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「りょうちゃん、今年の誕生日は何がほしい?俺の選んだのもあるけど、欲しいものもあげたいし」
33歳の誕生日を迎えるりょうちゃんの背中をポンポン叩いて俺はカッコつけながらそう聞いた。
プレゼントはひとつじゃなくても幾つあったっていいだろう、え?甘すぎる?そうだよ、だって俺りょうちゃん大好きだもん。
きっと金髪の可愛いほんとに33歳?って感じのこの子は、いーっぱい欲しいものを挙げてくれるだろうと思ってにやけそうになるのを抑えながら返事を待つ。
「ありがとう元貴···けど、僕充分だから!気持ちだけで嬉しいよ」
「···はっ?え、欲しいものないの?ゲームとか、お菓子とか、服とかアクセサリー、鞄でも!なんでもいいよ?ひとつじゃなくてもいいんだよ?いってごらんよ」
「欲しいものないわけじゃないんだけど···けど、ありがとね、そう言ってくれるだけで幸せ」
にこーっと笑ってスタッフに呼ばれたらりょうちゃんはパタパタと走っていく。
まて、待て待て。
なんで?遠慮?今更???
お菓子、ぬいぐるみ、ゲーム、服やアクセサリーでもなんでもいいのに!
それなのに···?
「おい、若井」
「んー?なに?」
「りょうちゃんに欲しいもの聞いて。なんでもあげるからなんでもいくつでもいいからって」
「そんなの言ったらたくさんあるんじゃないの?」
「それが、さっき聞いたら気持だけで充分とか言うんだよ!」
若井が口をぽかん、とあけて俺を見る。そりゃそうだ、到底りょうちゃんが言わなさそうなセリフなんだから。
「···ちょっと聞いてくるわ」
慌ててりょうちゃんのところに走っていく。あ、りょうちゃん首を横に振ってにっこり。そしてがっくりして帰ってくる若井。
「···そんな風に言ってくれるだけで幸せだから、だって。オカシイよ、りょうちゃん···」
「やっぱり···オカシイよな」
うーん、と頭を悩ませていると若井がハッと何か思い出したように顔をあげる。
「もしかして、誰かに買って貰ってるんじゃ···?俺ちょっと前にりょうちゃんが知らない男の人と歩いてるの見たんだよ。高そうなホテルの前で。結構年上っぽい感じで···りょうちゃん、おっきな袋たくさん持ってて···もしかして、そのおじさんにたくさんプレゼントしてもらったんじゃないの?!」
「マジで?それって···まさか恋人···?それか、なんかパパ活的な···?うちのりょうちゃんがそんなこと···もしかしてなんか騙されてるんじゃないの?!」
ありえる、りょうちゃんなら。
なんか声かけられたらすぐついていきそうだもん、お菓子とか服とか好きなものなんでも買ってあげるよ、とかって···!
「今夜、りょうちゃん呼んで話そう。マジで事件にでも巻き込まれたら大変だし」
若井の言葉に激しく頷いてりょうちゃんを誘いに行く。
うちの可愛いりょうちゃんをたぶらかすなんて許せない。
「あれぇ、若井もいたの?どうしたの?2人とも難しい顔しちゃって」
俺達がこんな思いしてるなんて知らないりょうちゃんはいつも通りソファに座って寛いでいる。
そんなりょうちゃんの肩を掴んで若井が珍しく真剣な顔で見つめている。
「りょうちゃん。俺たち怒らないから、正直に全部話してほしい。困ってるなら相談にのるし、絶対りょうちゃんの味方でいるから隠さないで」
「···ありがとう?けど別に隠し事なんてない···」
「だってオカシイよ!りょうちゃんが何にもねだらないなんて。誰?誰に何買って貰ってるの?まさか彼氏とか言うの?俺認めないよ!俺のりょうちゃんなのに!」
「元貴ちょっと待って俺のりょうちゃんだろ?!本当に認めないし、だめだから!しかもすごく年上とかだまされてない?!」
「···2人とも、なんの話してるの?彼氏なんていないし誰にも何も買って貰ってませんけど」
りょうちゃんが静かに言い放ち、珍しく冷たい視線を感じる。
「俺見たんだよ···高級ホテルの前で男の人と仲良さそうに会ってるの!りょうちゃんいっぱい袋抱えてたし、プレゼントじゃないの?」
「はぁ···そういうこと。確かにあれはプレゼントだね。ホテルにも入ったよ···それに仲いいかもね···だってそれ、お父さんだからっ!それにあの大量の袋の中身は長野県の名産品だっ!元貴にも若井にもあげたでしょ!」
「「···はぁっ?」」
え、若井が見たのお父さん?それに確かにりょうちゃんがこの前、長野のお菓子とか食べ物くれた···ってことは···?
「俺たちの勘違い?」
「そうだよ!その時に言われたの、大森くんと若井くんに迷惑かけちゃだめって!だからプレゼントも断ったのに!」
失礼しちゃう、と怒るりょうちゃんを見て俺と若井はなんだよかった、と安心して崩れ落ちた。
「もう、そんなに言うなら2人とも欲しいものちょうだいよ!断るのはナシね」
そう言うと若井が仕事帰りの為持っていたギターを玄関から持ってきてカバーから取り出し、若井に手渡す。
そして俺には昔使ったゲームでカラオケが出来るマイクを手渡した。
「元貴、若井。僕の為に、僕の為だけに本気でハッピーバースデーの歌を歌ってギターを弾いて。もちろん、Dear涼架って歌ってね」
スタンバイして!とスマホを机にセットして録画を始める。
「いま、一番欲しいものだよ」
俺と若井は顔を見合わせて、ギターを調整して、んんっ、と喉を鳴らした。
そして、りょうちゃんの為だけに本気でバースデーソングを歌った。
おめでとうって、産まれてきてくれて、ありがとうっていう気持ちを込めて。
「···2人とも、ありがとう。最高のバースデープレゼントだよ」
「りょうちゃん···大好き!」
「俺も!大好き!」
なんだか泣きそうなりょうちゃんを見てこっちまで感極まってぎゅうっと3人で抱き合う。
りょうちゃんが欲しいものが俺の歌と若井のギターなんて、すごく嬉しい。
それにりょうちゃんに恋人がいないって分かってホッとしたのもある。
きっと若井も同じ気持ちだろう。
「···ねぇもときぃ、知ってた?ディズニーって時期によっては貸切できるらしいんだけどぉ···僕、誰もいないテーマパークに1回行ってみたいんだよねぇ···」
けどすごく高いみたいでぇ、と甘えた声で俺と若井の耳元で呟くりょうちゃんの言葉を、俺と若井はとりあえず一旦聞かなかったことにした。
コメント
7件
💛さんがついに甘えなくなった⁉️と思っていたら最後の最後はちゃんと💛さんでした…安心
ウチが涼ちゃんの欲しいものなんでも買ってあげるからねぇ
バースデーストーリー、ありがとうございます😊 💛ちゃんに甘々な❤️💙、めっちゃ好きです🤭 いつか貸し切りデート出来ますように🙏✨笑