を通り過ぎる際、突然立ち止まった。
「…おい、六葉」
低い声で呼ばれ、六葉はドキリとして振り返った。
周囲の生徒たちも息をひそめた。
「お、お前は水分補給を怠りすぎだ。健康管理もできない者は、いずれ大きな過ちを犯す」
彼はそう言い放つと、書類の束の陰から、冷たく冷やされたスポーツドリンクを、乱暴に六葉の足元に投げつけた。
それは普段の彼の行動からは考えられない、雑な振る舞いだった。
「これを飲め。…これは、生徒会長として、生徒の健康維持を監督する義務からだ。決して、個人的な感情ではないことを理解しろ」
彼はそう付け加えると、六葉が何か言う前に、顔を紅潮させながら、足早に立ち去っていった。
六葉の友人は、凍り付いたスポーツドリンクを拾い上げながら、目を丸くした。
「あれ…今のって、生徒会長からの差し入れだよね…?」
六葉はその冷たいボトルをそっと抱きしめ、小さく笑った。