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ゆゆゆゆ
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最後のキーが打ち込まれた。
部屋に静寂が落ちる。
セブンの指先はキーボードの上で止まり、モニターには完成したコードが映し出されていた。
長い。
複雑だ。
そして何より、美しかった。
Noliが作り上げた異常な設計図。
そこへセブンがさらに狂気を注ぎ込み、生まれた新たな怪物。
二人の才能が融合して生まれた最悪の傑作。
セブンはしばらく画面を見つめていたが、やがて静かに息を吐いた。
「……できたぞ、Noli」
その瞬間だった。
「――ッ!」
Noliが勢いよく立ち上がる。
椅子が派手な音を立てて転がった。
次の瞬間にはセブンの膝の上だった。
「お、おい!」
抗議する暇もない。
Noliは両手でセブンの頬を挟み込んでいた。
瞳が異様なほど輝いている。
まるで神託でも聞いた信者のように。
「最高だ」
震える声。
興奮を抑えきれていない。
「最高だよ、セブン」
Noliは笑った。
息が苦しくなるほど幸せそうに。
「見たか?」
「僕たち、やったんだ」
「誰も作れないものを作った」
「誰も辿り着けない場所に来た」
「はは……っ」
笑い声が漏れる。
だが笑っているのに、今にも泣きそうだった。
「ねえ」
Noliは額をセブンの肩に押し付ける。
「君とならさ」
小さく呟く。
「世界を地獄に変えることだって愛おしい」
セブンは一瞬言葉を失った。
昔からそうだった。
Noliは時々こうなる。
感情が振り切れて。
理性より先に心が溢れてしまう。
「大袈裟だな」
「大袈裟じゃない」
即答だった。
Noliは顔を上げる。
近い。
近すぎる。
互いの吐息が触れそうな距離。
「だって君だぞ?」
真っ直ぐな瞳。
冗談も皮肉もない。
ただの本音。
「僕はたぶん、一人じゃここまで来れなかった」
部屋が静かになる。
モニターのファンだけが小さく回っている。
やがてNoliは画面へ視線を向けた。
完成したコード。
c00lgui。
二人が産み落とした怪物。
「僕たちの子供だ」
嬉しそうに呟く。
「最高に醜くて」
「最高に美しい」
それから再びセブンを見る。
悪戯を思いついた子供みたいな笑顔だった。
「ねえ、セブン」
「なんだ」
「祝おうよ」
「どうやって」
Noliはにやりと笑う。
「キスとか」
「却下」
即答。
「えー」
「却下だ」
「一秒で振られた」
「当たり前だろ」
Noliは大袈裟に肩を落とした。
だが数秒後にはまた笑っていた。
楽しそうに。
心底嬉しそうに。
そして缶コーヒーを持ち上げる。
「じゃあ乾杯だ」
「何に」
セブンが尋ねる。
Noliは完成したコードを見つめた。
モニターの青白い光が瞳に映る。
その顔は狂気的なほど幸せそうだった。
「世界最高のショーの開幕に」
二人の缶がぶつかる。
小さな音が鳴った。
夜明け前。
まだ誰も知らない。
世界を騒がせることになる怪物が、この部屋で産声を上げたことを。
そして何より。
その怪物を生み出した二人が、今この瞬間だけは誰よりも幸せだったことを。