テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「……」
銃兎は、横に座る自分よりも背の低い中学生を見る。
さっきから無言で考え込んでいる三郎は、どうやって自分のプライドと相手のプライドを傷つけずに関節キスをするかで埋め尽くされている。
「あの……三郎くん?」
「……なんだよ、今考えてんだから邪魔しないで」
銃兎が部屋のテーブルに置いてあるペットボトルの存在を教えようとするが、三郎はその事実を目の当たりにしたくなく、続きを遮る。
「……はぁ……」
銃兎は1つ溜息をつき、ベットから腰をあげる。
ぎし、と音が鳴る。
「……」
銃兎は三郎がこちらを見ていないのを確認し、静かにテーブルに歩み寄る。
銃兎はペットボトルを持つと、キャップを開ける。
水は飲まずに飲み口に唇をつける。
飲み口にキスをし、三郎の方に歩み寄る。
「喉、渇いてませんか? 水があったので、これを飲むといいですよ」
「……あ、あぁ……」
三郎が素直に受け取り、キャップを捻る。
三郎は、まじまじと水を眺め、おかしなところは無いと判断し、水を1口飲んだ。
ガチャ。
扉が、音を立てて鍵が開いたことを伝える。
「……え?」
三郎は飲み口から唇を離して、銃兎を見つめた。
しかし、銃兎はにこりと笑うだけで、うんともすんとも言わない。
扉が開いたというのに。
すなわち、それは三郎が気付かぬ間に銃兎との関節キスを終わらせていたということだ。
三郎は、それに気づいた瞬間、顔を真っ赤にして叫んだ。
「も、も、も、もう!!! 僕のファーストキス返せ!!!!」