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天莉が(うちにそんな場所あったかな?)とか(オレオを部屋から締め出しちゃうのかな?)とか思っていたら、あれよあれよと言ううちに服を脱がされて。
「あ、あのっ」
余りの手際の良さに戸惑う天莉をよそに「風呂へ行こう」と下着姿のまま手を引かれて洗面所に連れ込まれてしまう。
「お湯はいつもより温めのが溜めてあるからね」
必死に駆けてきて脱衣所にまで転がり込んできたオレオを「ホント困った子だ」と抱き上げた尽から、吐息まじりに言われて。
尽が裸同然の自分を置いて姿を消したことに安堵した天莉が、わけも分からないまま言われた通り裸になってシャワーを浴びていたら、自身も全裸になった尽が当然のように入って来て、背後から包み込むように抱き締められた。
「あ、あの……尽くん……オレオは……」
てっきり天莉が風呂に入っている間、尽はオレオの相手に忙殺されるのだとばかり思っていたのに。
「リビングに閉じ込めてきたよ?」
さらりと言われて鏡越し、じっと見詰められてしまう。
いつもは眼鏡を掛けている尽だけど、風呂の時と就寝の時だけは裸眼だ。
どちらも大分見慣れてきたと思っていた天莉だったのだけれど、こんな風に無防備な状態の時に食い入るように見詰められたらどうしてもオロオロとしてしまう。
「今日は胸、隠さないの?」
クスッと耳元で笑われて、鏡に映った裸身へ愛し気に瞳を細められた天莉は、慌てて胸を覆い隠そうとしたのだけれど。
「いい加減慣れて?」
背後から尽に両手首をスッと握られて動きを封じられて。
天莉は、鏡越しとは言え尽に全てをさらけ出してしまっていることが恥ずかしくてたまらなくなる。
それだけならまだしも、背後に立つ尽の下腹部から隠すつもりなんてないのだろう昂りを感じさせられた天莉は、羞恥心と同時に子宮の奥がキュンと疼くのを感じた。
親睦会のあと、不可抗力とは言え一線を越えてしまった二人は、ことある毎に肌を重ねている。
尽の熱に慣らされた天莉の身体は、ほんのちょっとの刺激でいとも容易く情欲の火を灯されてしまうのだ。
「尽くん……私……」
「もう挿入て欲しい?」
チュッと音を立てて耳朶に口付けを落とされた天莉が、ビクッと身体を震わせてコクコクと必死にうなずいたと同時、太ももの間をこするようにして尽の熱が天莉の敏感な肉芽をこすった。
「あ、んっ」
シャワーの音で淫猥な水音こそかき消されているけれど、明らかにお湯とは違う滑りが尽の雄芯を濡らしたのが分かって、天莉は恥ずかしいのと同じくらいホッと胸を撫で下ろした。
(私、今日もちゃんと濡れてる……)
博視との行為では一切反応しなかった秘部が、尽となら触れられるまでもなく潤ってくる。
そのことが嬉しくて、無意識にその快感を拾いたいみたいにモジモジと臀部を揺らせた天莉に、尽が切なげに言うのだ。
「すまない天莉。今すぐにでもキミの中に挿入りたいんだけど……、オレオのことに気を取られていて避妊具を持って来るのを忘れてしまった。だけど――」
そこで背後から天莉の腰骨を両手で抱え込むようにして尽が熱に浮かされた吐息を落とす。
「ギュッと足を閉じていて? このまま二人で高みに昇ろう」
言うが早いか足と足の間。
秘部をこするように尽のものが股の間を行き来し始めて。
「や、んっ、尽くん……それ……」
「……ここをこすられるの、気持ち、いい?」
自身も呼気を熱く湿らせて、尽が問いかけてくる。
「ひゃ、……ぁあんっ!」
尽の雄芯が天莉の花芽をこするたび、クチュクチュといういやらしい音が浴室内に響き渡る。
シャワーの水音とは違ってどこか粘り気のあるその音に、天莉は目尻に涙を浮かべて耳たぶを含羞の色に染めた。
「ね? 気持ちいいかどうか……ちゃんと言葉にして……聞かせて? 天莉」
片手で天莉の腰を抱いたまま。
尽が切なさに震える天莉の唇に指を差し込んでくるから。
「気持ち、いっ。……尽くん……私、快すぎて……、もうっ……」
天莉の目の前が真っ白になったのと、天莉の足の間で尽のモノがビクビクと痙攣して欲望を吐き出したのとがほぼ同時で。
「……風呂から上がったら……寝室でちゃんと仕切り直そうね?」
達するなりクタリと崩れ落ちそうになった天莉の身体を、尽が背後からギュッと抱き締める。
「お願い。キミの中で、もう一度果てさせて?」
耳朶を掠めるように付け足された尽からのおねだりに、天莉はぼんやりとした頭のまま小さくうなずいた。
***
「あ、あのっ、それじゃあ……最初から私には断る選択肢はなかったって、こと?」
「断られる気はしなかったからね」
濡れた耳元でククッとくすぐるように笑われて、天莉はゾクリとして身体を縮こまらせた。
先ほど熱を吐き出したばかりだと言うのに、背中に当たる尽のモノはいつでもスタンバイOKみたいにガチガチに固い。
そうして天莉自身も、膣内に彼を受け入れたわけではないからか、全身から力が抜けるくらいの快感が突き抜けたにも関わらず、お腹の奥に溜まったままの熱が抜け切っていなくて。
ほんの少しの刺激でも甘えた声が漏れそうになってしまう。
ミライの方はおろか、受け入れ先のアスマモル薬品の方でもすでに根回しは済んでいるとかで、副社長になる高嶺尽には、伊藤直樹と玉木天莉二人の専属秘書が付くことで話が付いていると言う。
湯船の中。
背後から尽に抱き締められた状態でその話を聞かされている天莉は、ともするとすぐにでも情欲に呑まれてしまいそうな気持ちを懸命に話の内容へ集中しようとしている真っ最中だ。
尽が、『天莉も一緒にアスマモルへ行かないか?』と聞いてきた時には、天莉が断る未来なんて元より想定されていなかったらしい。
まんまと尽の思う通りになってしまっていることが悔しくもあり、何となく嬉しくもあるのが、天莉自身にも理不尽に思えて少しだけ納得がいかない。
「で、でも私……本当に何も知らないから。……け、研修期間とか、ちゃんと設けてね?」
背後の尽を振り返らないまま、お湯にブクブクせんばかりの体勢で眉根を寄せた天莉に、「実地が一番の研修だと思うがね?」とうつむいたことでむき出しになってしまった首筋にチュッとキスを落とされた。
「ひゃっ」
余りにも突然の口付けに、天莉はビクッと身体を跳ねさせて悲鳴まじり、背後の尽を真っ赤になりながら振り返ったのだけれど。
そのせいでパシャリとお湯が跳ねて、尽にギュッと腰を抱き直された天莉は、じかに触れる尽の肌の感触をより一層意識させられてソワソワと落ち着かない。
「ついさっき、もっとエッチなこともしたのに……。キスだけで耳まで真っ赤にしてしまうとか。ホント天莉は可愛いね」
「おっ、お湯が熱いだけ、……だもんっ」
先ほどの痴態を思い出してさらに顔が火照ったのを感じた天莉が、耳を隠しながら懸命に言い返したら、「そう?」とクスクス笑われて。
尽が笑うのも当然だ。だって、いつもより温めに設定された湯船には、ついさっき浸かったばかりなのだから。