テラーノベル
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平日の学校という檻から解き放たれた日曜日。しかし「なんでも屋・シュレーディンガー」に休息はない。なぜなら、新八(新)の携帯に坂田誠から**「緊急事態だ、すぐ公園に来い」**というメールが届いたからだ。
新八が約束の公園に駆けつけると、そこには異様な光景が広がっていた。
「遅いですよ銀さん! 緊急事態って一体……って、何ですかその格好!」
そこには、いつもの制服ではなく、黒いシャツにジャージを羽織り、首元にはこれ見よがしに「銀」と書かれた偽物の銀色アクセサリーをジャラジャラさせた坂田誠がいた。しかし、立ち姿は完全に片手をポケットに入れた沖田総悟のそれである。
「……あァ、新八。休日くらい俺を休ませなせェ。糖分が切れて、もう少しで土方(護)の家に火をつけるところだったぜェ」
「銀時自認なのに見た目はV系崩れみたいになってるし、口調は相変わらずサドだし! 休日くらい設定を整理してきてくださいよ!」
「お待たせ。……二人とも、私服可愛いね」
そこに現れたのは、白いワンピースにキャスケット帽、そして首元にはいつもの黒いチョーカーを巻いた**中野渚(レゼ)**だった。
「レゼさん!……え、普通に美少女!? 普通にデートの待ち合わせみたいじゃないですか!」
「ふふ、そう? でも、この帽子の裏には特製の小型クラッカーを20個仕込んであるの。いつでも花火を上げられるわ」
「やっぱり中身は爆弾娘(ボム)だったぁぁぁ!」
誠が二人を呼び出した理由は、隣町のカフェにある「総重量2kg・超巨大マヨチョコパフェ」を制覇するためだった。
「新八。俺ァ甘党(銀時自認)でさァ。だが、あいにく一人で食うには少しばかり『弾丸』が足りねェ。レゼ、お前のその火薬で、このパフェを胃袋に叩き込んでやりなせェ」
「いいよ。……私、口の中で弾ける感覚、大好き」
「物理的に爆破して食べるのやめて!? 普通にスプーン使って!」
一行がカフェに向かう道中、運悪く(あるいは必然的に)あの二人と遭遇する。
「……坂田。休日までその面を拝むことになるとは、俺の運勢もマヨネーズ並みにドロドロだなォイ」
私服(全身黒ずくめに、なぜかマヨネーズのボトルをキーホルダーにしている)の土方護と、その背後でアイマスクを装着したまま歩く沖田悟である。
「おーおー、多串(たすくし)君じゃねーですか。休日はマヨネーズ工場でバイトですかィ?」
「土方だっつってんだろ! あと多串って誰だ! ……おい沖田、バズーカ(模型)を構えるな、一般人が逃げてくだろーが!」
結局、5人でカフェに乗り込むことになった。 テーブルの上には、そびえ立つエベレストのようなパフェ。
「さあ……パーティーの始まりだ。……ねえ誠、どっちが先に『爆発』するか、競争しない?」 レゼが、パフェに突き刺さった花火に火をつけようとする。
「いいですぜ。俺が食い終わるのが先か、あんたが店を吹っ飛ばすのが先か……賭けやしょう」
「賭けるな! 食べることに集中して! あと土方さん、パフェに追いマヨネーズしないで! 視覚的暴力ですよ!」
「うるせェ! これが俺の『騎士道(マヨ道)』だァァ!!」
「あはは。みんな楽しそうだね。……じゃあ、僕は店の照明を全部落として、ここを暗殺現場にするよ」 沖田(自認)が、店内のブレーカーを狙ってスリングショットを構える。
「やめろぉぉぉ! 普通に休日を過ごさせてくれぇぇぇ!!」
数時間後。パフェを完食(半分以上は土方のマヨネーズ味になったが)した一行は、公園のベンチでぐったりとしていた。
「……死ぬかと思った。……主に胃袋が」 新八が、割れたメガネ(休日用)を拭く。
「……ふゥ。いい『戦い』だったぜ。新八、次は……もっと甘ェもんを探しに行きやしょう」 誠は、満足そうに(沖田のポーズで)空を見上げる。
「次は……海に行かない? 潜水艦とか、沈めてみたい」 レゼが微笑む。
「レゼさん、それ休日の遊びじゃなくて宣戦布告だからね!?」
誰一人として「本来の自分」に戻ることのない、あまりに騒がしい休日。 沈む夕日が、設定の渋滞した5人の影を長く、歪に引き延ばしていた。