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逃避行

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逃避行

1 - 第1話

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2022年08月31日

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逃げたい、

ずっとそう思ってた。

中学生の時、事故で両親と兄弟を失い、自分の下半身には麻痺が残った。車椅子が、手放せない生活になった。別に、家族を失ったことに対しては悲しいとも辛いとも嬉しいとも思わない。家族に対してなんの感情も抱いていなかったというか。そもそもあまり話すこともなかったのだ。

海が好きだ。海で泳ぐのが、夢だった。綺麗な、海外の海。内陸の都市に住んでいたから、海は見たことなくて、写真や映像で見た海に憧れを持っていた。下半身が麻痺した体では泳ぐことも長旅も叶わなくて、家族もいないから経済力とかもなくて、海外の綺麗な海は叶わぬ夢となったのだった。

残ったのは、親友と海への憧れと、下半身の麻痺。散々だ。なんでこんなんでも生きているんだろうか。

それでも親友がいたから、生きてこれた。親友だけは自分への対応を変えなかった。車椅子生活でも、たとえ不自由な体でも、一緒にいてくれた。心底、いい友達を持ったものだと、思う。

逃げたい。そんな考えが浮かび始めたのは、いつからだったかは分からないけど、確かに疲れて死にたいのか生きたいのかよく分からない感情に陥った時、自分の中にあるよく分からない感情を何とか考えたら、いちばん自分の感情に近かったのが、逃げたい。めんどくさい、辞めたい。逃げたい。投げやりでもいいんだ、親友さえいてくれればなんでもいい。

「ヨーロッパの海へ行こう」

そう誘われた。

「お金、無いよ」

「お金はいらないし、道中で綺麗な景色を沢山見よう。安上がりなのに、特上のプラン。どう?」

断りたいって考えはない。でも、自分を連れての旅行は、迷惑にならないか?

「いいの?自分は、行きたい。」

「当たり前。実はもう計画立ててるんだ。実行を待つのみ、ってね。」

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