テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ピーポー! ピーポー! ピーポー!」
鼓膜をつんざくサイレンの音が、脳内で反響する。 赤色の回転灯が、救急車の狭い車内を禍々しく照らしていた。
「血圧低下! 脈拍、速いです! 患者さん、わかりますかー!?」
ストレッチャーの上で、白石さんがぐったりしている。その顔面は、蒼白だった。
「し、白石さん! 頑張って、もうすぐ病院だから!」
僕は震える手で、彼女の冷え切った手を握りしめることしかできなかった。 どうして。どうしてこうなったんだ。
「うぅ……パン…………」
「え?」
「私の……勝負パンツ……見ないで……恥ずかしくて死ぬ……」
彼女のうわ言に、僕は耳を疑った。
——私は薄れゆく意識の中で、自身の命よりも尊厳(パンティー)を死守しようとしていたのだった。
***
時間を、『陽一さんお持ち帰り作戦決行』の数時間前に巻き戻す。
その日、私は戦闘態勢に入っていた。 鏡に映るのは、インポートブランドの高級ランジェリーを纏った自分。
ミッドナイトブルーの総レースは、肌の色を透かすほど繊細で、妖艶だ。
パンティーは、布面積が極限まで削ぎ落とされた際どいデザイン。ヒップの丸みはレース越しにほぼ丸見え。しかも、腰の横についたリボンを引っ張れば、すぐにハラリとほどけてしまう仕様になっている。
仕上げに太ももにガーターベルトを装着し、パチン、と留め具をストッキングに噛ませる。 上からスリットの入ったタイトスカートを穿く。脚を少し動かすだけで、スカートの隙間からガーターベルトが、ちらりと絶対領域を主張する。
(ふふふ……これぞ最終兵器♡ ちょっと大胆すぎて恥ずかしいけど……奥手な陽一さんを『その気』にさせるには、これくらいしなきゃね♡)
今日のデートコースは完璧だ。昼はオイスターバーで亜鉛(精力)をチャージ。美術館で知的興奮を高め、夜はホテル街近くのダイニングでアルコールを注入。これで勝ちは確定したも同然。
(待っててね陽一さん。その草食の皮、私がひん剥いてあげる……♡)
私は短めのスカートを翻し、意気揚々とデートへ向かった。