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🌸陽の生い立ち(ひよりが転校した後)
ひよりが転校してから、
陽の放課後は急に静かになった。
砂場でうさぎを作る相手も、
くだらないことで笑い合う相手もいなくなった。
(……ひより、いないんだよな)
陽は最初のうちは、
ひよりが座っていた席をつい見てしまった。
でも、時間が経つにつれて、
周りの友達が陽を遊びに誘うようになった。
「サッカーやろうぜ」
「鬼ごっこしよう」
陽は断れない性格だったから、
誘われれば笑ってついていった。
気づけば、
陽は“誰とでもそこそこ仲良くできる子”になっていた。
でも――
ひよりと遊んでいた頃のように、
心の底から笑える相手は現れなかった。
(ひより……元気かな)
陽は時々思い出したけれど、
小学生の記憶は、少しずつ薄れていった。
🌙中学〜高校の陽
陽は“優しいけど断れない子”として扱われた。
「ノート見せて」
「プリント代わりに出しといて」
「部活の雑用お願い」
頼まれると断れない。
嫌われたくない。
波風を立てたくない。
だから、
陽は“便利な子”として周りに使われることも多かった。
でも陽は、
それを嫌だと思うほど強くもなかった。
(まあ……いいか)
そんなふうに、
自分の気持ちを後回しにする癖がついた。
🌸大学の陽
大学に入っても、
陽は“誰にでも優しいけど、誰とも深く関わらない”タイプだった。
友達はいる。
でも、親友と呼べるほどの相手はいない。
そして――
同じ学科にいる“静かな女子”のことなんて、
特に気に留めることもなかった。
その女子が、
昔の“ひよりちゃん”だなんて、
思いもしなかった。
🌙陽の独白
(小鳥遊さん……)
(なんでだろ。気になる)
部室でひよりに助けられたとき、
陽の胸の奥で、
ずっと眠っていた何かが動いた。
(あの感じ……なんだっけ)
まだ思い出せない。
でも、確かに“何か”がある。
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