お店も閉店の時間が近づいてきた。
お客さんもぽつぽつしかいなくなり俺たちは片付けの準備に入る。
kr「また来るねー!」
最後まで騒がしかった4人組も帰っていきカウンター周りの片付けに入る。
sm「どうした?何か元気なくないか?」
sh「はは、、、何か疲れたかも。」
sm「あいつら騒がしかったし、色々あったからな。閉店になるまで奥で休んどくか?」
sh「、、、ごめん。そうさせてもらうわ。」
俺は事務所に入り奥の扉を開ける。
そこは店のゴミ捨て場で従業員の喫煙場所にもなっている。
はぁーっと大きなため息をついて空を見上げる。一人になった瞬間に涙が込み上げてきた。
sh「俺、、、情けないなぁ。」
この前といい、今日といい、本当に何も出来なかった。俺はこんなに弱いのかと悔しくて今まで堪えていた涙がどっと溢れ出す。
sh「泣いてるのもダサ、、、。」
「、、、ダサくないよ。」
sh「へ?」
声のする方へ顔を向けると、そこにはknがいた。
sh「な、何で?」
kn「んー、、、。ちょっとshkの様子が気になってたから終わるまで待ってようとしたんだけど、、、見つけちゃった。」
sh「こ、これは、、、その、、、誰にも言わないで欲しい。」
kn「うん。誰にも言わない。俺とshkだけの秘密だね。」
何て所を見られたんだと更に落ち込み顔を下に向けまた涙が出てくるのを堪えていた。
kn「秘密ついでに、、、shkが今思ってる事話してくれない?」
sh「それは、、、」
kn「誰かに話すだけでも少しは楽になれると思うから。」
そう言うと俺の隣に立ち優しく肩を掴み自分に引き寄せる。そのまま俺の肩をポンポンと軽く叩く。その瞬間、我慢してた涙がまた溢れ出した。
sh「ふっ、、、俺っ、、、何にも出来なくて、自分の事も、、、うっ、、、守れないのかって、、、っ。」
kn「うん。」
sh「もっと、、、うっ、、、sm、、とか、、、knさんみたいに、、、ふっ、、、対処でき、、、れば、、、。」
kn「迷惑かけなかったかもって?」
俺は小さく頷いた。すると、knが俺の前に立ち優しく抱きしめてきた。不思議と怖くなくて寧ろ安心する、、、。
kn「誰にも迷惑なんてかかってないよ。心配はするけどね。」
sh「、、、、、、。」
kn「あと、勘違いしてほしくないんだけど、shkが弱いからとかそんな理由で連絡先を交換した訳じゃない。俺のせいで危険な目に合うのが嫌だから、、、。本当は俺の方が迷惑かけてる、、、。ごめん。」
抱きしめる腕に力がこもる。その腕が少し震えているのがわかった。
sh「knさん、、、?」
kn「あぁ、ごめん!どさくさに紛れて。」
sh「その、、、有難うございました、、、。話聞いてもらって、少しだけ楽になりました。」
kn「俺でよければいつでも。その為にも連絡先交換したんだし。」
sh「あの、、、俺迷惑だなんて思ってません。あいつらが悪いだけで、knさんは何も悪くないので、、、。」
kn「ははっ!shkその言葉そっくりそのまま返すよ。」
sh「あ、、、。」
kn「そういう事。shkが俺に対して思ってくれてる事は他のみんなもshkに対してそう思ってるんだよ。」
sh「はい、、、。」
kn「待ってて良かった。じゃぁ、俺はもう行くね。また、何かあったら連絡してきて。迷惑じゃないし、寧ろ頼ってくれて嬉しいって思うから。」
sh「あ、有難うございましたっ!」
knは軽く手を振って帰っていく。情けない姿を見られたのは嫌だったけど、knがいてくれて良かったと思う。
時計を見るととっくに閉店の時間になっており俺は急いでカウンターへと戻る。
sm「、、、もう、大丈夫なのか?」
sh「うん。有難う、sm。」
sm「なら、良かった。」
sh「なぁ、sm。今度さ、やっかいな奴の対処法教えてくれ。」
sm「あぁ、いいぜ。俺がビシバシ鍛えてやるよ。」
sh「ははっ、頼りにしてる。」
ーーーー数日後
この前酔っ払っていたお客さんが俺に謝罪しに店に来てくれた。どうやら恋人に浮気されてあそこまで酔ってしまい、更に恋人は身長も俺と同じぐらいだったみたいで勘違いしてしまったそうだ。
俺はまた来てくれて嬉しいです。と声をかけるとその人は泣いてしまってめちゃくちゃ感謝された。そして、また改めて来ますと帰って行った。
sm「shkは優しいな。」
shk「smだったらどうしてた?」
sm「一発殴る。」
sh「それはお前にしかできねーよ。」
sm「あぁ。だからshkはそれでいい。時にはその優しさが仇となるけど、shkの良いところでもあるから。」
sh「はは、イケメンは言う事違うわ!」
sm「お前、もうアドバイスしねーぞ!」
sh「いたっ!ちょ、褒めてんだろうが!」
sm「いーや、おちょくってたね。仕返しだ!」
sh「あははっ!やめろって!こしょばいっ!」
smやknには弱い部分を見せたって大丈夫だと思える。二人がいてくれたから俺はまたこうして前を向けてる。きっと以前の俺ならくよくよして心配させてばっかだと思うから、、、。
sm「じゃ、ホール行ってくる。」
sh「はーい、行ってらっしゃーい。」
sh「ありがとな、、、。」
ホールへ向かうsmの背中を見つめながら俺は小さく呟いた。
第5話終わり。
コメント
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こしょばいって言うんですね! 作品期待します!