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いつからだろうか。覚えていない。夢の中にいるときだけ、話しかける声。
「思い、出せない。」
今日もモヤモヤとした感情を抱きながら、学校に向かう。
登校中に見るカラス、ネコ、ネズミ、こんな動物でも寝てるときは夢の世界にいるのだろうか。
騒がしい教室。頭痛がする。早くも『帰りたい 』という衝動が私を襲う。
「あれ、ゆっぴー来てたんだ~!」
そう話しかけてきたのは、鈴峰美音。
「美音、今日は先輩と一緒じゃないの?」
「うん、一緒に行こうと思ってお家を訪ねたんだけど、先輩のお母さんが、昨日の夜から帰ってきてないって、」
美音は家が近所の先輩が居て、いつも一緒に登下校をしている。2人は付き合っている。そんな先輩が夜遊びで帰ってこないなんてことはありえないだろう。
「私、心配で…」
私は暗い顔の美音の頭をそっと撫でる。
「大丈夫だよ、きっとすぐ戻ってくるよ」
すると美音はそっと胸を撫で下ろし、顔を上げて言った。
「そうだよね、信じて待ってみるよ」
そういうとパタパタと自分の席に戻っていった。
行方不明、ねぇ、
私は今時、誰も持っていないようなガラケーを動かす。小さくピッピッとなる携帯。
これは普通のガラケーではない。
【人間情報屋】がつくっている商品で、名前を入力するとその人の状態がわかる。生死だったり安否だったり、色々。
そこに美音のいう先輩こと【城凪悠哉】と打ち込む。
名前 城凪 悠哉
性別 男性
生年月日 20XX/07/11
状態 不安定/生
状況 行方不明
出てきた情報は実に意味不明なものである。ただ個人情報が掲載されるサイトではない。状態が不安定なのは、きっと____
「なーに、見てんの!」
後ろから覗き込んできた男、朱鷺田怜央。この男は私の幼馴染み兼護衛である。武術に長けていて私と同じ能力者。想像から武器をつくりだす能力。愛用は日本刀。
「いえ、なにも」
私は静かに携帯を閉じて鞄にしまう。今日も寝られそうにないわね。
あっという間に、放課後。ここから私は1日の本番だ。制服を脱ぎ、パーカーを着る。キャップを深くかぶり、ポケットにはガラケーを入れる。
「さぁ、行こうか。影潰しに。」