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あまけいです。

苦手な方はブラウザバック。


猿川慧は不意に目が覚めた。まだ目が暗さに慣れていないのかほぼ何も見えない状態で辺りをまさぐる。

やっとのことで手にしたスマホを起動させると丁度深夜三時を指していた。

「…あちぃ」

生憎、茹だるような夜だ。寝苦しいことにも理由が付くわけで。

それに消灯時間前、おなじみの笛を首にぶら下げた理解が

『エアコンをずっと付けていると体調に影響が及ぶだろう!!』

と叫ぶなり勝手にタイマーを設定しだしたことを思い出した。

「チッ…ムカつく」

仕方なくベットから立ち上がり、机の上に置いてあるリモコンを操作する。だがエアコンもそこまで早くは効いてくれない。

再度苛立ちを覚えたがどうしようもないものはどうしようもない。

「はぁ…」

溜息で自身の苛立ちを吐くと不意に喉の渇きが気になった。

(ちょうどいいし、部屋が冷えるまで下にいるか。)

こんな暑い部屋で自分の眠気を待っているより、下でキンキンに冷えた水をがぶ飲みする方が今の彼にとって有意義だ。

そうと決まれば、と。自身の部屋のドアノブを回し、足を進めた。

「あー。んだよ廊下の方が涼しーじゃねぇか。」






「ゲッ!」

「おや」

(おいおい、マジかよ。今日はどんだけついてないんだ、俺。)

猿川慧はリビングについて早々絶望した。

つい先ほどまでは自分の欲望の為、足早に廊下を歩いていたものの。

いざ、ドアを開けてみるとどうだ。自分よりはるかに背が高い、ペットボトルを片手に持ったバスローブ姿の男と鉢合う。

そう。このシェアハウス内で1位2位を争う変態。天堂天彦だ。

「こんばんは猿川君。寝起きの顔もセクシーですね。」

いつもの調子でふわりと笑う彼。言いぐさやらポージングも相まって無性に殴りたくなる気持ちをぐっと拳を握って抑える。

(俺は此奴に相手してる暇はねぇんだよ。水だ水。)

「…邪魔だ。水取るから退け」

「おっと、天彦としたことが。」

やれやれ、というような薄ら笑いで横にずれる天彦に舌打ちをしつつ、ドスドスと無駄に大きい足音で冷蔵庫まで向かう。

慧がラスト一本のペットボトルを手に取ると、何故かシンクにもたれかかっている天彦が声をかけてきた。

「猿川君も寝れないのですか?」

「うるせぇ。お前に言う義理はねぇよ」

「お水を取りに来られたと言う事は暑いのですか。」

「おい。」

「確かに今日はムシムシ…いや、ムラムラしていますからねぇ」

「黙れ」

「アウチッ」

すれ違いざまに一発入れてやると、これまた腹の立つ声で反応をする。

(キメェ…)

心の中でも悪態をつき、再びドアへ向かう慧。もう少しリビングに居るつもりだったが、彼がいるとなれば予定変更だ。

(いい予感が1㎜もしねぇ。)

「ん?もう行ってしまうのですか?」

「あ”?ほっとけ」

「お部屋暑いんでしょう?ならばここでこの天彦とsexytalkといきませんか?」

「死ね」

「ふふ、…君はやはり釣れないですねぇ」

珍しく早々に引き下がる天彦に違和感を感じる。頼りなく眉を下げ自分を見つめる目が、慧にとって鬱陶しくて仕方がなかった。

調子が狂いそうになる中、何もできないまま、只々天彦をじっと見つめる。

(何考えてんだ、此奴)

数秒間目を合わせていた二人だが、意外にもそれを破ったのは天彦だった。

ぱっと視線を外し、それを自身の足元に移す。

妙な気持ち悪さに慧は眉を寄せた。いつもなら『セクシー』やら『エクスタシー』やら。

謎の言葉を叫ぶのに。

そんなことを悶々と考えていると、天彦が口を開いた。

「では僕はもう少ししてからリビングを出ます。猿川君は確か、明日早かったんでしたっけ?」

引き留めてすみません、と軽く頭を下げやわらかい笑顔を慧に向けた。

「おやすみなさい、猿川君。」

(お前の事情なんか聴いてねぇよ。つかなんで俺のスケジュール知ってんだよ!)

そんな言葉を発する前に慧の体が勝手に動き始めた。そのまま自然な流れでダイニングに設置された椅子に座る。

あたかも、『もともと座る気だった』と言わんばかりの顔で。

それどころか持っていたペットボトルの蓋を取り、喉音を大きく鳴らしながら中身を全て飲み干した。

一方天彦はその様子をぽかんとした表情で見ている。

慧は再び天彦を見た。いや、睨みつけた。バチッという効果音が聞こえるほどに。

その迫力にあてられ固まる天彦。何か怒らせただろうかと瞳が不安に揺れる。

ただその硬直も長くは続かなかった。

「俺はおやすまねぇ!!」

しんと静まり返るリビングで慧の声が響く。

「あ、ぁ…そうでしたね、君、ふふ…」

いつの間にか忘れていた慧の性質に笑ってしまう。そうだこの子は”反発のカリスマ”だった。

天彦が先ほど発した『おやすみ』に反応してしまったのであろう。

なのに本人は自分が反抗したことにも大した違和感を持っていない様子。

「本当…、ふふ、っは」

「あ”?何笑ってやがる。」

ここまで来ても理解してない慧にまた笑いがこみ上げる。

「んははは、笑…はー、君は本当にセクシーでキュートですね、笑」

「は?」






「はー、…」

「落ち着いたかよ。」

「はい、ありがとうございます。」

ひとしきり笑い終え、息を整える天彦に不貞腐れた表情の慧が問う。

「君といると本当に飽きませんね。」

「貶してんのか」

「褒めてるんですよ」

「はーぁん」

心底興味なさそうな返事にふふ、とまた笑い声を漏らす天彦。

「そうだ、これも縁と言う事で。やはりどうですか?」

「どうって何が。」

「sexytalkです」

「しねぇ」

「そうですよね。やりませんよね。」

「いぃや、やる!ヨユー!!やってやる、出来る、上等だ!!!」

「猿川君ボリュームを下げ…上げてください」

「んだよ(小声)」

いつの間にか天彦の思うままに誘導される慧。これでは反発なのか素直なのか分からない。

「ここまでピュアだなんて、あぁ、セクシーだ…」

「俺はピュアじゃねぇ」

「いいえ、ピュアでセクシーです」

「意味わかんねぇ」

「それでも結構。猿川君がピュアセクシーだと言う事は天彦だけが知ってたらいいのです。」

「いや、俺も知ってるからお前だけじゃねぇ」

そんな小競り合いをしていく中、時間だけが刻々と進む。

「っあー、もーいいわ!やんならさっさとすんぞ」

「sexytalkですね」

「ん」

「んふふ、では猿川君からどうぞ。僕に究極のセクシーを感じさせてください!」

さぁ、早く!と立ち上がり謎のポーズをきめる天彦に対し、慧は『はぁ?』と顔をゆがます。

「なんで」

「なんでって、ルールが分からないのですか?猿川君…sexytalkに制限などありませんよ。なぜなら君を含め、皆さんのお話は全てセクシーですから」

「ちげーよ。」

「え?」

突っ込みでも反発でもない、単純な否定に饒舌が止まる。

「お前が。話したいんじゃねぇの?」

頬杖を突き、目を細めて問う慧。その疑問は天彦の正鵠を射た。

「…僕が話しても猿川くんはつまらないだけだと思いますよ。」

「は?んだよ。”sexytalk”ならどんな話もせくしーなんじゃねーの。」

「っぐ…」

ついさっき自分が発した言葉が墓穴になるとは…

もう逃げられない。そう悟った天彦は、ゆっくりと椅子に腰掛け、自身の指を絡めた。

「なら。少し聞いていただけますか?」

「聞くっつってんだろ。」

さっさと話せバーカ、と悪態を着く慧にはいと静かに答え、少しの笑みを顔に残しながら口を開けた。


語彙力皆無で申し訳ないです。

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