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魚を捌いたり加工したりしていると、それだけで結構時間が経ってしまう。
気がつくと午後3時過ぎ。
「そろそろまた釣りに出るのですよ」
「今回はアンチョビ用小魚狙いで行きます」
「出来ればカツオ系が欲しいです」
それぞれの思惑があるようだ。
「なら残って夕飯の支度をしておいてやるよ。だから心ゆくまで釣ってきな。足下が暗くなる前には戻ってこいよ」
「ありがとうございます」
という事で、色々準備して出かける。
今回は北側の岬部分をちょっと回り込んだ先の、岩と浜が両方ある場所にした。
理由は簡単。北西からの風が吹いていて、いつもの場所では仕掛けを投げにくいから。
こっちの浜付近なら、島そのものが風よけになってくれる。
岩場も浜もあるから、それぞれの思惑に合わせて釣れるし。
そんな訳で今日は、僕と彩香さんが大物狙いで浜から遠投。
美洋さんと未亜さんが岩場下狙いの近場投げサビキだ。
例によって、近場サビキは入れて直ぐに絶好調。
いつもの赤っぽいのの他、今日はイワシやサバ系、青物の小物がよく釣れている。
そして大物狙いは、やっぱりなかなか釣れない。
反応がない訳ではないのだ。
ウキは5分に1度は妙な動きをする。
ただ、上げるとエサだけ取られたりする。
小物に遊ばれているようだ。
「何なら、術支援で遠投してみるですか」
未亜さんが助け船を出してくれた。
「お願いします」
ここは素直に頼み込む。
エサをカゴに入れ直し、毛針にも片方は魚の肉片、片方は釣れた小魚をつけて。
僕と彩香さん、1人ずつ未亜さんの魔法のサポートを受けて。
それぞれ100メートル以上という、超遠距離を飛ばした。
「これでエサ取りに負けたら、それも運命なのです」
確かに。
今度はウキに妙な動きは無い。
ただし、波以外に反応が無くなった。
これはやはり駄目かなと思った頃。
彩香さんのウキが、だっと横に走って、そして消えた。
そして僕のウキも、すっと沈む。
大物祭りが始まった。