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◻︎まさかの!
年齢で言えば、2人とも立派な大人だ。
こういう時はできるだけスマートに対応したい。
うら若き乙女でもない私が、恥ずかしがっても仕方ないだろう。
きゃっ、いやだあー雪平さんたらぁ!とか言ったらよけいに引かれるのはわかってるし、そんなこと言えるようなタマ(?)じゃない。
_____〇か✖️のどちらかしかないよなぁ
これからまだまだ発展して結婚へ、そんな関係でもなく、かと言って一夜限りの酔った勢いでもない。
_____こんなシチュエーション、リハーサルしてないよー
「このボトルを飲み終えたら、行きましょうか」
「えっと、はい」
「あと一杯ずつかな?」
グラスに注ぎわけられた白ワイン。
_____これを飲み終えたら?
緊張してきた。
どうしたらいい?わからない、礼子に相談しとくんだった。
下着だけは一応、それなりには…だけど。
_____えぇーい!なるようになれ!
私はワインを一気飲みして、清水の舞台へ向かうことにした。
お店までタクシーを呼んだ雪平さん。
2人並んで後部座席に座る。
雪平さんが告げた行き先は、駅近くのシティホテルだった。
ぴこん♪
『先に部屋を取るので、ロビーで待っていてくださいね』
雪平さんからだった。
隣にいる雪平さんが、シートに置いた私の手をそっと握ってきたので、私もそっと返した。
ホテルに着くと、先に雪平さんが降りて少し離れて私も後を追う。
_____そうだ、雪平さんはこの辺りでは顔が割れてるんだった
なんて、サスペンスドラマの刑事みたいなことを考えている。
フロントでカードキーを受け取った雪平さんは、そのままエレベーターへ向かった。
私は知らないフリで、メッセージを待った。
ぴこん🎶
『1002で、待っています』
今この場で私が帰ってしまえば、それでおしまい。
なにもない、何も残らない。
このまま部屋へ行きそして雪平さんと抱き合っても…それでも、なにもない何も残らない、いや残さない。
_____これからの少しの時間、私はただの、美和子になる
主婦でも母親でもない私。
もしかしたら今後、もうないかもしれない女としての時間を大事に過ごすことに決めた。
_____でも、私の賞味期限は切れてないかなぁ
と少し不安になりながらエレベーターから、雪平さんが待つ部屋へと向かった。
1002。
軽くノックする。
ガチャリと音がして雪平さんが私を招き入れてくれた。
「どうぞ」
「どうも…」
部屋は大きめのベッドがあるシングルルームだった。
「僕は明日、東京へ行かなければいけないので、このまま泊まるつもりです」
「そうなんですか」
「座りませんか?」
「あ、はぁ」
「ん?なんだか元気がないような気がしますが…」
「た、ただの緊張ですから」