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それからの昼休みは、ほとんど屋上だった。
俺は相変わらず無口だけど、陽翔は変わらずうるさくて、勝手に喋って勝手に笑ってた。
でも、一回だけ、静かになった日があった。
「……オレさ、前の学校じゃ『暴力でしか話せないヤツ』って言われてた」
屋上の柵によりかかりながら、陽翔がポツリとつぶやいた。
「ホントはちげーんだけどな。なんか、うまく言えねーとこあるからさ」
「……それで、転校?」
「うん。まあ、手出したのは事実だけどよ。……理由があるんだって言っても、大人は聞かねーしな」
俺は何も言わなかった。ただ、それを“聞く”ことだけはできた。
陽翔が沈黙する時間って、めちゃくちゃ珍しい。
それだけで、なんか俺はちょっと“選ばれた”気がした。