たまたま通りかかった街路地。
散歩をしていた時に見つけた
バカでかい屋敷。
ホンマに、城か?と思ってしまう程の大きさで、少し不気味。
どんな人が住んでるんやろ…。セレブ?超大金持ちの人とか!
うわー、かっこええなぁ!私も将来あんなとこに住めへんかなぁ〜!
まずそんなええ家買えるくらい稼いで一緒に住む彼氏さんをつくらなきゃいけへんな…
なんて心の中で泣きながら止まった足を動かすと、少し先でお爺さんが掃き掃除をしてる。
「 嬢ちゃん、ここに入るんか? 」
掃き掃除をしてたお爺さんがほうきを持っていつの間にか私の隣に。
『 いや、大っきいなぁおもただけです!入りませんよ〜! 』
「 そうかい。ここには入らん方がええよ。ここは危ない館って有名やからな 」
私の言葉に返してくれるお爺さんの言葉がよくわからなくて。
危ない館?確かに不気味そうやけど…?
『 教えてくれてありがとうございます!私暇なんで、掃き掃除お手伝いしましょか? 』
「 ええんか?最近腰がいとうて…ありがとうな 」
優しく笑いかけてくれるお爺さん。
ずっと実家にも帰らず、笑顔もなく愛想もない会社で働いて、人の笑顔なんて何年ぶりやろ。
心に染みるわ。
「 お、おい、嬢ちゃん!危ないぞ!! 」
『 え? 』
私が振り返る時にはもう遅かった。
目を大きな手で覆われ、視覚を奪われた状況で、後ろから抱き上げられた。
後ろから聞こえる、少し低くてマスクをしているのか篭っている声。
「 今見た事、誰にも言うんとちゃうぞ。ええな? 」
あぁ、お爺さん、怯えているんだろうな。
そんな音がする。さっき、私に笑いかけてくれたお爺さん。
「 …… 」
この人は、このことを守らないのだろう。そう、思った。
『 お爺さん、ごめんな。でも私大丈夫やから!腰、ご無事でな。 』
そう言うと、驚いた音に変わる。後ろからも同じ音。
懐かしいな、この音。
「 嬢ちゃんも、また会おうな 」
優しく語りかけてくれる声は久しぶりで。
さっき会ったばっかやのに、お爺さんに会いたい。また笑顔見せて。
そう思ってしもうた。
そう思ったら、もうだめや。
『 連れてくならはよ連れてってや〜! 』
お爺さんの音が消えたあと、私は後ろの人に言う。
「 おもろ 」
小声で言ったその言葉を、私は聞き逃さんかった。
コメント
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おもしれぇ女的なやつやん