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言い忘れておりましたが、次が最終話です!私は学校がありますので、更新は18:00頃を予定しております!最後までどうぞ、お楽しみください!!
あの帰り道、俺の言葉に涙を流した後、藍は何も言わなかった。
ただ、俺が握った手を、そっと、でも確かにつなぎ返してくれた。
その手は冷たくて、ずっと一人で抱えていたものが、少しだけ俺にも伝わってくるようだった。
それから、二人の関係は少し変わった。
急に昔に戻れたわけじゃない。
藍は相変わらず、時々遠くを見つめ、微笑んでいてもどこか寂しげな表情を見せることがあった。
それでも、俺が声をかければ振り向いてくれるようになった。
二人で歩く帰り道は、以前よりも少しだけ静かだったけれど、その沈黙は決して辛いものではなかった。
そして俺はそのちょっとした変化が嬉しかった。
《愛のために生きるのならそれに口出しはしないけども》
SNS上では、相変わらずキラキラした投稿が溢れていた。
藍の投稿も、以前と変わらず楽しそうなものばかり。
でも、俺はもう、その裏に隠された藍の本当の気持ちを、少しだけ知っている。
だから、もう焦る必要はない。
《大きな声で唄を歌うことは僕にはまだ無理だろう》
俺は、大袈裟な言葉で藍を励ますことはできない。
だけど、藍が寂しそうにしている時、俺はただ、隣にいることしかできない。
それが今の俺にできる、精一杯の「愛」だった。
《描いて歩いた道 見えた景色はお空は青》
秋になり、夏とは違う、少し冷たい風が吹く日。
俺たちは、あの頃と同じ帰り道を歩いていた。
「ねえ、覚えてる?」
藍が立ち止まって、空を見上げた。
「もちろん、覚えてるよ」
「あの頃の青い空、時々、すごく眩しかった…よね」
藍はそう言って、少しだけはにかんだように笑った。
「でも、今は…」
藍は俺の方を向いて、少しだけ泣きそうになりながらも、はっきりと俺の目を見て言った。
「今は、眩しすぎなくて、ちょうどいい」
その言葉に、俺は胸が熱くなった。
《何故ここにいて何故生きていて 何故悲しませるかは未だ謎》
藍が抱えていた謎は、まだすべて解けたわけじゃない。
どうして藍が孤独を感じていたのか、どうして心を閉ざしていたのか。
俺にはまだわからないことだらけだ。
だけど、藍はもう一人じゃない。
俺がいる。
そして、藍も、俺の隣にいることを選んでくれた。
《笑って近寄って遭ってほらまた笑顔な顔》
もう、張り付いたような笑顔じゃない。
心が、少しずつ、少しずつ、昔の色を取り戻し始めている。
あの頃のような無邪気な笑顔が、いつかまた見られるかもしれない。
そしてそうなることを、俺は願ってる。
「きっと、俺も、まだ謎だらけなんだろうな」
俺が呟くと、藍はクスリと笑った。
「私もだよ。だから、一緒に見つけようよ、その答え」
太陽が沈み、空が藍色に染まっていく。
俺と藍は、つないだ手を離さず、ゆっくりと歩き出す。
二人で歩む、新しい帰り道。
その先には、どんな景色が待っているんだろうか。
まだ、わからない。
でも、きっと。
大丈夫だ。
俺たち二人なら。
《何故悲しませるかは未だ謎》
その謎を、これから二人でゆっくりと、解き明かしていく。
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誤字等ありましたら、教えてくださると嬉しいです。感想なども大歓迎です!
また、今日中に時間をおいてこの小説は投稿し、完結します。最後までどうぞお楽しみくださいませ…