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「ん~っ♡ おっきぃ……♡」
オイスターバーで、白石さんが大ぶりの生牡蠣を艶めかしい手つきで口に運ぶ。ぷるんとした身を唇で挟み、舌で転がし、チュルッ、と音を立てて吸い込む。その仕草が、なんだかセクシーだ。
「陽一さんもいっぱい食べてください! 牡蠣は精……ううん、健康にいいですからね♡」
「あ、ありがとう……。(なんでそんな必死なんだろう?)」
僕は五個ほど食べて、箸を置いた。皿には、ひときわ大きく、プリプリとした立派な牡蠣が一つ残っていた。
「白石さん、これ食べなよ。一番大きくて立派だし」
「えっ、いいんですか? じゃあ……いただいちゃいますね♡(今夜は陽一さんもいただきます♡)」
チャンス、とばかりに私は動いた。牡蛎を扇情的に唇に含みつつ、足を組み替えてスカートの裾をわざとらしく捲り上げた。太ももの白い柔肌と、黒いガーターベルトが覗き、彼を誘惑するはずだった。
「……いい食べっぷりだね」
陽一さんは、私の清々しいほどの食欲を、ただ幸せそうな顔で眺めていた。
(——見てないんかーい!! 絶対領域が泣いてるんですけど!?)
私は心の中で叫びつつ、やけくそ気味に特大牡蠣を飲み込んだ。
***
続く美術館デートは、私のリクエストで「春画展」へ。
(うわ、すごいな……。江戸時代の人、性癖オープンすぎない? でもこれは芸術なのか……? どう反応していいのかわからなくて気まずい……)
巨大すぎるブツや、アクロバティックな体位の数々に、僕は目のやり場に困っていた。 しかし隣の白石さんは、真剣な眼差しで絵を見つめていた。頬がほんのり赤い。
(あ、やっぱり白石さんも恥ずかしいのかな?)
——だが、実態は違った。
(ふむふむ……タコ責め……神! あ、この構図、陽一さんが受けで、後輩男子に攻められてる同人BL漫画のネタに使えるかも……! やばい、尊すぎて心臓バクバクしてきた……! なんか息苦しいし、冷や汗出てくる……これが『萌え』の副作用!?)
彼女の脳内では18禁の妄想ストーリーが展開され、その興奮が身体の異変(吐き気の前兆)を誤魔化してしまっていたのだ。