テラーノベル
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__いえもん side__
広場の入り口に集る村人の数に比例して、広場がザワザワと騒々しくなっていく。
__ラテを取り返せ、ウパパロンを追い出せ、見知らぬ能魔者達を殺せ。
おおよそ そんな内容が、群衆の士気を高めるためまるで煽るように叫ばれる。
次々と叫びの声が大きくなり、やがて蜂の巣を突っついたかのような喧騒が洞窟内を反響するほどになった。
だが理解不能な力を持った者たちに恐れおののいているのか、誰一人としてその先の一歩を踏み出そうとはしていない。
互いに押し付けるように、自分以外の誰かが前へ出るのを待っている。
そんな様子だった。
めめ「待って下さい」
村人達に応戦しようと前に歩き出した俺を、めめは手で制した。
めめ「ここは私とレイラーさんで行きます。ただでさえ数が多いのに、時間がかかると面倒ですから」
俺が倒すと時間がかかる。そう暗に言われた。俺はあまりそうだとは感じていないが、たった一発で確殺することができるめめから見ると、俺が戦う時間は退屈になるほど長いのだろう。
めめ「もし希望するなら、ウパパロンさんも参加していいですけど」
俺達がこの村にやって来た口実は、彼の復讐のためだ。彼女はその思いを汲み取ってか、そう提案をした。
しかし彼は、「大丈夫です。ラテと話したいことがあるので」とそれを断った。
めめは一瞬怪訝そうに首をかしげる。しかし、「そうですか」とだけ言い、振り返って村人達の前へ歩いていった。レイラーも慌てて彼女の側につく。
相変わらず村人達は、誰一人として前へ進みたがらない。あんなに勢いよく叫んでいたのに、さっきまでの威勢はどこへ行ったのやら。
しかし、一箇所に固まっているその状況は、めめにとっては逆に有利だったようだ。
彼女は、闇の壁を展開して村人達を囲む。俺も初めて見たが、その壁に当たるとかなりの激痛を感じるようで、混乱に乗じていくつかの悲鳴が聞こえた。
多くの村人達はそれを避けようと必死に壁のより内側へと集まる。他の人を押し退けて、我先に我先にと中心を目指していた。
逆に、ダメージを覚悟した上で、一縷の希望に賭けて壁をくぐり抜けることを選んだ輩もいた。しかし、痛みの壁をくぐり抜けた獲物は、個別にレイラーに射抜かれることで、次々と倒れていった。
めめはまた魔法を唱える。闇の壁に囲まれた地面にぽっかりとした穴が空き、黒紫色の影が顔を覗かせる。
村人達は壁の中で逃げ惑うものの、その穴が壁際まで隙間なく広がってしまったため、飲み込まれるように落下していく。
自分の死を悟った村人達は、狂ったように次々と叫びだす。
途切れなく幾重にも重なる断末魔。脳の中で多重に反響するそれは、まるで俺に向けられた呪いのようだった。
なんで助けてくれないのか。
なんで黙って見ているだけなのか。
なんで少し違うだけで、こんな悲惨な死に方を選ばされるのか。
否____
一つ消えていっては、また一つの叫び声が生まれ、それもまた消えていく。
頭にねちっこく絡んで離れないそれは、悪夢よりも惨い地獄絵図の惨状を表していた。
ラテ「……大丈夫ですか?」
その光景を切り裂いて、俺の頭の中に入ってきたのは、ラテの声だった。
隣に立っている彼女は、驚いたような、不思議に思っているような目で俺を見つめている。
俺の様子が明らかにおかしかったから、声をかけてくれたのだろう。
ただ、俺はその理由を素直に話すか迷った。
村人達は、かつての俺の鏡のようなものなのだ。
俺は元々、能力を持たない非能力者、非能魔者だった。それがある日突然能力を持った。今でこそ能力を持っているからめめに仲間と認識されているだけで、能力を持っていない頃に出会ってしまったら間違いなく殺されていただろう。この村人達のように。
だからこそ、こいつらに少し同情してしまう。自分のifルートのような彼らに。
我が身可愛さで同情する、というのが皮肉な所だが、俺は別に聖人君子とかいう完璧な存在なわけではない。
そして、一番の問題は、これらの事情を俺はめめ達に話していないことだ。だからこそ、ラテからめめ達に伝わると困る。
いえもん「まぁ、大丈夫ですよ」
考えた末出たのは、とても中途半端な言葉。何かを隠しているのがバレバレだ。
ラテ「ふぅ〜ん……」
それでも、彼女は追及してこなかった。
俺から目を村人達に移し、前をぼうっと見ている。
その幽体離脱でもしたかのような表情に、恐ろしさというか、驚きというか、そういうマイナスな面での興味を抱く。
それに見とれてしまって、まるで催眠にでもかかってしまったような俺は、つい聞いてしまった。
「なんでこんな酷く殺されなければならないんですか?あまりにも理不尽すぎません?」と。
ある一定の範囲の中で必死に逃げ惑う、って既視感あるな〜と書いてる時思いました。ドッジボールでした。こう、ワチャワチャワチャキャーみたいな。男女混合だと、男子の剛速球に女子が悲鳴をあげてコートの奥に行くんですよね。今回の村人達の形相も、それをイメージして書いてます。コッチハデスゲームダケド()
それじゃあまたね!!
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