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1943年齢 6月29日 金曜日
アムステルダム
今日は街に行った、ちょっとだけママに「卵を買ってきて」って言われたけれどどこにもない。まして
ユダヤ人に売る店も。
はやくママに抱きつきたい。
帰り道、兵隊さんがいた。あの灰色の制服。角のとこに立ってて銃を持ったまま笑ってた。
私の顔を見て、すぐに視線が下に降りた。足、スカート…そして顔。何も言われてないのに
胸が痛くなった。「見る」じゃなくて「舐める」みたいな視線。
私は恥ずかしくなって、いや怒ったのかもしれない。自分も分からなくなってた、
とにかく怖くてさっさと帰ってママに抱きついたのは覚えてる。
服を着替える時、着替えたくなかった…あの目が頭から離れない。
1943年7月3日 金曜日
アムステルダム
パパが制服にアイロンをかけてた。袖に赤い腕章ついてる、
アイロンを当てる度、焼けるように苦しくなる。
ママは元気が無くなりあんまり喋らなくなった。朝、昼、夜…ずぅっと窓の外を見てる。
昨日、ママの妹が連れて行かれたって聞いた。パパはそれを聞いても「ルールなんだから仕方ない」
って言うだけ、「仕方ない」って何?
パパの机にはいっぱい紙がある。人の名前、住所が書かれている。
ある時、私は見てしまった。友達のクララの名前があるのを、
私はユダヤの子なの?それともナチスの子?
もう分からない。