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私は、治療用ベッドの穴に顔を入れて、うつ伏せになっていた。
今は、私服からパジャマのようなスウェットに着替えている。
部屋の電気が消された時は、若い男性と暗がりで二人っきりになることに抵抗を感じたが、白川先生が「部屋を暗くしないと雨が見えないからね」と説明してくれたので、全てを任せることにした。
いつの間にか、部屋に強いお香の匂いが立ち込めている。
私が「良い匂いですね」と、深呼吸と共に呟くと、「患者さんがリラックスしないと、雨が取り出しにくいんだ」と説明してくれた。
白川先生が「服を少しまくり上げるよ」と言いながら、スウェットの上着を背中が見えるまでまくり上げる。
そして、カチャカチャと金属の触れ合う音と共に、白川先生が再び口を開いた。
「今から雨(う)を通すから、ちょっとチクッとするよ」
咄嗟に「雨(う)って何ですか?」と聞くと、白川先生が「ああ…」と前置きしてから、「僕達は、治療用の鍼を雨(う)と呼ぶんだよ」と説明してくれる。
そして、痛みは感じないものの、身体に何かが侵入してくる不快感に襲われた。
それから、お経を唱えるようなくぐもった声を聞いた瞬間、私の意識はそこで完全に途切れてしまう。