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6話 「再会と救出」
それは、王都近郊の廃砦での依頼中だった。
「遺跡荒らしの賊を捕らえよ」という簡単な内容……のはずだったが、砦に入った途端、耳障りな声が響く。
「おやおや、こんな所で会うとは」
現れたのは、あの市場で見かけた奴隷商人。
そして、その後ろには――銀髪の少女。
鎖につながれ、無表情で立っているが、その瞳はやはり鋭かった。
「お前……」
「お知り合い?」とミリアが横で首を傾げる。
奴隷商人はにやりと笑う。
「この娘は特別製でね。高値で売れる。邪魔はさせん」
合図と共に、周囲の傭兵たちが武器を構えた。さらに奥から、鎖に繋がれた中型の魔物――牙の生えた大トカゲが引き出される。
「面倒くさいな」
俺はため息をつき、ミリアに視線を送った。
「私は傭兵をやるわ。魔物は任せる」
「はいはい」
傭兵たちがミリアに突っ込む。その剣が閃き、次々と鎧が弾け飛ぶ。
一方、俺の前に立ちはだかった大トカゲが、口から火を吐きながら突進してきた。
「そんなもんか」
片手で口を押さえ、そのまま地面に叩きつける。砦の床石が砕け、魔物は動かなくなった。
傭兵たちもミリアがあっという間に制圧する。残ったのは奴隷商人ただ一人。
「ま、待て! 金なら払う!」
「いらん」
俺は鎖を軽く引き千切り、少女の手を取った。
その細い手が、わずかに震えていた。
「行くぞ」
少女はしばらく俺を見上げ、やがて小さく頷いた。
――こうして、俺ののんびり生活に、新しい仲間が加わった。
名前も、過去も、まだ知らない。
だが、不思議と悪くない予感がした。