17年後────
「失礼します、課長、言われていた資料です」
「おっ、さすが早見くんだな!」
課長はそう言いながら、俺が作った資料をパラパラめくる。
「うん、問題ない」
「それは良かったです」
「そういえば、早見くんは今日、午後休暇だっけ?」
「はい、そうです、忙しい時期なのにありがとうございます」
「いやいや、早見くんは普段から頑張ってくれているからな、大事なんだろ?」
課長は穏やかな笑顔で俺を見る。
「はい」
「仕事は忘れていってらっしゃい」
「はい、では失礼します」
「うん、ありがとう」
俺は課長の机からは離れ、自分の机へと戻った。
俺の名前は早見来未
現在34歳
おじさんと言われる歳になってしまったな、
最近はそう実感することが増えてきてる気がする。
俺は今、有名建設会社の水面建設会社というところで働いている。
ご縁があり、社長の紹介で入社した。
紹介ということでこの業務に関しての資格はほぼ持っていない、
それでも俺は何とか出来そうな事を探し、アシスタントみたいな役割で働いている。
俺は一度殺人を犯した。
ちょうど15年前に、
そして、2年前に出所している。
そんな前科持ちの俺でも優しく接してくれる課長はとても良い人だ。
今日は予定があり、午後休暇を取った。
時間にもなったのでタイムカードを切る。
「お疲れ様でした」
「はーい」
俺は待ち合わせ場所へ向かう。
電車に揺られること1時間、
駅から少し歩くと目的地が見えてきた。
俺はそこに入る。
ここは俺がよく喧嘩をしていた公園だ。
「懐かしいな、」
今日はここで待ち合わせをしている人が居る。
どこに居るのだろう、
そう思いながら、俺は周りを探す。
俺の方に一人の男性が近付いてきた。
背が俺よりも高くて、髪もしっかりと手入れがされていそうだ。
俺とは全く違う。
俺はその人と目が合う。
その瞬間、俺の心臓は激しく動き出した。
「早見、だよね、?」
聞き慣れた大好きな声が聞こえる。
「⋯⋯永目、?」
その男性、いや違う、永目はコクリと頷いた。
「早見、久しぶりだね」
永目の声が脳に響く。
俺の目からはとめどなく涙が出てくる。
「⋯永目、ごめん、」
「早見?」
「⋯俺ッ⋯⋯、あの時、⋯⋯ごめん、」
もっと、他のことを話したいのに謝罪の言葉しか口から出ない。
「早見、落ち着こ?」
「⋯⋯俺、⋯ずっと、ずっと⋯⋯後悔⋯⋯ッ、してて、、」
永目は俺の背中を優しく撫でる。
「⋯やっと、⋯⋯やっと、思いが⋯⋯ッ伝わったのに⋯⋯、」
俺の口はもう止まれない、
この気持ちをどうしても伝えたい、
「⋯⋯永目はッ⋯⋯⋯優しいから⋯⋯来てくれたけど、⋯⋯俺に気持ちなんて⋯⋯⋯ッない⋯⋯だろうから⋯⋯⋯ごめん⋯⋯」
永目は親指で俺の涙を優しく拭った。
そして、少し黙った後に口を開く。
「それはちょっと考えすぎだよ」
「⋯⋯へッ⋯⋯⋯?」
「僕もずっと早見と逢いたかったよ」
永目は俺のことをぎゅっと抱きしめる。
「早見のことが好きって気持ちがさ、ずっと消えなくてね、やっと逢えて僕、凄い嬉しいよ」
永目の声が耳元で聞こえる。
「⋯⋯ほんとに?」
「うん、ほんと、僕たちは恋人同士なんだよ、僕の思いなんて簡単に消えやしないよ」
その後、俺はお昼の誰も来なくて永目しかいない公園で沢山泣いた。
もしかしたら、この涙は逮捕されたあの日から我慢していたものなのかもしれない。
「⋯⋯永目ッ⋯⋯⋯」
「うん?」
「⋯⋯ッ俺も、⋯永目とずっと⋯⋯逢いたかった、!」
「⋯⋯⋯うん!⋯⋯やっと、聞けた、僕も逢いたかったよ!」






