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#異世界転移
花月夜れん
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設楽理沙
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耀聖(ようせい)
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耀聖(ようせい)
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休暇を終えて自宅から宮廷に戻ってきたけれど、リフレッシュどころか余計にストレスを抱え込んでしまった。
鬱々とするのは良くない。
気晴らしにと麗霞がやってきたのは、兵の演習場が見える穴場スポット。
塀がちょっとだけ崩れていて隙間が出来ているので、そこから兵が訓練をしている様子が見れるのだ。
いつ来てもいい所だけど、麗霞的に最高だと思うのは夏。
今日みたいに太陽が照り付けて気温がグンと上がっている日は、いいものが見られる。
「うふふふふ……やっぱりね」
目当ての光景が塀の向こう側に広がっていて、思わず笑いが込み上げてくる。
麗霞が夏場の演習場を最高だと評する理由。
それは筋肉。
稽古をしている兵達が暑さのあまり、上衣を脱ぐからである。
普段衣の下に隠れている筋肉を見放題なんて、これ以上テンションの上がることはない。
世間一般的に文官は武官より上とみなされるけど、麗霞に言わせれば武官の方がいいに決まっている。
こんもりと盛り上がった上腕二頭筋と、厚い胸板。そして割れた腹筋と引き締まった臀部。
女性の身体との違いを見せつけられているようでドキドキしてくる。
あんな身体に抱きしめられたら……と考えるだけで垂涎ものだ。例え親が決めた結婚相手であったとしても、あの身体に抱かれるなら悪くない。
問題は、武官と知り合う機会に全く恵まれないこと。画院では武官を相手に仕事をする機会が少な過ぎる。
「まぁ今はそんなことどうでもいいわ。筆筆っと……」
持ってきた携帯用の筆記具と紙を取り出して、スケッチ開始。
「あの人の背中、すっごくセクシーね。腹筋と胸筋ばかりに注目して描いてたけど、背中もある意味やらしいかもしれないわ」
ストレートに描くより、一番見たい部分や大事なところはチラ見せするくらいが調度良い。
生々しいのよりも想像力を掻き立てるような描き方をした方が、女性ウケする。
次々と男性達の身体をスケッチしては、次回作への妄想を膨らませていく。紙は高いので出来るだけ余白がないように。紙一面、男性の上半身だらけになってきた。
「あっ! あっちの人、顔は優男って感じなのにあの身体……ギャップがヤバいわ」
優男がよく見えるように塀の隙間に張り付いて凝視していると、耳元で男性の声がした。
「ヤバいのはお前だ」
「ひっ」
恐る恐る顔を、声のした方の側へと回すと、煜峰の顔がすぐ側にあった。
「煜峰殿下。いっ、いつからそこに……」
「そろそろ刑部に連れてくぞ」
麗霞が今まで描き散らかしていた絵を片手に、口角をひくつかせている。
「そんなぁ。見逃してくれると約束したではありませんか」
「それはお前が、見合うだけの働きをした場合の話だ。それに、男を盗み見ていることは承知していない」
「でも見本があった方が、よりリアリティのある絵を描けるというものです」
「なるほど。ならば私が一肌脱ごうか?」
「殿下がですか?」
こんな冗談を言う人だったんだ。ちょっと……いや、かなり意外な一面を見た。
煜峰の裸なら、大金を払ってでも見たいという女性はわんさかいるだろう。けど……。
「……いえ、あんまり参考にならなそうなので遠慮しておきます」
もう一度言うが、麗霞的に煜峰は顔はアリ、身体はナシなのだ。
宦官は男の大事な部分を根こそぎ取られてしまっているせいで、体つきがどうしても女性に近くなる。
この上質な衣の下には、演習場にいる男たちのような筋肉ではなく、女性のようなふわふわの柔らかいお肉が付いているに違いない。
浄身すると髭も抜け落ちるらしいから、体毛ももしかしたら女性並に薄いかも。
「私が見たいのはカチカチの筋肉で、フワフワではありません。もっとワイルドなやつです」
「…………」
「そっ、そんな顔なさらなくても。煜峰殿下は宦官なのですから仕方ないではありませんか」
そんな拗ねたような顔をしなくても。
「一部の女性には受けると思いますよ。中性的な美しさを求める方もいますので」
「……もう良い。阿呆らしい」
阿呆って、自分から提案してきたくせに。
「それで、こんな絵を描き漁っているということは、余程余裕があると見て良いのだな。誰か一人くらいは落とせたか?」
「それがですね……。やっぱり私に色仕掛けは無理です」
「無理かどうかではない。やれ。でないと」
煜峰が、手に持っている男性の上半身で埋め尽くされた紙を破こうとした。
「わーーーーっ! 殿下には女性の裸画をいくらでも無料で提供致しますから!! どうかご勘弁を」
「はぁ? 私がそんなものを欲しがると思っているのか」
「またまたぁ。そんなこと仰っていても、実はお好きでしょう?」
酒に酔っていたとはいえ、父親の妻に手を出しちゃったくらいだから、相当性欲が強いに決まってる。いくらあそこが無くなったって、多少の性欲は残っているはずだ。
「淫欲まみれのお前と一緒にするな。……ってなんだその目は」
「だって、煜峰殿下は御自身の性欲に負けてやらかしたではありませんか」
ここまできたら、もうどうにでもなれ!
どの道裸絵で手を打って貰えないなら、麗霞の行き着く先は同じだ。絵は全て没収され、春画を描く破廉恥な女として杖刑に処され一生の辱めをうける。
それなら皇族を侮辱した罪を重ねて、死刑になった方がマシかもしれない。
投げやりになって言い返すと、煜峰は意外にも「ふっ」と皮肉めいた顔で笑った。
コメント
1件
うわっ、麗霞さん、まさか塀の隙間から兵士さんの筋肉をガン見してスケッチしてるなんて……! でも「背中もある意味やらしい」って視線、編集者としてはすごくわかります。チラ見せの描写って確かに想像力を掻き立てますもんね。そこに現れた煜峰殿下との掛け合いも面白くて、宦官だから「フワフワ」って言い切る麗霞さんに思わず笑っちゃいました。殿下の拗ねたような顔、ちょっと可愛く見えたのは私だけですかね? もうこれ、絶対波乱の予感しかしません……次が気になります!