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今、片思いをしている人がいる。
・・・いや、骨かな。
「クロス〜!」
「どうした?エピック?」
「これ見て」
「ブフォッwww」
「これ、頭に残って離れないだろぉ〜?!www」
「やwめwてw余計頭にこびりつくからwww」
「wwwwww」
……ちょっと信じられないかもしれないが、親友のクロスにだ。
いつもこんな感じで一緒に馬鹿騒ぎしてるけど、これでもクロスに一方的に思いを寄せてるんだ。
まぁ・・・自分でもクロスのことが好きな理由はわからないけど。
最初は「親友」としての好きだと思ってたんだ。でも、そのうちクロスの姿を見るたびに胸が締め付けられていって、しばらくして気づいたんだ。これっていわゆる「恋」……というものなのではないか、と。
ただ、告白したところでクロスから良い返事がもらえるかと言われたらそんなことは決してありえない。
なぜなら、
「クロス〜!」
「あ、ドリーム!ごめん、エピック。じゃあ」
クロスは、ドリームのことが好きなんだから。
確証があるわけではない。ただ、普段の言動や彼に対する態度などを見ると、ドリームに好意を寄せていないという方がおかしいレベルだ。
つまり、45のおじさんが一方的に思いを寄せているだけなのだ。
彼の後ろ姿を手を振って見送る。
この行為も一体何度目かわからない。
見るたびにぎゅぅ…と、胸が締め付けられる。
辛い
悲しい
悔しい
嫉妬
怒り
どうしようもない負の感情が頭の中を巡り巡る。
……いかんいかん、こんな事ずっと考えてたらあの闇の帝王に付け狙われてしまう。
アイツのことは諦めるんだ、俺。そうすればこんな苦しい思いしなくて済むだろ?
・・・頭ではわかっていても、どうしても離れない。
いっそ夢の中へでも逃げられたらなぁ。悪夢持ちで、不眠症の俺には到底無理な話だけど。
でもほんの少しだけ、あの悪夢のほうがマシだなって、思った。
((バサッ
何年も使っていない布団に飛び込む。一応掃除をしておいて良かったと心底思う。
眠ってしまえばあの悪夢が襲いかかってくるのは分かっている。それでも、現実をより遥かにマシだ。
情けないよな、英雄ともあろう者が。
「Good nightmare Epic」
「・・・ここは」
横になっている態勢から起き上がった俺は少しばかりの違和感を感じる。
心も体も疲れ切っていたたはずなのに、体が異常なほどに軽かった。
「おはよう、エピック」
変に優しい親友の声が枕元から聞こえてくる。
「b、bruh・・・」
愛しい人を見つめるような、そんな目をしてこちらを見つめていた。
「好きだよ、エピック」
「!」
彼の口からは絶対に出てくることがないと思っていた言葉。
それは本来、ドリームに向けられるべきものなはずなのに。
どうして。
そんな事言われたら、
「諦められなくなっちまうだろ・・・」
俺の目からは、とめどなく涙が溢れて続けていた。
「・・・」
その部屋の光景を見た全員が、沈黙した。
床に散らばった研究資料。
つけっぱなしのパソコン。
実験に使っていたであろう器具。
そして・・・
「エピック・・・?」
数ヶ月、一度も顔を見せなかった英雄の端くれを。