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シ…シャオロン(弟子)
む…むつー(師匠)
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キャラ崩壊、イメージとは違う発言等の可能性があります
CPではありません
1.貴方と世界
人類は、自分達の戦争で自分達の数を急速に減らした。
家は消え、ビルは崩れ、電車は鉄くずになった。
貴方と私はそんな世界に取り残されている。
ただ、変わらないのは空に浮かぶ光の粒とそれを映す海だけだった。
シ「…綺麗ですね。」
満天の星空を見ながら彼はそう言った。
こんな都会だった地でも空気が澄んできて、ある程度の星は見えるようになった。
む「寒くなるのでそろそろ帰りましょう」
シ「えぇ…あ、あとちょっとだけ…」
シ「クシュンッ!」
む「ほら〜…風邪ひきますよ」
コートを彼の肩にかけた。
彼は少し申し訳なさそうにしながら後に着いてきた。
そんな優しく、面白く、愛しい貴方にこの世界は残酷過ぎた。
2.貴方の幸せ
家に帰ると彼は真っ先に暖炉を付けに行った。
家と言っても、唯一崩れなかった城の一部を使っているようなものである。
中にあったであろう食料等は戦争が終わった位に別の人間が持っていってしまったのだろう。
自分達が着いた時には何も無かった。
でもここには彼のお気に入りの場所がある。
シ「あったか〜…」
暖炉に当たりながら安心したような顔でそう呟いた。
そんな彼をちらっと見ながら私は台所へ向かった。
野菜等を切って鍋に入れる。
幸いにここには近くの集落と物々交換が出来そうな物が大量にあり、食料難にはならなかった。
む「〜♪〜…」
世界が崩壊する前に聴いていた歌。
今となっては歌詞も曲調も忘れかけている。
途切れとぎれに歌っていると彼がやってきた。
シ「…!僕も手伝います!」
少し焦ったようにそう言った。
む「大丈夫ですよ。僕が勝手に作ってるだけなので。」
む「それより、ほら、味見してみますか?」
シ「いいんですか…!?します…!!」
小さな器に具とスープを少し注いで彼に渡す。
すると彼はキラキラとした目でそれを見て、スプーンでパクっと食べた。
シ「!…めっちゃ美味しいです…!!」
む「ふふ、それは良かったです」
彼の幸せそうな顔に思わず笑みが零れた。
そんな彼の表情がこんな世界でも1番に好きだった。
3.貴方と真実
食事を終えると、彼は決まってその場所へ行く。
そこは壁一面に本が並んでいる書庫だった。
そこには前の人間が揃えた物もあれば、彼が新しく持ってきた本もあった。
殆どが英語で書かれている本を彼は必死に読んでいた。
何故彼がそんなにも必死にこんなことをするのかが私には分からなかった。
でも、今日は彼の様子が少し違った。
それは私が自室で書き物をしている時だった。
コンコン
む「どうぞ〜」
シ「む、むつーさん…!!」
彼は何か驚いたような顔をしていた。
む「どうしたんですか?そんな顔して…」
シ「これ…見て下さい…」
その本の題名は、「世界の終焉」。
そうか、彼はこれを探していたのか。
彼はページを捲りある文章を指さした。
シ「ここに…」
そこにはこう書かれていた。
「戦争が終わった。いや、終わらせられた。私たちがやめたのでは無い。悪魔によって強制的に終わらせられたのだ。それは突然やって来て、国という国を終焉に導いた。この国もそう長くないだろう。いや、人類も長くは居られないのだろう。」
む「…そうですね…前の人間が書いたものでしょうか」
シ「そ、そうではなくて…これって本当なんですか…?」
む「…」
考えているフリをした。
こんな事彼に知られては困ってしまう。
それは私自身も、彼も。
彼には幸せに生きて欲しいのだ。
む「…解りません」
シ「そ、そうですよね…!気づいたらこうなってた訳ですし…」
む「ですが、今更過去を知ってもどうにも出来ないのですから…今は楽しいことを考えましょう。」
あぁ…でも彼は、貴方は…もう知ってるかも知れませんね。世界の真実に。
私の…手遅れでした。
4.貴方と私
彼はその後も毎日調べ続けた。
私はそれを止めなかった。それが彼の追求心、すなわち幸せだと思ったからである。
内容は酷いものだったがそれが知りたいと思うのなら、それを止める権利は私には無い。
そんなある日の事だった。
春の暖かい夜、私は彼と散歩に出かけた。
シ「夜に見る花も綺麗ですね〜」
む「月の光と良くあってますね。」
そんな他愛のない話をしていた。
すると突然、後ろから殺気を感じた。私は彼を庇うように後ろに出た。
彼が振り向くと同時に、まるで梅の花が咲くように鮮血が眼前に広がった。
人A「悪魔め…ッ!!」
一度その衝撃でその場に座り込む。
左胸を大きく切り裂かれたので息がしずらい。
シ「むつーさん…?そ、そんな…ッ」
恐怖と悲しみが混じったような声であり、まだ状況が飲み込めていないような感情だった。
む「大…丈夫です…」
痛みはあるものの、傷は段々と塞がりかけてきた。
同時にそれが自分は人間では無いことを証明していた。
人B「お前なんだろ!国を滅ぼしたのは!!」
人C「貴方も…そんな悪魔に連れられて可哀想…此方へおいでなさい…」
いつの間にか囲まれているようだった。
私は何を言われても特に感情を覚えなかった。でも、彼は何か感情的になっていた。
シ「ち、違う…!!何で…ッ…同じ人間なんやぞ…!!?」
人A「じゃあ…これ見てみろよ!」
そう言って、私の胸ぐらを掴み高々と上げる。
血は滴らず、顔の血色も良い。
人C「きゃあッ…!!」
人B「き、傷がもう治ってる…?!やっぱり悪魔なんだな…!!」
シ「そ、そんな訳…無い…」
彼のそんな顔は見たくなかった。
人間では無い自分がこんなに嫌いになったのは初めてだった。
人A「でもな!コイツ痛みは感じるらしいから痛めつけてやろうぜ」
人B「それが仇として最善か」
シ「やめてや!…人間じゃなくとも師匠は師匠なんや…!!」
そこで気がつかされた。
知らない内に彼はこんなにも強くなっていたんだと。
人B「お前は人間だからって折角生かして貰えてたのに…邪魔だな」
人A「先にそっちから殺るか」
人B「その方が精神的にも傷つけられるな」
シ「嫌や…何でそないなことするんや…」
奴らは彼にじりじりと近づく。
彼の目から星の粒が流れ落ちた。
その光景を見て私は心の奥底で何かが目覚めるような強い殺意を感じた。
む「シャオさん…ごめんなさい。」
そう言って彼の目の前の2人を触手で捻り潰した。
固形物が割れる音と微かに響く震えた悲鳴が辺りに散らばった。
いつの間にかもう1人は何処かへ逃げたようだった。
そこで初めて私は泣いた。
きっと彼には怖がられて何処か違う所へ行ってしまうと考えると涙が止まらなかった。
その場に屈み目を瞑った。
せめて見てない内に…と思っていた。
すると突然、ふわっと暖かい感覚がした。
シ「ありがとうございます…」
目を開けると、そこには安心したような笑顔で涙を溜めながら笑う彼の姿があった。
む「どうしてですか…どうして…逃げないのです…?」
シ「ッ…何のために弟子になったと思ってるんですか…!」
シ「寧ろ、今まで何でそんなかっこいい魔法教えてくれなかったんですか…!!」
む「か、かっこいい…ですか…」
確かに、考えてみれば彼に魔法を教えた記憶があまりない。
立ち上がってこう言う。
む「今度…沢山教えますね。」
微笑みながら言ったつもりだった。
シ「何でまた泣くんですか…そんなに辛い理由があるんですか?」
彼は手を伸ばして涙を拭ってくれた。
自分より小さな手のはずなのにふわりと包まれるようなそんな感覚がした。
む「いや…シャオさんが辛くて大変で不幸せになるのが嫌なんです…」
シ「…ッ僕は…師匠と…むつーさんと居られるだけで幸せです…」
シ「…ってこんな恥ずかしいこと言わせないで下さいよ…!!!」
顔を赤くして怒っている。そんな彼もまた面白くて愛しいなと思った。
む「ふふ…幸せそうで何よりです。」
シ「…ッもう…酷いですよ!!!」
シ「もしかし無くても…あの本に書かれてたのって…?」
む「…そうですね。僕です。」
シ「本当ですか?!…めっちゃかっこいいです…」
シ「でもなんでそんな事したんですか?」
む「う〜ん…まぁ…簡単に言えばシャオさんを守りたかったと言うべきでしょう。」
シ「僕を…ですか?」
む「はい。他にも理由はありますが1番はそれですね。」
む「このまま戦争が長引けば国どころか地球がもたないことに気がついたんです。」
シ「やっぱり…怪我とかは多かったんですよね…?」
む「あ〜…まぁ…指が数本飛んでったりとかあとは…複雑骨折とか…あ、腕が取れかけた時もありましたね…すぐ治りはするんですけどね。」
シ「す、凄いですね…」
シ「僕なんかのために…そんな…」
む「シャオさんが世界で1番大切だからそうしたんですよ。」