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僕の夢
一年三組 〇〇
ぼくは、ゆめがきらいです。
学校で、しょうらいのゆめをかくプリントがくばられました。
みんなはすぐにかいていました。
サッカーせんしゅ。
けいさつかん。
ケーキやさん。
ゆうちゅうばあ。
みんな、すごいなとおもいました。
ぼくは、なにもおもいつきませんでした。
先生がぼくのところへきました。
「なにになりたいの?」
ぼくはくびをふりました。
「まだきまってないのかな?」
ちがいます。
きまってないんじゃなくて、ないんです。
でも、うまくいえませんでした。
先生はわらって、
「だいじょうぶ。そのうちみつかるよ」
といいました。
ぼくは、そういうものなのかなとおもいました。
だけど、そのあともみつかりませんでした。
小学校を卒業する時、卒業文集を書くことになりました。
将来の夢を書くページがありました。
みんなは楽しそうに書いていました。
ぼくは何も書けませんでした。
先生は困ったような顔をしました。
「まだ決まってないって書けばいいよ」
でも、違いました。
決まっていないんじゃない。
最初からないんです。
そのころから、少しだけ思うようになりました。
夢がないのは変なことなんだろうか、と。
中学生になった。
進路について考える授業が増えた。
将来なりたい職業。
行きたい高校。
やりたい仕事。
先生も親も、皆同じことを聞いてきた。
僕は答えられなかった。
友達は目を輝かせながら話していた。
サッカー選手になりたい。
漫画家になりたい。
保育士になりたい。
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ほなみのみの
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どうしてそんなにはっきり言えるのだろう。
不思議だった。
だから聞いてみた。
「どうしてその夢なの?」
返ってきた答えはどれも曖昧だった。
「好きだから。」
「なんとなく。」
「気づいたらそう思ってた。」
誰もはっきり説明できなかった。
それなのに、夢を持っていることは当たり前だった。
夢を持たない僕の方が変だった。
そんな空気が苦しかった。
高校生になった。
進路はもっと現実的な話になった。
大学。
就職。
資格。
将来。
皆、自分の未来について考えていた。
俺は考えられなかった。
考えようとしても何も浮かばない。
先生は言った。
「夢がなくても目標くらいはあるだろう?」
親は言った。
「やりたいことを見つけなさい。」
友達は言った。
「本当に何もないの?」
何度も。
何度も。
何度も。
聞かれ続けた。
俺にはわからなかった。
どうして夢が必要なんだ。
どうして夢がないだけで、そんな顔をされるんだ。
この世に、小さな頃からの夢を本当に叶えた人間がどれだけいる?
夢を見ることは自由だ。
それはわかる。
だけど、夢を持たない自由はないのだろうか。
そう思うたび、周りは嫌な顔をした。
私は社会人になった。
だが、何も変わらなかった。
歓迎会。
飲み会。
雑談。
話題はいつも同じだった。
「子供の頃の夢は?」
「今の目標は?」
「将来どうなりたい?」
私は笑ってごまかした。
正直に答えても信じてもらえないからだ。
夢がない。
ただそれだけのことなのに。
「本当はあるんじゃない?」
「恥ずかしくて言えないだけでしょ?」
「まだ見つかってないだけだよ。」
違う。
そうじゃない。
最初からなかったんだ。
何度説明しても伝わらない。
夢を持つことは正しくて。
夢を持たないことは間違っている。
誰もそんなことは言わない。
けれど、皆そう思っているように見えた。
少しずつ。
少しずつ。
心の中に黒いものが溜まっていった。
苦しかった。
辛かった。
疲れた。
夢という言葉を聞くだけで胸が重くなった。
いつからだろう。
何になりたいかではなく。
何をしたいかでもなく。
ただ静かに生きたいと思うようになったのは。
誰にも夢を聞かれない場所。
誰にも期待されない場所。
誰にも失望されない場所。
そんな場所が欲しいと思うようになったのは。
それは夢と呼べるほど立派なものではなかった。
けれど、初めて見つけた私自身の願いだった。
小さな夢だった。
誰にでも笑われそうな夢だった。
それでも、私にとっては初めての夢だった。
だから私は、その夢を追いかけた。
長い時間がかかった。
遠回りもした。
何度も立ち止まった。
それでも歩き続けた。
そして、ある日。
私は静かな部屋に座っていた。
窓の外では風が吹いている。
誰の声も聞こえない。
誰も私に何も求めない。
ただ静かな時間だけが流れていた。
私は目を閉じる。
不思議と心は穏やかだった。
ようやく。
本当にようやく。
私は夢という言葉から解放された気がした。
今回もチャッピーに誤字などを修整してもらってます。
過去作も見ていただけると嬉しいです
コメント
1件
感想、読ませてもらいました。 「夢を持たない自由はないのか」——この言葉がずっと刺さったままです。周りが当たり前に持っている“夢”という概念から取り残される孤独と、それに押しつぶされそうになる心の描写が、とてもリアルで切なかったです。最後に見つけた“静かな願い”が、苦しみの中でやっと掴んだ希望のように思えて、胸が締め付けられました。いいお話をありがとうございます。