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 一所懸命に慰めている二人と、慰められている一頭の目の前に立ったアスタロトが、背中越しに親指を立てて笑顔で告げる。


『おい! 見てみろよ我のギレスラ! ああなった姿がお前等竜種の本来の姿なんだぞ! ほれ、よこしまだろ?』


 親指が指し示した背後数十メートル、半円状に張られた『反射』の結界のきわには、見るからに凶悪に狂い捲ったよこしま、その物の巨大爬虫類が暴れる姿があった。


 体全体を覆った岩の様に見える物は肥大化した鱗であろう。

 その隙間から勢いよく放出され続けているビーム状の光線は、ここまでの話から察するところ体内で処理しきれなくなった生の魔力に違いない。

 目を細めてみればでっぷりとした体に、細く長い首の痕跡がわずかに感じられ、魔力の発射口辺りは小さな頭部に見えなくもなかった。


 双眸そうぼうを糸の様にしたレイブが呟きを洩らす。


「これってズメイ種? ガイランゲルおじさんと同種、なのかな?」


 信じられない事ではあるが、この小さな声に狂っていた筈のストーンゴーレム、いや、ズメイ種らしい邪竜が反応を見せる。


『ガァッ! ガイ…… ランゲル? あ、兄がこ、ここに? グワッ! グッガァッ! 伝言をっ! 竜王、さま、の…… で、伝言っ! お、鬼王、に…… グガァーッ! ァ……』


「え!」


 なにやら穏やかではない任務を秘めているようだし、どうやら狂い切ってもいないらしい。

 それに錯乱を加味したとしても懐かしいガイランゲルおじさんの身内っぽい発言もしている。


 おののきを感じるレイブの耳にアスタロトの気楽な声が届く。


『見てろよレイブ、あのよこしまな竜、ズメイ種らしいが直に仮死状態になってその後で脱皮するぞ♪ そして無駄な脱皮を繰り返して小さくなってから苦し紛れに進化するからな! 次はルーイン・レッグ種、所謂いわゆる地竜って奴だな、極端に短い足が見物だぞ、くふふふ』


「いやいやアスタさん! あのドラゴンって伝言とか鬼王様とか大切そうな事を言ってるじゃないですか! なんとか助ける事を考えなきゃ、ってか助ける方法を教えて下さいよ!」


『ん? 助けるってアレをか? ふーむ』


 アスタロトは上げていた腕を下ろして胸の前で組み、小首を傾げながら背後のロックジャイアント、いや竜だったな、それに向き直りながら言葉を続ける。


『いやー、あそこまで症状が進んでしまったら元に戻すとか? うーん…… 今のニンゲン、魔術師達がやっている鱗削りと獣奴の魔力吸収位しかやれる事は無いんだよなぁ~、それに二つを施したところで結局――――』


「なるほど! 行くぞペトラ!」


『アイアイサー!』


 ダダッ! × 2

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