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久々に日常系、見ててとてもほっこりします。涼ちゃん夏祭り知らないのも、全部新しい故の反応も可愛くてありゃしません…相変わらず大森さんが嫉妬深いけど、涼ちゃんの笑顔ひとつで機嫌直っちゃうのも素直だなぁと思います笑。今回も更新ありがとうございます!
いやもう……え、無理、かわいすぎるでしょこの話!! 涼架ちゃんりんご飴ぺろって「甘っ」ってなってるの、脳に焼きついたんですけど。小動物すぎる。そして元貴の嫉妬も可愛いし「涼ちゃん優しいし可愛い」って真顔で言うの、それもう確定じゃないですか。 角出たときの「怖いより先に綺麗だった」には名作の予感がしました。花火のシーン、めっちゃ沁みました。 続き、楽しみにしてますね🌙
夏祭りの夜だった。
赤い提灯が、村の道を揺れている。
風鈴の音。
屋台の匂い。
子どもたちの笑い声。
夏の熱気の中で、村は浮かれていた。
その中心にいるのは――鬼だった。
「涼架さまー!」
「こっち来てください!」
「守護神様、これ食べて!」
赤い髪が灯りを反射する。
涼架は困ったように笑いながら、人々に囲まれていた。
赤い浴衣。
細い首筋。
揺れる長い髪。
頭の和傘飾り。
祭りの灯りの中に立つ姿は、綺麗すぎて少し現実味がなかった。
村人たちが見惚れるのも仕方ない。
元貴は遠くからその光景を見て。
「……やだ」
「始まったなぁ」
隣で滉斗が笑った。
「嫉妬早いって」
「だって、みんな見てる」
「そりゃ見るだろ。あれだぞ?」
「わかってるから嫌」
元貴はむすっと頬杖をついた。
だって綺麗なのだ。
ありえないくらい。
俺のどタイプなのだ。
「元貴」
ふいに声がした。
顔を上げる。
人混みを抜けて、涼架がこちらへ歩いてきていた。
「あ、涼ちゃん」
その瞬間。
涼架の空気が少し変わる。
“守護神様”の顔じゃない。
元貴たちに向ける、柔らかい顔。
「ごめん、捕まってた」
「人気者だねぇ」
「……なんかみんな距離近いんだよ」
ちょっと困ったように言う。
元貴は少しだけ機嫌が直った。
「ねぇ元貴」
「ん?」
「祭りって何するの?」
「え、来たことないの」
「こういうの初めて」
涼架は周囲を見回した。
提灯も。
屋台も。
花火の音も。
全部少し珍しそうに見ている。
元貴はふっと笑った。
「じゃあ案内する」
「……ん」
嬉しそうに頷く。
まず向かったのは屋台だった。
「これ何?」
「りんご飴」
「りんご?」
「食べてみる?」
「食べる」
即答だった。
元貴が買って渡すと、涼架は興味津々で眺める。
「真っ赤」
「きれいで、涼ちゃんみたい」
「……そういうことさらっと言うよね」
少し呆れた声。
でも耳は赤い。
涼架はりんご飴をぺろっと舐めた。
ぱち、と目が開く。
「……甘っ」
「でしょ」
「美味しいこれ……」
小動物みたいにちまちま食べ始める。
俺、限界。
「……かわい」
「聞こえてる」
「わざと言ってる」
「なんなのほんと……」
滉斗が後ろで笑い転げていた。
その後も。
「金魚掬い?」
「やる?」
「やる」
真剣顔で金魚を追い回し。
「あっ破れた」
「下手だねぇ」
「元貴やって」
「はいはい」
射的では。
「……あれ落としたい」
「どれ」
「狐のお面」
「任せて」
元貴が撃ち抜き。
「おぉ……!」
涼架が素直に感心して。
綿飴を見つければ。
「でか」
「食べる?」
「食べる」
ふわふわの綿飴を持ちながら歩く姿は、
とても“町を消せる鬼”ではなかった。
ただ。
楽しそうだった。
その顔を見ているだけで、
元貴もなんだか嬉しくなる。
でも。
「涼架さま綺麗……」
「守護神様〜!」
「写真撮ってもいいですか!?」
やっぱり囲まれる。
元貴の目が死んだ。
「…………」
「あー出た」
「嫉妬モード」
滉斗が面白そうに笑う。
「だって人気……」
「仕方ねぇだろ」
その時。
涼架が人混みを抜けて戻ってきた。
「元貴」
「……なに」
「行こ」
自然に手を掴まれる。
「…………」
「人多い」
それだけ言って歩き出す。
無自覚。
完全に無自覚。
元貴には致命傷だった。
「……滉斗」
「ん?」
「俺もう無理かも」
「頑張れ」
手を引かれながら歩く。
夜風が涼しい。
祭りの音が少し遠くなる。
「……静か」
涼架がぽつりと呟いた。
「こっちの方が好き?」
「んー……落ち着くかも」
そう言って笑う。
その時。
どん、と誰かが肩にぶつかった。
「わっ」
涼架の頭の飾りが、ぽろりと落ちる。
「あ」
本物の赤い角が現れた。
一瞬。
周囲が静まる。
鬼の象徴。
普通なら怖がるもの。
けれど。
「……綺麗」
誰かが呟いた。
提灯の赤。
花火の赤。
その中で立つ涼架は、
幻想みたいに綺麗だった。
涼架は少しだけ困った顔をして、角を隠そうとする。
「……あんまり見ないで」
その手を。
元貴がそっと止めた。
「隠さなくていいじゃん」
「でも鬼だし」
「うん」
「……怖くないの?」
元貴は少しだけ目を丸くした。
それから。
「怖いより先に、綺麗だった」
迷いなく答える。
涼架が息を止めた。
赤い目が、少し揺れる。
「……元貴ってほんと変」
「よく言われる」
「普通もっと警戒するでしょ」
「でも涼ちゃん優しいし」
「……」
「あと可愛い」
「それ今必要?」
「必要」
真顔だった。
涼架は吹き出した。
「ふふ……もうほんと、なんなの」
笑う。
柔らかく。
楽しそうに。
元貴だけに見せる顔で。
遠くで花火が上がった。
赤い光が夜空に咲く。
その光が涼架を照らして。
元貴はまた、見惚れていた。