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「自己紹介と……そうだな、後は『この学園での目標』を語ってくれ。うんうん、青春だな」
勝手に頷いてなにやら満足そうな表情で笑みを浮かべるアンナ先生。
ダメだコイツ、先生をすること自体に気持ちよさを感じて悦に浸っている。
次々と自己紹介を進める中、頭に大きなコブを作った例の彼も不機嫌な表情で立ち上がる。
「俺は――ダラス・ファディール。ファディール家の嫡子だ。『魔法紋章』は茶色」
そう言って、左手に刻まれた岩の紋章を見せる。
周囲は軽くざわめいた。
「おいおい、茶色かよ! 強えーぞ!」
「大地を操れるんでしょ!?」
「流石はダラス様! 男の中の男の紋章です!」
俺はため息を吐く。
(『物質依存』の雑魚紋章だ。熱にも振動にも弱く、下手したら自分や仲間を巻き込んで生き埋めにする。何より『赤の紋章』に次いでコスパが悪い。この学校は派手であればあるほどもてはやされるのか?)
しかし、周囲の反応で自信をつけた様子のダラスは得意げに笑う。
「俺の目標は『学園一の魔法使い』になることだ!」
「おー、良いぞ! 青春だな! 勝手に頑張れー」
アンナがにこやかに適当なエールを送る。
そして、今度はミリアの順番が来た。
ミリアは、何やら緊張した様子で立ち上がる。
「……ミリア・シリウスです。『魔法紋章』は……青の紋章です」
そう言って、自身の手に宿る水滴の紋章を見せる。
その瞬間、教室が一瞬シン……と静まりかえる。
そして、ダラスの時以上にザワザワとし始めた。
「……は? 嘘、あの優等生のミリアが『青の紋章』?」
「あれって、水を操れる紋章よね?」
「あぁ、だが大して操れるわけじゃない」
「ほとんどコントロールができないし、出力も低い……言ってしまえば『外れ紋章』だ」
アンナは髪をポリポリとかきながらため息を吐く。
「おい、生徒ども。まだミリアの目標を聞いてないだろ? 静かにしろー」
やや視線を下に落としながらミリアは言う。
「も、目標は……『学園一の魔法使い』になることです! そうすれば、『特権』が与えられるからです!」
そう言った瞬間、周囲が笑い出す。
「青の紋章で? 流石に無理だろー」
「残念ねー。ミリアさんって凄い期待されてたのにー」
「だから、ラティスなんて落ちこぼれと仲良くしてたのかw」
「落ちこぼれ仲間同士仲良くしようねってこと?w」
アンナが大きなため息を吐く。
「おい、貴様らそのくらいで――」
その声掛けを遮って、俺は立ち上がった。
「――順番が前後してすまないが、自己紹介をさせてもらう。俺の名前はラティス。ラティス・レオグラッド」
うるさい喧騒を無視して、俺は自分の左手の甲にある雲のマークを全員に見せつける。
お前らが大外れだと勘違いしている、最強の魔法紋章を。
「魔法紋章は『無色の紋章』。目標は……『ミリアを学園一の魔法使いにすること』だ」