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白山小梅
12
#借金
1,754
「る、瑠維くん……?」
呼吸が乱れ始めた時、春香のお尻の下で瑠維のモノが硬くなっていくのがわかる。
「春香さん……わかりますよね? 僕は春香さんにしか感じないんです。だからあの人の前では使い物にならなかった」
眉間に皺を寄せ、どこか辛そうな様子で笑った姿に胸が締め付けられた。
「で、でも……こういうことをするのは怖くなったりしない? しながら思い出すことはない?」
「春香さんはそういうことを考えている余裕があるんですか? 僕はあなたを前にすると、抑えが効かなくて何も考えられなくなってしまいます」
きっと今も抑えが効かなくなっているのだろう。止まらない手の動きに徐々に体に力が入らなくなり、瑠維の体に身を任せる。
「こんなレイプ同然のことをされた僕でも、春香さんはそばにいてくれますか……?」
「そ、そんなこと、口にしなくていいよ! 瑠維くんは何も悪くないじゃない……悪いのは瑠維くんを傷つけたあの人なんだから……!」
「じゃあ、いいんですか?」
「そんな当たり前のことを聞かないで! ずっとそばにいるって言ったでしょ?」
「良かった……」
すると瑠維の手が突然ぴたりと止まったので、春香は|徐《おもむろ》に頭を上げた。
「瑠維くん……?」
「ただ一つだけ不安なことはあるんです」
「どんなこと? 私に手伝えることってある?」
「えぇ、春香さんにしか出来ません」
「私にしか?」
春香が首を傾げると、瑠維は服の中から手を取り出し、両手をスッと差し出したのだ。
「僕の手足を縛って、春香さん主導のセックスがしたいです」
思いもしなかった言葉に、春香は凍りつき、空いた口が塞がらなくなる。
「ちょ、ちょっと待って。私主導? 意味がわからないんだけど……。それに、そんなことをしたら辛い記憶が蘇るんじゃ……」
「それを知りたいんです。確かにあの時の記憶がフラッシュバックするかもしれない。でももし春香さんと記憶の上書きが出来るのならそうしたい……。もし無理そうなら途中できちんと言います。ダメでしょうか?」
その時、春香は瑠維の手が小刻みに震えていることに気付いた。春香に心配をかけないよう明るく振る舞っているが、不安を必死に隠しているのかもしれない。
言葉で聞いたとしても、春香には想像しか出来ない。急に自由を奪われ、部屋に閉じ込められ、望みもしない性行為を強要され、拒絶しても受け入れてもらえない、助けを求めても誰も来てくれない絶望感。
苦しかったよね。すごく辛かったはずーーもしそれを軽減してあげられるなら、力になりたい。
「……無理だったらちゃんと言ってね」
「もちろんです」
自分からなんて、本当は恥ずかしすぎる。それでも瑠維くんのためになるのなら頑張ろうって思えるのーー。
緊張のせいか、心臓が早鐘のように打ち付けるのがわかる。息も苦しくなってきた。
春香は意を決すると、瑠維をソファの背もたれに押し付け、勢いよく唇を塞いだ。
とはいえ、つい先日まで未経験に近かったのに、そんなことが出来るだろうか。
眉間に皺を寄せながら瑠維のTシャツを脱がせてから、彼の膝から降りて、次はズボンに手をかける。ボタンをはずし、ジッパーを下ろしていくと、彼のモノが先ほどよりも更に硬くなっていた。
これから私が主導権を握らなければならない。瑠維のボクサーパンツを掴みながら、頭がどんどん混乱の渦に巻き込まれてその先に進めなくなってしまう。
「春香さん」
瑠維に名前を呼ばれて、はっと我に返る。
「私、どうしたらいいのかわからないの……」
泣きそうな声でそう言った春香を、瑠維は愛おしそうにぎゅっと抱き寄せた。
「僕は手を出さないので、春香さんが僕としたいこと、僕にしたいことをしてくれればいいんです。いつもとは逆ですね。いつもの僕はしたいことを我慢できないから」
瑠維くんとしたいこと、瑠維くんにしてあげたいことーー考えを巡らせていくと、一つの結論に辿り着く。
瑠維くんが喜ぶことをしてあげたいし、瑠維くんと愛を囁き合いながら体を繋げたい。彼が怖がることだけはしたくなかった。
「春香さん、手足を……」
瑠維がそう言いかけたところで、春香は着ていた服を一枚ずつ脱ぎ、床に落としていく。下着を全て外したところで、瑠維のボケサーパンツも脱がせてしまった。
「手足は痛いから縛らないよ。でも瑠維くんがどうしてもって言うなら……」
春香は自分のブラジャーで瑠維の手を、キャミソールで足を軽く縛った。少し力を入れるだけで外れてしまうだろう。
瑠維は少し不満そうな顔で春香を見たのに対し、春香は不敵に笑った。
「瑠維くんが暴れなければ大丈夫。でも大きな動きをしたらあっという間に取れちゃうから……」
「それでは意味が……んっ……!」
瑠維の上に跨り、貪るようなキスをする。舌がねっとりと絡み合うと、彼がもどかしそうに体を動かし始めた。
甘くて熱くて、今すぐにでも繋がってしまいたいけど、今日は春香が瑠維を快楽の世界に導かねばならない。
キスをしたまま瑠維の胸の頂に指を滑らせ、何度も指で刺激を与える。すると瑠維の顔が上気し、少しずつだが気持ちよさを感じ始めているような気がした。
このまま彼の辛い記憶は甦ってこないで……。私が記憶を上書きするからーー。
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