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(☕️視点)
「……ラン、嬉しそうやな。」
「…っ、え、?」
リュウキとたっくんが帰った後、なんだか余韻に浸るように、嬉しそうな顔でそのまま外を眺めているラン。
隣からそんな様子を見ていて、思わずそう呟いた。
「うん…っ、まぁね、?…2人が幸せそうでよかったなって…」
そう言ってなぜか自分も照れたような表情をするランに、可愛い奴やなと微笑ましくなっていると、ナオヤの声が入口から聞こえてきた。
「ただいま〜♡」
「……バカップルのご帰還や、」
やけにご機嫌そうなナオヤと、その後ろで買ったものを持たされているセイトを見ながら小さく呟くと、俺の言葉にランがくすっと笑う。
「ナオちゃん、ここに置いとくで。」
「うん、セイちゃん、ほんまにありがとう〜♡」
「…じゃあ、俺戻るな、?」
「うん…」
「ナオちゃん、?寂しいん?」
「……せいぴゃんは、?」
「そんなん、俺も寂しいで、?なぁちゃん、」
「……”せいぴゃん”……、?」
「………”なぁちゃん”、、?」
2人のあまりにも甘いやり取りに固まりながら、その呼び方を思わずランと交互に口にした。
「も〜♡ほんまにナオの事好きなんやからぁ〜♡」
「それはお互いやろ?笑」
「うん、ナオも、セイちゃんのこと、だ〜いす「ああもう!鬱陶しいねん!!はよ帰れアホ!!!」
ナオヤが言い終わる前に言葉を蹴散らすと、邪魔せんといてよ〜!とぷりぷり怒るナオヤと、少し恥ずかしそうにしながら笑うセイト。
「はいはい、ごめんな(笑)ほな帰るわ、またな〜」
「お仕事頑張ってな〜?♡」
「ナオちゃんもな?」
ほわほわした空気を纏いながら、手を振り合う2人。
「……ラン、なんか今日、気温高ない?」
「……そうやな、、笑」
リュウキとたっくんの初々しかった空気と、ナオヤとセイトの甘ったるい空気が混ざり合った店内で、ランとそんな冗談を言い合っていた。
***
「なぁカイリュウ〜、あんたちょっと客引きしてきてやぁ〜。」
「はぁ?なんで俺やねん」
セイトが帰ってから数名の客が来たものの、それからは暇な時間が続いていて、ナオヤがだら〜っとカウンターに突っ伏しながら、そう声を掛けてきた。
「ええやんか、一番声通んねんから。」
「俺の声は商売道具やねん、丁重に扱えよ。」
「じゃあ俺行こうか?」
「えっ、?」
食器を洗い終えたらしいランが、蛇口を締めながら名乗り出る。
珍しい言葉に思わず声を上げると、ナオヤが待ってましたと言わんばかりの顔で、さっきまで項垂れていた身体を急に起こした。
「え〜!ランちゃん行ってくれるん〜?ありがとう〜♡ランちゃんが行くなら、忙しなるなぁ?」
「おい俺が行っても忙しなるやろ!…ん?ランって客引きしたことあったっけ。」
「ううん、ない。笑」
「ないんかい!…まぁ、ほんなら一緒に行ったるかぁ、」
「え…?あんた、さっきまで渋ってたくせに、ランちゃんが行くって言ったら…も〜♡」
「はっ、?やった事ないって言うからやろ…っ、おい、ラン、はよ行くで。」
「あ、うん…っ、」
「いってらっしゃ〜い♡」
やけにからかってくるナオヤから逃れるように、ランを連れて外へと向かった。
……
「あっつ、、!!!」
外に出ると、そのカンカン照りの暑さに、まだ何もしていないのに思わず店内に引っ込みたくなってしまう。
「……てか、なんか今日人少な。笑」
「おい言うな言うな、やる気削がれるやんけ。笑」
そんな会話をしながら海岸に向かい、ランに声の掛け方を一通り教えると、二手に分かれ、俺は波打ち際の方に歩いていった。
「……あ〜っ、そっすか〜、またお願いします〜!」
何組か声を掛けながらも苦戦して、場所を変えようと一度ランの方に向かった。
何処にいるか分からずにキョロキョロしていると、女の子数名に囲まれているランを見つけた。
お、客引き成功してるやん。
そう思いながら近づいていくと、女の子との会話が聞こえてくる。
「海の家?お兄さんのライン教えてくれたら行く〜!」
「私も〜!」
「あ〜…はは……」
「お仕事って何時までなんですか〜?」
「いや…、まぁ、……遅いんで…」
「全然待ってますよ〜♡」
「え…っ、いやいやいや、、」
ぐいぐいと絡まれて、困ったように愛想笑いをしているラン。
明らかにナンパされているその光景に、なぜか胸にモヤモヤが広がっていく。
…まぁ、ランって、イケメンやしな。
そらそうか。そりゃこんなイケメンが声掛けてきたら、女の子は放っとかんよな。
……いや、てか、何女の子に声掛けとんねん。
職権乱用か?お前、ナオヤにその言葉浴びせとったくせに、何自分もやっとんねん。
………ほんでお前も、嫌ならハッキリ断れよ。
優しいのはええけど、そういうのはちゃんと言わなあかんやろ。
それともなんやねん、
……ほんまは、満更でもないんちゃう。
ランの愛想笑いが、だんだん、
そんな風に、思えてきて。
「っ、おい、ちょっと来い。」
「…っ、!え?あ、カイリュウ…っ、?!」
なんだかイライラして、ランの腕を引っ張って、女の子達から遠ざけるように逆方向に歩いていく。
「っ、カイリュウ、ありがと…っ、」
お礼を言ってくるその言葉で手を放して、立ち止まるとランに向き直った。
ほっとしているようなランの表情に、なぜか余計にイライラしてしまう。
「…ありがとうちゃうねん。」
「え…っ?」
「お前、客引きいうか、ただ女の子に声掛けただけとちゃうん。」
「はっ、?!ちが…っ、!さっきのは、あっちから急に声掛けられて…!」
「…っ、じゃあ、嫌ならハッキリ断れや、」
「っ、…いや、…もし来てくれるんやったら、無碍にできんと思って…」
「…ほんまにそれだけか?」
「…え、どういう意味、」
「……ほんまは、満更でもなかったんちゃうん。」
「なん…っ、そんなわけないやろ!」
「…っ、大体、お前がぼーっと突っ立っとるから隙突かれんねん、」
「は、?…前は突っ立ってろって言ってたくせに、」
「っ、それは前の話や、今は……っ、」
「今は?」
「……っ、」
……今は、?
今は、なんやねん……?
“お前みたいなイケメンは客引き楽しいやろなー”
“ランなら突っ立っとるだけで客来そうやな、頼むでほんま。”
“…こうなったらお前の番や、ラン。そこに突っ立っとけ。”
ランの、言う通りやんけ。
今まで散々、そんな事を冗談でランに言ってきたくせに、…俺は、何を怒っとんねん。
ナンパだとしても、客が入ってくれるなら、それに超したことはないはずなのに。
なんで、俺は、チャンスを逃してもうたんやろ。
それに、ランがあの子らとどうなろうが、俺には関係ないやんけ。
……なんで。
何に、イライラしとんねん俺は。
「……ごめん、暑さで頭おかしなっとるわ、」
「……答えになっとらんよ、」
「え…、?」
「今は、なんなん。」
急に真剣な顔になって、俺を見つめてくるラン。
その眼差しに焦りながら、強引に話を断ち切った。
「っ、…別に。なんもあらへん。…もうええから、ランは先戻れ。」
「……っ、……わかった。」
少し怒ったような声で返事をして戻っていくランに、俺何しとんねんと自己嫌悪に陥りながらも、再び客引きに向かおうと歩き始めた。
***
(🦅視点)
「……あれ?ランちゃんおかえり〜、カイリュウは?」
「……わかんない。なんか怒られた。」
「え、?なんでっ?!どうしたん?」
一人で店に戻り、状況を知らないナオヤの問いかけに少し拗ね気味に返すと、慌てたように俺を隣に引き寄せるナオヤ。
カイリュウに理不尽に怒られたこと、”今は”と言いかけて、聞いても誤魔化されたことにモヤモヤしていた俺は、ナオヤにさっきの話をすることにした。
「いや…、途中、ちょっと女の子に声掛けられて。困っとったら、カイリュウが来て助けてくれたんやけどさ…」
「やっぱりランちゃん、モテモテやなぁ〜…、うん、それで…、?」
「……でも、カイリュウ怒ってて。…客引きやなくて、女の子に声掛けただけやないんかって、疑われて。」
「え?なんでそんなこと…っ、……も〜、あいつ…」
「…あっちから声掛けられたし、…まぁ、もしかしたら来てくれるかもしれんからって、曖昧な態度取った俺も悪いんかもやけどさ。…でも……ほんまは満更でもないんちゃうとか言われて、ちょっとムッとしちゃって……」
「……、はぁ〜……ほんっまにもう〜、、自分の事はこうなんやから……、」
「え…?」
「…うん、…ランちゃん、あのな?……それはカイリュウ、女の子に嫉「おい何をべらべら喋っとんねん。」
いきなりよく通るカイリュウの声がナオヤの言葉を遮り、顔を上げるとカウンターに入ってくるカイリュウと目が合った。
「あっ、…おかえり〜?え、なにがぁ〜?」
「おい、しらこいねん!」
「も〜、あんたが素直やないから、ナオが言うたげようとしただけやんかぁ。」
「何を言うつもりやねん、なんもあらへんねん別に、」
目が合ったのに、そのままナオヤにふいっと目線を向け、俺に何も言ってくれないカイリュウに少しだけまたムッとして、言葉を発した。
「……なんもなくないやん。」
「は、?おま、なんやねん…、」
「なんか怒っとったやん。」
「怒ってへん。」
「怒っとった。」
「怒ってへんて、」
「…怒っとった。」
「……っ、しつこ。」
「……だってさっきの、答えてくれんやったやん。」
「っ……、」
「ほら。」
「…っ、もう、うるさいねん!お前がちゃんと断らへんからあかんのやろ、!」
「…っ、やけんっ、無碍にできんやっただけやろ…っ、!」
「あ〜も〜!はいはいっ!!イチャイチャすんならもう帰ってくれますぅ〜?!」
カイリュウと少し言い合いになるも、ナオヤが急に手をパンパン叩きながら、そう言って俺達を制止した。
「おま、どう見たらそうなんねん…っ、」
「…てかさぁ、今日暇やし、ほんまに2人上がってええよ?」
「え、?」
「は?いやお前、こっから増えたらどないすんねん」
「大丈夫やって!そんなのナオが、ちゃちゃ〜っと捌いたるから!…まぁ、ナオもちょっとサボっちゃってたし、そのお詫び…?」
「おいやっぱりサボっとったんけお前」
「やっぱ職権乱用やん」
「あは〜?なんのことやろ〜?♡笑」
「こいつほんまに…っ、」
「はいはいっ、もうええから、2人でデートでもしてきたらぁ~?♡」
「はっ?おいっ、ちょ、押すなや、!」
「ちょっ、ナオヤ…っ、!」
半ば無理矢理ナオヤに身体を押されて、カウンターから出される俺とカイリュウ。
「おい、ほんまにええんやな?ほんまに帰るで…?」
「いいって言うてるやんか〜、もうあと少しやし。はいっ、ばいば〜い、また明日なぁ〜?」
「じゃあ、、ナオヤありがと。お疲れ、また明日ね」
ナオヤにそう言ってから、カイリュウと少し目が合うも、さっきのが尾を引いてるのか、じゃあおつかれ、と言ってそそくさと背を向けて帰っていく。
なんだかそれが急に寂しく感じて、思わずカイリュウの腕を掴んだ。
「まってよ、カイリュウ…っ、」
「…っ、なんやねん、」
掴んだものの、その先を考えてなくて、どうしようと考えていると、あ、とふと頭に思い浮かんだ事を口にした。
「……賭け。」
「え、?」
「賭け、俺の勝ちやろ。今日暇やったやん、」
「っ、…あぁ、はいはい、お前の勝ちや。ほんならまた明日な「勝ったら何やったっけ?」
「え…、」
「……たまには奢ってよ、先輩。」
絞り出した理由を吐いて、訴えるように目を見つめると、ふっ、と小さく笑うカイリュウ。
「お前…っ、こんな時だけ後輩面すんなや。笑」
「なんが?いつも後輩面やけど。笑」
「っ、ふ…っ、ほんま、生意気やな…笑」
「……だっていつも勝っても流されるし。」
「…しゃーないな、今日だけやで?」
「ほら!また流す気やん!笑」
「ふははっ、そら分からへんやろ、そんときはそんとき。笑」
「も〜、、笑」
からかわれながらも、カイリュウがその気になってくれたのが内心嬉しくて、さっきムッとしていたのが嘘のように、俺の心は弾み始めていた。
***
「……なんか変な感じやな、?お前と2人で呑むの。笑」
「そうやね、笑」
海の家から近い居酒屋にふらっと入って、一杯目のお酒を飲んでいると、お互いになんとなくドギマギしているような空気が流れだす。
初めて、プライベートで、しかも2人きりでカイリュウとご飯に来た。
自分から誘ったくせに、実は緊張していたのを、カイリュウの言葉で余計に自覚してしまう。
お酒の力を借りようと、グラスを口に傾けていると、じっと俺を見てくるカイリュウにドキッとする。
「っ、…なに、?」
「なに緊張してんねん。笑」
「えっ?/……なんでバレたん、」
「ふはっ、ほんまに素直やな…っ、いやまぁ、わかるで、?俺もなんかやっぱ変な感じやわ、笑」
“俺も”と、くしゃっと笑ったカイリュウは、照れているような、でもなんとなく俺を安心させてくれているような、そんな気がして。
あぁカイリュウってこういう人だよねなんて、なんだか胸の中がじんわりと熱くなっていた。
……
緊張していたのもあって、俺達はお互いに呑むスピードが無意識に速くなっていた。
何杯目かのグラスを空けた後、カイリュウがメニューを差し出してきた。
「らん、つぎ、なにのむ、?」
そう言いながら、向かい側からメニューを一緒に眺めているカイリュウは、ほんのり顔を赤く染めている。
喋り方はどことなく舌っ足らずで、どう考えても少し酔っ払っているその姿に、とっくに緊張は溶けて、代わりに可愛いななんて思ってしまう。
「カイリュウは?」
「ん〜おれ、?ん〜、…あ、らん、」
「え、?」
いきなり俺の手をぎゅっと握ってきて、びっくりして動揺していると、そのまま手を上に持ち上げられ、ぽん、と横に落とされる。
「メニュー、みえへん、」
「っ、…あぁ、そういうこと…っ、ごめん、、っ、」
なに動揺してんの俺。
俺もちょっと、酔ってきとんかも。
お互い前のめりでメニューを眺めていて、カイリュウの顔が少し近いことに、なんだかまた緊張してしまう。
「ん〜、やっぱハイボール。」
「いやずっとそれやん。笑」
「んははっ、ばれた?」
言いながら、急に顔を上げたカイリュウがニコニコしていて、思わずその屈託のない笑顔に胸がきゅんとしてしまった。
笑ったかと思えば、少しとろんとした目で俺を見つめてくるカイリュウ。
「なー、らん。」
「ん…、?」
「…おまえって、ほんまにイケメンやな、?」
「っ、え…なん、いきなり、笑」
「いきなりちゃう。ずっと言うてるやんけ、」
「…っ、カイリュウ、飲みすぎやって。」
「…そら、女の子が、ほっとかへんわ、」
「…え…、?」
「こんな、顔良くて、…やさしくて、…ふはっ、犬みたいで、?かわいーとこも、あんのよな、」
「……っ、え、、ちょ…っ、かいりゅう…っ、?/」
ふにゃふにゃと、酔っ払って俺の事をそんな風に言うカイリュウに、そんな事思ってたんやと思わず照れながらも、口角が上がってしまう。
……そういえば、俺の歓迎会をしてくれた時も、初日やったのに褒めてくれたっけ。
でも、あの時より確実に、カイリュウの言葉に中身がある。
……やばい、どうしよ、
めっちゃ、嬉しいかも。
「…まぁ、ちょっと生意気やしぃ、しつこいけどな〜?ふははっ、!」
「……っ、おい。笑」
「おこったん?笑」
「べつにっ、?」
「あぁ、そうそう。あとすぐ拗ねる。んはは。」
「っ、、カイリュウだって、」
「ん、?」
楽しそうに俺をからかうカイリュウに、反撃してやろうと口を開いた。
「カイリュウだって、結構拗ねるやん。」
「どこがやねん、おれはそんな子供やないねん」
「……今日だって、本当はさ、」
「なんやねん、言うてみぃ。」
「っ、、」
本当はさ。
……もしかして、
俺の腕を引っ張ったあの時、
嫉妬しとったんやないん。
そうだったら、…いいのにな、なんて、
内心、思っている自分がいた。
でもそんなの、あるわけないよな、
「ん?」
「……っ、やっぱなんもない。」
「はぁ?なんやねん!」
「ええやん。カイリュウの真似。笑」
「おま…っ、似てへんねん…っ!」
「ふふっ。…じゃあ、俺も褒めよっかなー?」
「あん?」
ご飯を口に運んでいるカイリュウを眺めながら、カイリュウの良いところを挙げていく。
「カイリュウはさ、かっこええよ。」
「…なんやねん、急に…っ、」
「…みんなの事、ちゃんと見とってさ。さりげなくフォローしてくれるし。優しいし。」
「…っ、おん、せやろ、?かっこええのよおれ。」
「……でも、たまに不器用やし、なんかツンツンしてくるけど。笑」
「っ、おい褒めろやもっと。」
「……褒めとるよ。そこが可愛い、カイリュウは。」
「は…っ、?」
あ。
可愛いって、言っちゃった。
……まぁ、ええか。
だって実際、そう思っとるし。
「かわいい、?どこがやねん、」
「そういうとこ、?笑」
「……おまえ酔うてる。」
「ははっ、そうかも。」
「そうかもやないねん、」
酔っていてなのか、照れているのか、顔がさらに赤くなっているカイリュウのことを、やっぱり可愛いと思ってしまっていた。
***
「カイリュウ、ご馳走さま。ありがとう、」
「おん、今日だけやで。」
「またそれ言う、、笑」
「んははっ、嘘やって。」
店を出て、帰り道の海沿いを歩く。
すっかり外が暗くなって、波音が静かに響いていた。
「……カイリュウって、家こっち?」
「うん、ここまっすぐ。ランは?」
「俺も。」
「そっか、」
お互い同じ方向だと分かって、しばらく同じ道を歩いていく。
……真っ直ぐって、どこまでやろ。
俺が曲がる所まで、一緒やったらいいな。
なんとなくそんな事を考えていると、カイリュウが独り言のように呟いた。
「……なんや、外でたら酔い冷めてもうたな。笑」
「結構酔ってたのに?笑」
「…なんでやろ、わからへんけど。」
そう言うカイリュウの声は、なんだか少しだけ、寂しそうに聞こえて。
……俺が、そう思っとるからかな。
「……なんだかんださ、結構おったね。笑」
「おん。…まぁ、まだ全然話せるけどな。笑」
笑いながらも、”まだ話せる”、なんて。
そんな事を、言われたら。
「……ねぇ、カイリュウ。」
「ん?」
「……俺んちくる、?」
「えっ、?」
発してしまったその言葉に、目を丸くするカイリュウ。
やば、違ったかも。なんて、内心焦って顔を見れずにいると、隣から返事が返ってくる。
「……行ってええの?」
「っ、…え、?う、うん。もちろん、」
「…んー、じゃあ、行く。」
「…っ、うん…っ、おっけー、、っ、」
思わぬカイリュウの返事に、嬉しさを必死に隠しながら、こっち、と道案内をした。
***
「……お前すごいやん…っ、」
カイリュウを家に上げて、飲み物をリビングに持っていくと、飾っているダンスの大会のトロフィーや賞状を見て、俺にそう声を漏らした。
「そう、?ありがと…っ、」
「これ、全部優勝なん?」
「うん、一応。」
「すっご…、俺も頑張らなあかんわ…っ、」
キラキラした目で見てくるカイリュウが可愛くて、ふふ、と嬉しくなる。
「なぁ、ランが踊ってる動画とかあらへんの?」
「あるよ。」
「え、見せてや。」
ソファーに座って、スマホの中にある動画を探していると、カイリュウが隣に腰掛けた。
「…これが一番最近のかな。こないだ東京行った時の。」
「え、どれどれ…っ、」
俺がスマホの動画を再生すると、画面を覗き込んで、真剣に見入るカイリュウ。
一緒に動画を見ながらも、身体が少し触れ合うくらいの距離にカイリュウがいることが気になって、画面を見つめるその横顔を、少しだけ眺めていた。
動画が終わると、感想が気になって、ドキドキしながら声を掛ける。
「……どうやった、?」
「めっちゃかっこええやん…っ、!」
「っ、ほんと…っ?」
「ほんまやって!…いやほんまにすご…っ、こことかどうなってん…っ!」
ぐいっ、と俺のスマホを握って、もう一度気になるところを再生するカイリュウ。
その思っていたよりも大きな反応に、嬉しくて胸がいっぱいになる。
「お前、なんでこんなとこおんねん、東京でもっと活躍できるやろ…っ、」
「そうなれるように頑張っとるよ。…まぁ、こっちで実力つけてから、東京行けたらななんて思って。」
「どこまでも真面目やな、お前は、、」
話しながらも、また俺の動画を眺めるその姿に、カイリュウに見てもらえてよかったな、なんて思っていた。
「俺がランやったら、明日にでも東京行っとるわ。笑」
「あははっ、そういう行動力、まじで尊敬する。笑」
「いや、いけるって。」
確かに、そういう選択肢もあったけど、
まだ、ここにいてよかったななんて、
カイリュウの顔を、無意識に眺めていた。
「……でも、こっちにおって、よかったかも。」
「なんで?」
「……カイリュウに、出会えたけん、」
「……え、?」
俺の言葉に顔を上げたカイリュウと、目が合って。
そのまま、お互いに目を逸らさないまま、見つめ合った。
……あ、なんか、
こういうの、…前にもあったな、なんて、
カイリュウと、お互いに、
顔を近づけようとしたあの日の事を、
ふと、思い出して。
あの時、カイリュウは、
俺の事、どう、思ってたんやろ。
……今は、どう、思っとるんやろ。
俺は、どう、思ってるんやろう。
そんな事を考えていると、
また、あの時みたいに、
自然と、顔が近づいて。
唇に、柔らかい感触が、伝わっていた。
#mazzel
あめ
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更新ありがとうございます♫ ついに🦅☕️きました✨✨✨ このふたりの甘酸っぱい感じが大好きです❤️ ☕️の嫉妬しちゃうところとツンデレさと小悪魔っぽい感じがめっちゃ刺さります! 最後最高すぎて言葉でません🤦🏻♀️🤦🏻♀️ 次回も楽しみに待ってます🍀*゜

更新ありがとうございます! 最後!最後ー!!ドキドキ展開で目みひらいてます!