コツン…コツン…
生徒達がキャンバスに向かう、授業中
美術教師である渡辺は、机を周り…生徒の絵の進捗をチェックしていた
その最中、徐に上げられた手が
1人の生徒の肩にポンと触れる…
「っ…!///」
あまりに自然な、その動きに…
された生徒は、肩を揺らすが
他は誰も気付かない
「///」
生徒が、耳まで真っ赤になって
そちらをジロリと睨み見ると
ニッコリ笑った渡辺は、肩をすくめて去って行った
「先生!授業中に、ああいう事するの…やめてもらえませんか?///」
午前中の授業の終わった、休み時間…
1人の男子生徒が、美術準備室に入って来た
「おや涼太。もしかして俺に会いに来てくれたの?」
渡辺が、そう言って…椅子を回してそちらを向くと
真っ赤な顔した宮舘が…肩を揺らして立っていた
「だから!授業中…皆んなの前で、ああいう事するのは…やめて下さいって言ってるんです!///」
「授業中?確かに今日は涼太のクラスの授業したけど…。俺、気に触る事何かした?」
惚け顔で、そう告げた渡辺に
「俺の肩に触れたでしょ!///」
茹蛸の様な涼太が叫ぶ
「………」
【やっぱり涼太は、赤が似合うな…】
そんな事を考えながら
「そんなに叫ぶと、外に漏れるよ…」
優しく笑って、そう言うと
涼太は、慌てて口を噤んだ
「それで…涼太は、それを言いにここまで来たの?それとも、本当は俺に会いに来てくれた?」
渡辺が静かに問い掛けると
「だっ…!///」
涼太は、また声を上げそうになって
自分で自分の口を手で塞いだ
『可愛いなぁ…』
涼太は、こういう所がまだ子供で…
こうして、ほんの少しからかっただけでも…すぐムキになってしまう
一方、渡辺は…美術を受け持つ高校教師で
その容姿端麗な出立ちと、サラリと嫌味の無い毒を吐くユーモア溢れる性格が人気を博し
生徒達から絶大な人気を誇っていた
「涼太、可愛い」
「ここ学校!///」
毎日、似た様なやり取りが繰り返され
いつも涼太が言い負かされて、真っ赤になって帰って行く
『本当に俺達、付き合ってるんだよな…?』
そう誰かに聞きたくなる程、清い2人の交際は…
渡辺が涼太に告白した事から、強引に始められた関係だ
しかし、涼太は…
理由はどうあれ、こうしてここに通ってくれているし
真っ赤になって、恥ずかしがるが…
この関係に否定的な事は言ってこない
『ただ…』
渡辺がゆっくり椅子から立ち上がり
涼太に向かって歩き出す
そして徐に、手を挙げると
その手で涼太の頬に触れた
「っ…!///」
涼太は激しく動揺し…
身体が硬くなるのが見てとれた
「………」
渡辺は、その手を離し…ギュッと握り
再び涼太の頭にソッと触れた…
「ほら涼太。そろそろ行かないと…次の授業に遅れるぞ」
そう言って、優しくポンポンと頭を叩くと
「あぁ!やばっ…!」
それに気付いた涼太が、慌て出す
「ほら涼太。早く行きな」
そう急かされて、頷いて…
そのまま涼太は居なくなった
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