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活人棺人、死が踊る

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活人棺人、死が踊る

2 - 第2話人は眠ることを怖れるのさ

2022年10月18日

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にはよく分からないのだが、君たちの言うところでは、その言葉の意味するところとは一体なんなのだい? それはつまり、我々人類が生み出した言葉の中でもっとも素晴らしい意味をもつもののことさ。

そうか。それじゃあ、私はこれからもずっとこの単語を使い続けようと思うよ。

それはなぜだい? だってそうだろ? この言葉を使う度に思い浮かぶイメージは、どれもこれもとても素敵なものだし、それに何より、私自身が一番この言葉が好きなんだから! 私にとっての最高の瞬間は、朝起きる瞬間だよ。

夜眠る時に想像していた通りの、夢を見ることができた時の喜びといったらないね。

そして、今日一日のことを振り返ったあと眠りにつく時は、明日目が覚めた後のことを考えてワクワクしているんだ。

こんな気持ちになったのなんて、生まれて初めてかもしれない。

だから私は、毎日毎晩同じベッドで寝ることにしているんだよ。

そうしておけばきっと、いつかまた私が望むような夢を見ることができるはずだから。

しかし残念なことに、現実というものはいつも残酷なものでね。そんな幸せな時間をくれるどころか、時にはひどい悪夢を見せてくることもあるんだよ。

君はまだ知らないかもしれないが、夢には二種類あってね。楽しい夢を見る人もいれば、苦しい夢を見る人もいる。どちらにせよ、良いことが起きるとは限らないものだ。

例えば、君の見る夢の全てが幸福で溢れていたとする。その瞬間は確かに幸せだったとしても、目覚めてみればそこには何も残されていない。逆に、何か嫌なことがあった時は、目覚めた後も気分が落ち込むことがあるだろう。そうして君は、自分が見ているものが夢だということを忘れてしまう。つまり、起きた後に後悔してしまうということだよ。

だが、どんなに素晴らしい出来事があったとしても、目を覚ました時に忘れてしまっているということはよくあることだ。だからこそ、人は眠ることを怖れるのさ。

それは何故か? 理由は簡単。眠った後、再び目を開けることができる保証はないからだ。一度眠りについたが最後、二度と目覚めることがなくそのまま死んでしまう可能性もあるわけだからね。

もちろんこれは極端な例だけど、そういう考えを持つ人がいることも事実だ。君もそう思うかい? さて、君は一体誰なんだい? まぁ、いいけどね。

これは私の問題だから。

私の問題には、誰も口出ししないでくれよ。

君は私じゃないし、私は君じゃない。

そんなこと、当たり前のことじゃないか。

私にとって、それは死と同じことだ。

私にとっては、生も同じ意味だよ。

つまり、私の存在自体が無意味なんだ。

私の人生なんてものは、存在しないんだよ。

それでも、私は生きている。

いや、正確には生きていないんだけどね。

矛盾していると思うかい? そうだよね。

だったら、答えを教えよう。

私がなぜ生きるのかは、誰にもわからない。

ただひとつ言えることがあるとすれば、私は今ここに存在しているということだけだ。

私の存在は証明できない。

誰も信じてくれないのだ。

私の言葉など誰も聞いてくれない。

私が誰かなんて誰も知らない。

だから私は自分で自分を肯定してやるしかないのだ。

そうしなければ、私の存在価値はないに等しい。

私の存在を信じる者は一人もいなかった。

皆が私を見捨てていった。

だから私は一人で戦い続けるしかなかった。

私の言葉を聞いてくれる者はいない。

私の言葉を理解できる者もいない。

それでも私は声を上げ続けなければならない。

私はここにいるぞ!俺はここにいるぞ!! 俺には出来る! まだ見ぬ未来へ……

お前はまだ、生きているのだろ!? 今すぐ立ち上がれ!!! その目を見開けッ!! 生きていれば必ず光が見えるはずだ。

それは、希望という名の光かもしれないし、絶望という名の闇かもしれない。

それでも、たとえどんな暗闇の中でも、一歩ずつ進んで行けば、いつかは必ず出口へとたどり着くことができるはずなのだ。

諦めなければ、きっと大丈夫だよ。

だってほら、こんなにも君の周りでは、様々なドラマが生まれ続けているじゃないか。

さぁ、目を覚ましてごらんよ。

君は一人じゃないんだよ。

私が傍にいるよ。

君を愛してくれる人たちがいる。

君を必要としてくれている人たちがいる。

だから怖くなんてないよね。

恐れることなんかない。

君は誰だい? 僕のことを知らないなんて言わせないよ。

僕は君のことをよく知っているつもりだけどね。

君にとって大切なものは何か、君が一番望んでいることは何か……僕にはわかるけどさ。

僕はそんなに退屈かい? じゃあ、少し遊んであげるよ。

そのかわり、ちゃんと言う事を聞くんだよ。

そうじゃないと、楽しめないじゃないか。

ほら、これが欲しかったんだろう? さぁ、お望み通り、たっぷり味わうといい。

ほら、もっと、もっとだよ。

これで満足かな? まだ足りないの? しょうがないなぁ。

それなら僕は今すぐ死ねばいい! そんなものはいらない!! 僕には生きる価値なんて無いよ!!! どうして僕だけがこんな目に遭うんだよ!? ふざけんな!!! お前らがもっとちゃんとしていればよかったんじゃねえか!!! なんでだよぉおおおーッ!!!

「だからさあ、そうやって生き急ぐ必要は無いって言ってるじゃん。あんたが本当に死にたいなら、私が殺してあげるし、もしそうなったとしてもそれはそれで仕方がないじゃない?」

僕の目の前にいる女は、呆れたような口調で言った。

彼女はいつだってそうだ。

自分が正しいと思っていることに対しては一切妥協しない。

だけどその正しさは、彼女の中の正義であって、他人にとっては迷惑以外の何物でもない。

それにしても、この女の言う通りだった。

確かに彼女が言うように、僕は早く死ぬべき人間なのだ。

なのに、まだ生きている。

ただ生きていたいだとか、そういうことでもなくて、ただ死ねていないだけだ。

つまりは自殺志願者。

世間的にはニートと呼ばれる類の人種でしかない。

僕は死んだ方が世のため人のためになるとわかっている。

それでも死ねずにいるのは、単に怖いからだ。

自分で自分を終わらせられない弱虫野郎。

そんな奴が僕だ。

「だいたいねぇ、あんたは何でもかんでも背負い過ぎなのよ。世の中は広いんだから、もう少し肩の力抜きなさい」

「……」

僕は黙って俯いたままだ。

彼女は一体何者なんだ。

なぜ僕なんかに構うのか

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