テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
縁側から外を覗いてみると、お父さんと兄さんがいつものように畑仕事をしていた。
兄さんはめんどくさそうに手伝いをしてる中ふと顔を上げた。「なにボーッと見てんだ?お前も手伝え!」と
少しいたずらっぽい笑顔を見せこちらにかけてくる。私も少しめんどくさがりながら道具を手に取り、手伝うことにした。しばらく作業をしていると、お勝手からはお夕飯の準備が進んできていい匂いがする。気がつけばもう日が落ちかけていた。
「みんなー。もうすぐご飯よ」というお母さんの優しい声が聞こえ、私達は作業を終え家へ戻った。うちはそんなに裕福ではなかったけど、私はこんな生活が大好きで、いつまでも続くと思っていた。
夜になり、眠りにつきかけた時だった。ガリ、ガリと外から戸をひっかくような音がする。「お父さん、お母さん外からなにか音がするよ?」と私は二人を起こした。「様子を見に行ってくる」そう言いお父さんは、玄関へ向かった。先に寝てようかとお母さんと話していたとき、何かを切り裂くような鈍い音が聞こえた。その音に驚いた兄さんも目を覚ます。様子を見に行こうとしたその時、突然人が入り込んできたかと思えば、人のものではない触手が伸びてきてお母さんを滅多切りにした、返り血を浴びパニックになった私と兄は悲鳴を上げた。逃げ出したいが足が、体が動かない。やっとの思いで動いたときには遅かった。ザシュッという音と共に痛みが走った。痛みに耐えながら目を開けると、自分の体に触手が刺さり、兄さんは血まみれで倒れていた。兄さんと呼びたかったが痛みで声が出ない。この触手を抜かなければ兄さんに駆け寄ることもできない。咄嗟に近くに落ちていた斧を手に取り、触手を斬る。斧を捨て、痛いのに耐えながら兄さんのもとに行く。「兄さ、」呼ぼうとしたが、兄さんに触れた瞬間にやめた。だって兄さんの体はもう冷たくなってて、息もしてなかったから。優しかった兄さんやお父さんお母さんを思い出し涙が出る。もう、大好きなみんなはいない。そんな現実を突きつけられ絶望の淵に落ちていると、後ろに気配を感じた。振り向いたときにはもう遅かった。何かで斬りつけられ血しぶきが上がる。私は、痛みに耐えられずそのまま意識を失った。