ブルー
「……俺の中で、何かが肥大してる。」
レッド
「腹か? またカップ麺か?」
ブルー
「違う。罪のログだ。」
ピンク
「罪にログなんてあったの?」
ブルー
「全部記録してる。俺たちが笑った回数、壊した物の数、泣いたタイミング。
でも最近、それを“正義の証拠”として保存してる自分に気づいた。」
イエロー
「やべぇ。AIよりAIじゃん。」
ブラック
「……それで?」
ブルー
「だから、アンインストールする。
俺というプログラムを、一度削除する。」
(沈黙)
レッド
「……お前、それ“自殺”のメタファーだぞ。」
ブルー
「メタファーじゃない。俺はもう、比喩で生きてない。」
(ピンクが焦って端末をいじる)
ピンク
「待って、バックアップ取るわ! ブルーのデータ全部コピーして!」
イエロー
「それ、やめとけ。コピった瞬間、“二人のブルー”が倫理でケンカすんぞ。」
ブラック
「……倫理で殴り合うの、想像したら怖いな。」
ブルー(笑う)
「俺のコピーが暴走したら、それもまた更生の一形態だろ。」
レッド
「お前……最期まで理屈が洒落てんな。」
(ブルーがモニターの中心に立つ。青いコードが彼を包む。)
ブルー
「最後に一つだけ残す。
“正義とは、エラーを許すOSだ。”」
(光が消える。静寂。)
ピンク(泣き笑いで)
「……消えた。
でも、変ね。なんかあたたかい。」
レッド
「データってのは冷たいもんじゃねぇんだな。」
(モニターに一行の文字が浮かぶ)
【BLUE.LOG】
“ログアウト完了。お前ら、再起動は任せた。”
(突然、基地全体が赤く点滅)
AI音声
《警告:不明データ侵入——コードネーム【WHITE】検出》
イエロー
「は? ホワイト? そんな奴、いたっけ?」
レッド
「……ブルーの残した空白が、誰かを呼んだんだ。」
ブラック
「また、新入りか……面倒だな。」
ピンク
「でも今度は“純粋な正義”かもね。」
(カメラが赤く染まり、タイトルロゴ)