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⚠軍パロ、tn拾われ、激重
会話分メイン
夜の総統室は酷く静かで、窓から見える景色はちょうど雪が降り始めていた頃。
隣に居る此奴を拾った時も、丁度こんな季節だったのを思い出す。
私が書類を進める手を止めていたのをサボっているのかと解釈したのか、席を立ち上がり横まで歩いてくるトン氏。
「何しとんのグルさん」
「いや、お前を拾った時の事を思い出してな」
「……ほーん」
少しの沈黙。
以外にも自席に戻らず俺の隣に立ち続けるトン氏に何だという視線を送れば、渋々と言った風に答えられる。
「いや、何で俺の事拾ったんやろ思おて」
その問いに、思わず目を細めた。
「随分と今更だな」
「今更でも気になるんやけど」
そう返され、仕方ないと思いながら適当に嘘を言う。
「ただの気紛れだ」
「嘘やな」
即答だった。
「……変なところだけ勘がいいな」
「グルさんが分かりやすいんやろ」
全く、この俺のことを分かりやすいだなんて言うのはお前ぐらいだゾ。
夜風が強いのか、窓がガタガタと音を立て揺れる。
やがて俺は小さく息を吐き、腹を括る。
「……最初は」
「ん」
「本当に、気紛れだったんだ」
そう言いながら見えもしない空を見詰める。
「面白そうな玩具が落ちてるから、ちょっと遊んでやろうと思っただけだ」
「ひっど」
「事実だゾ」
くくっと小さく笑う。
「でも」
その声が、少し低く、真面目なものへと変わる。
「気付いたら」
「手放す理由が無かったんだよ」
窓から差し込む月光が、グルッペンの顔を影にする。
「飯ならなんでも食うわ、命令は遂行するわ」
「犬扱いすんなや」
「似たようなもんだ」
軽く肩を叩かれる。
「でも」
俺は続ける。
「そのうち思った」
「何を」
少しだけ、間があった。
「……ああ」
男は笑った。
「こいつ」
「俺が居なかったら」
「__死ぬんやろうなって」
言葉が、やけに静かだった。
「……は」
思わず笑う。
「何それ」
「事実だろ?」
否定できなかった。
実際そうだ。
あの時、あの場所で、この男に拾われなかったら。
多分、自分はとっくに死んでいた。
寒い夜に、誰にも気づかれず。
「だからまぁ」
男は続ける。
「しょうがないだろ」
「何が」
「責任」
その言葉は、冗談みたいな軽さだった。
でも。
「……責任」
口の中で繰り返す。
「そんなもんで一緒におるん?」
「嫌か?」
即座に聞き返される。
「……」
少し考える。
「別に」
そう答えると、私は小さく笑った。
「ふはっ」
「なんや」
「お互い様なんだよ」
ギィ。
椅子に体重を掛ける音がやけに響く。
「でも」
今度は、こちらが言った。
「俺も思ってるゾ?」
「何を」
「お前」
「ん」
「俺がいなかったら」
「絶対人生棒に降ってそのまま死んでただろ」
一瞬、男が止まる。
それから。
「……はは」
珍しく声を出して笑った。
「自意識過剰すぎやろ」
「そうか?」
少し考える。
「何やかんや言いつつも、俺と居る時が一番楽しそうだが」
その瞬間。
男の表情が、ほんの少しだけ固まった。
沈黙。
そして。
「……」
ふっと視線を逸らす。
「勘違いや」
「本当か?」
「ほんま」
でも、声が少しだけ低い。
「ふーん」
わざとらしく頷く。
「まぁ、いいか」
「なんやそれ」
「別に」
笑う。
「お前が俺捨てへん理由が」
「責任でも」
「依存でも」
「気まぐれでも」
肩を竦める。
「どれでもええ」
「俺」
「お前おらんと」
「普通に困るし」
小さく空いた窓の隙間から、夜風が入り込む。
沈黙が落ちる。
「…はぁ”~」
「何」
「厄介なもん拾っちまったわ」
「捨てれば?」
「それは無理やな」
「なんで」
「さっき言っただろ」
「手放す理由がない」
その言葉は、やけに自然だった。
「それに」
「今更お前に死なれでもしたら」
「寝覚め悪いし」
「情緒どこ」
「知らん」
「まぁでも、そう簡単に死ぬつもりはないで」
「やってグルさん居るしなぁ」
「当たり前だ、お前は俺のだからな」
「……は?」
「聞き捨てならんなぁ、どういう意味ですかね」
グルさんは、至極真っ当だとでも言うように続けた。
「?、拾った時から決まってるじゃないか」
「お前は忠実な俺の犬で」
「部下で」
「玩具だ」
ガタッ
唐突に立ち上がったグルさんが俺の頬を撫でながら言った。
カラカラと、ペンが机から滑り落ちていく。
「だから、勝手に死なれたら困るんだよ」
「なぁ、トントン」
終
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