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#てらちゅーばー
くもねこ☁
1,942
ゆいらーめん
7
レイヤ「………」
レイヤは本能のままに素早く動いた。
腰に装備された刀を抜き、ライトの力によって放たれた凄まじい攻撃を弾き返していった。
金属音が響く。
ライト「…流石、元戦族天使なだけありますね。
この程度じゃ傷も付きませんか。」
次の攻撃の準備をしようと、手元にまた光を集める。
ライトの能力は天術(※天使の力、主に光)、そして炎といった関連のものだった。
大天使故に他の天使とは違う圧倒的な強さがある。
生まれ持った天性の力だ。
一方で、玲夜はあまり天術が得意では無かった。
主に物理攻撃を好み、他の天使とは違う並外れた運動神経や体力、筋力を誇っていた。
戦族天使という、天使の中の戦闘部隊がある。
レイヤは戦族天使として、実力1位を誇っていた。
が、天術があまり使えないというのは天使の中でも馬鹿にされやすい傾向にあり特別視される事は少なかった。
レイヤ「…ライト……俺は、戦いたくない。
前みたいな事起こしたくないから。
…戦ったって、何にもならないよ。」
レイヤは目の前の攻撃態勢に入った大天使を見詰めて小さく本音を漏らした。
刀は構えている。けれどそれは自分を守る為のもの。
今は、目の前の天使を攻撃する為に構えた刀じゃない。
一切戦うつもりなんて無いのだ。
ライト「…怖気付いているのですか?
もう私は、昔のような弱い天使なんかじゃない。
貴方がこれ以上神を侮辱するのなら…
私は貴方を容赦しない。
たとえ、長年一緒に居た仲だったとしても。」
空いた方の手で、自分自身の天使の輪っかを掴んだ。
それを頭の上から外し、縦に強く振り下ろす。
すると、天使の輪っかが鋭く美しい剣へと変化した。
あれは、ライトだけの剣である。
この世に1つしか存在しない剣。
天使の輪っかを自身の武器にすることが出来るのは、特定の選ばれた天使にしか出来ない。
ライトは何処までも完璧だった。
元が良すぎたのだ。
だからこそ、今でも完璧が求められる。
それが当たり前となってしまったのだから。
レイヤもまた、先程から使っている刀がそうだ。
天使の時に自身の輪っかで生成できた、レイヤだけの刀。
堕ちてしまった時に、輪っかは刀へと変化して二度と天使の輪っかへと戻らなくなってしまった。
それでも、武器として一緒に共にできたのだ。
レイヤはこの刀をいつまでもずっと愛用している。
レイヤ「…ライト……!!
もう、辞めよう。こんなこと…
まだやり直せる、きっと。
一緒に逃げよう?
あんな、”偽物”の神様になんて従う理由も、必要も無い!!
だから…!!」
刀を下ろし、ライトに向けて手を差し伸べた。
でもそれは、反ってライトを激怒されてしまう。
ライト「”偽物”だなんて…言うなッ!!
貴方はッ…何も知らないくせに!!
何も分からないくせに!!」
それは、ほぼ現実逃避に近いものだった。
一見すると、神様に対する侮辱に激怒した様に見える。
が、ライトの心境は少し違った。
自分も何処かで、今の現状に疑問を抱いていたのだろう。
けれど、それは神様の支配によって許されなかった。
抱く事すら駄目なのだ。
自分が何故ここまでして神様に尽くすのか。
偽物だとハッキリ意識してしまえば、自分が神に対する信仰心を失ってしまう。
それは神に背く行為だ。
自分がどうなるか分からなかった。
消されるかもしれない。
怖い。
ライトは静かに、剣を自分の真上に強く放り投げた。
ライト「神よ…身の程知らずの若き天使に 、この手で制裁を下すべくその尊き力を我に与えよ。」
両手を繋ぎ合わせ、祈りを捧げるように目を閉じる。
天術ならではの詠唱が存在する。
詠唱の言葉自体に決まりは無かった。
必要なのは神に対する強い信仰心と、決意。
それを唱え終わったライトの前には、自分の体の倍の大きさの魔法陣が召喚され、中心にライトの光が吸い寄せられていく。
力の源。
ライトの光が集結すると、それは巨大な光線となってレイヤに放たれた。
レイヤ「…!」
後ろに高く跳んではそれを避ける。
が休んでいる暇など無かった。
先程の光線が今度は6つに分裂し、様々な方向から飛び交う。
当たれば無事では済まないだろう。
ほぼ破壊光線のようなものだった。
それ程天使の力は偉大であり、恐ろしいものなのである。
レイヤは体を捻らせたり高速で動いたり、刀で弾いたりと最低限の動きで攻撃をかわしていく。
ライトはそれを見ながら、自分の真上に落ちてきた先程の剣をタイミングよくキャッチする。
そして隙を狙った所で一気にレイヤの方へと飛んで行った。
剣を構え、思いっきり振り下ろす。
レイヤ「…ッ」
目の前に現れたライトに対応し、刀を構えて剣の攻撃を防ぐ。
金属の音が鋭く響いた。
ライト「今ここで、神にその身を捧げると誓うのなら…
私が特別に許しますよ。」
剣を強く持ち、レイヤの刀を押しながら、誘うように言う。
ギリゞと金属同士が押し合う音が微かになっている。
レイヤ「絶対、嫌だ。」
ハッキリとそう言い張ると、ライトの剣を押し返し、後ろに跳んで距離を取る。
ライトは目を細め、静かに降りてその足を地に着けた。
翼がライトの背中の中にしまわれる。
ライト「…もう少し賢明な判断をしては?
命を一つ犠牲にする前に。」
レイヤに少しながら苛立ちを覚えながら、距離を詰めて剣を振るう。
レイヤ「………」
刀で弾き返したり、防いだり。
だがライトからの怒りの猛攻撃を反撃もせず受け止め続けるのは少々体の負担が大きかった。
ライトを傷付けたくない。
だからこそ攻撃が出来ず避け続けるか受け止め続けるしか無いのだ。
普通に戦う時より、精神と体力を消費するだろう。
ライト「さぁ…今!!そのプライドを捨てて…
神に、忠誠を誓いなさい!!」
体の急所を的確に狙いながら、レイヤを物凄い勢いで押していく。
レイヤは攻撃を防ぎながらも、最低限の距離をとる。
もう、ライトを傷つけたくない。
傷付けたくないのに…
レイヤ「…ッ”」
レイヤの刀は、ライトの剣を強く弾いた。
空高く舞い上がった剣は、近くの地面に落ちて突き刺さった。
ライト「……はっ…?」
気付けば手元の剣が無くなっていた。
視界の端に、地面に突き刺さった剣が映る。
そしてゆっくりとレイヤを見た。
目の前に刀が迫る。
一瞬、呼吸を忘れた。
時間が止まった気がした…だが、それはあっという間に動き出す。
視界はぐらんと動き、一瞬見えたのは満天の星空。
背中に強い打撃が走った。
少し顔を歪めるが、細めた瞳をゆっくりと開いた。
目の前には、いや、正確には自分の上にレイヤが馬乗りになっていた。
顔のすぐ真横に刀が地面に突き刺さっている。
レイヤのもう片方の手が、ライトの胸倉を掴んでいた。
ライト「………」
ゆっくりと瞬きをした。
状況を理解するのに少し時間がかかってしまう。
する前に、レイヤが口を開いた。
レイヤ「……分かんないよ。
ライトが今まで、してきた努力も…
自分を犠牲にして、無理するとこも。
ライトは、自分の事どうでも良いとか…思ってるの?
神の操り人形なの?
彼奴に死ねって言われたら死ねるの?
いい加減気付いてよ。
あれは…神様じゃない。
あんな、醜い欲望の塊は…到底神様とは程遠い。 」
醜い欲望の塊。
ライトが見ていた、崇拝なる美しき神は…
決してその様な神聖な姿では無かった。
血肉で固められた…神様とは程遠い、幾つもの目を持つ恐ろしい姿を持つ。
もう、ライトはほぼ洗脳されていたのかもしれない。
あの事件以来から。
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