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「そ、そんな馬鹿な! 馬鹿な、馬鹿なあっ!」


ギルド長たちが集まっている部屋に、ヘルサス伯爵の声が響き渡る。


「こ、こんな事がありえるわけがない! 奴は勲章ランクAの『スイレン・・・・』なんだぞ!?」


『リルバーグ』の女性のギルド長である『シャル』もまた、ヘルサス伯爵に同調するように信じられないという顔を浮かべていた。


スイレンは冒険者ギルドの頂点というべき、勲章ランクAに位置しており『ルードリヒ王国』の中ではまず、間違いなく五指入る実力者・・・・・・・なのである。


だからこそヘルサス伯爵はスイレンを王国軍に推薦してこれまで多くの事に目を瞑り、そして目をかけてきたのであった。


そんなスイレンをまるで赤子の手を捻るかのように、あっさりと倒してしまったのだから信じられる筈がない。


「な、何か、何か汚い罠を仕掛けられたに違いない! だ、誰かあのソフィというガキを即刻失格にして、私の元に連れてこい!」


ヘルサスは突然言いがかりを始めたのでディラックが止めに入ろうとしたが、その前にマーブル侯爵がヘルサスの元まで歩いていき、口を開くのだった。


「お待ちなさい、ヘルサス伯爵。自分の王国の選手が敗れたからといって、そこまで言われると見苦しいにも程がありますぞ」


「み、みみ、見苦しい……だと!? くっ……! マ、マーブル侯爵、貴公にはわからないでしょうが、スイレンは次代を担う王国の……」


「へ、ヘルサス様!!」


しかしヘルサスが続きを言う前に『リルバーグ』のギルド長のシャルが言葉を発すると、ハッとした顔を浮かべた後に、慌ててヘルサス伯爵は両手を口元に持っていき言葉を噤むのだった。


その様子に何かを感じ取ったマーベル侯爵は、ヘルサスの思惑を探るような視線を向けたが、表立っては何も発言を続けなかった。


「こ、これは失礼……。シャル、あの少年を念入りに調べておきなさい」


その命令に『リルバーグ』のギルド長『シャル』は、ヘルサス伯爵の言葉に神妙に頷くのだった。


……

……

……


そして試合会場では勲章ランクEのソフィが、勲章ランクAのスイレンを倒した事で大盛り上がりであった。


観客席にいるリーネは兄のスイレンの強さを直に見て育っていたので、こうまであっさりと倒したソフィをその目で見ても、未だに信じられなかった。


「う、うそでしょ……! そ、ソフィって本当に何者なのよ?」


勝利者コールを受けた後にソフィは、失望するようにスイレンを見ていたが、やがて踵を返してディーダの元へと歩いて行くのであった。


「ほ、本当にアンタはどうなっているんだ? 相手は両国でも類を見ない程の実力者にしてAランクのスイレンだったっていうのによ……」


ディーダは顔を引きつらせてそう口にしながらも、ソフィの肩に手を置きながらも喜んでくれるのだった。


しかしそんなディーダとは対照的に喜ぶどころか、がっかりするような表情を浮かべて溜息を吐くのだった。


「もう少し楽しませてくれるものかと思ったのだがな、とんだ期待外れ・・・・・・・だった」


ソフィは今回二つの意味で失望をさせられてしまった。


一つはスイレンという男の力量。そして二つ目は自らと同じ他者を導く者としての期待である。


二つの期待を裏切られたソフィは、不機嫌そうな態度でそのまま会場を出ようとしたので、慌ててディーダはその後をついていった。


そしてソフィ達はディラック達と合流しようと、会場のロビーから出るところで一人の男が前から歩いてきてソフィの前で立ち止まったかと思うと、そのままじっとソフィの顔を見てくるのであった。


「む……? お主は確か……」


その男とは観戦室で試合を一度見た現役最強の剣士と謳われている『リディア』だった。


十歳くらいの少年の姿となっているソフィとリディアの間には身長差があるため、当然に彼はリディアを見上げる形となる。


そしてリディアは静かに口を開き始めた。


「お前は素晴らしい実力の持ち主だな。本音を言えば対抗戦ルールなどを無視して今すぐにでもお前を斬ってみたいが、流石に今の俺の立場でそんな真似は出来ない。残念だが楽しみは決勝トーナメントまで取っておく。俺の名前は『リディア』だ、覚えておけ『ソフィ・・・』」


リディアはソフィに一方的に告げた後、そのまま背を向けて去っていった。


「い、今のが『リディア』だソフィ! し、信じられない、あの寡黙で何を見ても興味なさそうな『リディア』がわざわざ出向いてあんなことを言うなんて……!」


「……」


余程衝撃的だったのかディーダは、あわあわとしながらソフィに話しかけている。


「そうか。では今度こそ奴が『期待外れ』ではない事を祈っておくとしようか」


そう言ってソフィとディーダは、ディラックとリーネたちと合流するために再びその場から歩いていくのだった。

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