テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「え、上手くなったよね? 俺の関西弁」
そんなきゅるきゅるの瞳で助けを求めてくんな。今ここでええ返事してみろ、確実にとばっちり食うやろ。
ゆうたが来ると、りゅうせいくんは人が変わる。口は悪くなるし、目に見えて攻撃的になる。まあ、わかる気はするけど。なんせゆうたは、顔だけは超絶取り柄の不思議ちゃんやからな。
「俺、ともやのとこ行ってくる」
「うん、わかってた。もう帰ってこんでええで。俺は一人で生きていけるから」
「ねぇ、しゅうちゃん! マジでそんなこと言わないで!」
さっきまでのピリピリしたムードをぶち破って、抱きしめられたかと思えば、思いきり身体を揺さぶられた。
無理無理、俺、ちぎれてまう。りゅうせいくん、自分の筋肉で簡単に人が殺せることを今ここで証明してどうするん。
というか、なんでりゅうせいくんが最近ここまで俺に甘くなったのか自分でも全くわからん。特別俺が何か優しくしたわけでもないねんけど。
「で、何の話してたの?」
りゅうせいくんが去ったあと、ゆうたがひょいと顔を覗き込んできた。
「ん? 行きたいとこあったから、いつきくんをデートに誘った。ほんで断られた」
「あっちゃ~、それは俺と行くしかないじゃん」
「ふふっ、なんでそうなるん」
ニカッ、と口角を上げて、満面の笑みで俺を真っ直ぐに見ている。
りゅうせいくんは苦手かもしれんけど、俺は嫌いじゃないねんな、ゆうたのこと。
「あ、今度の試合、せっちゃん達くるん? 最近練習来れてへんやん」
「んー、バイト忙しいみたいよ。やっぱさ、他のバイトが使えないからね。全然シフト入んないし」
「おまっ、口悪っ」
「だってほんとのことだし」
「……もしかして、大ちゃんのこと言うてる? 仲間を悪く言うの、ほんま良くないで」
りゅうせいくんを邪魔者扱いしていた口で何を言うてんねん、て自分でも思うけど、一応釘は刺してみる。
「正解は!?」
「は?」
「シフト入んないの、俺でした!!」
バッチリとウインクを決めて、親指で自分を指している。
……ほんまアホやな、こいつ。
あきれ果てているのに、不覚にも少し笑ってもうたわ。
「あほちゃう、マジで。……じゃあ、日曜デート行けへんやん」
しゃあなしにゆうたを連行したろと思ってたのに。金のないやつとどこへ遊びに行けるっていうねん。
「え? いいじゃん、行こうよ。沖縄? 北海道? どこでもついてくよ?」
「いや、なんで地名!!」
普通、テーマパークとか店の名前出すやろ。ほんま、この人の思考回路はわからん。
「まあ……ええわ。お金かからんとこ、調べとく」
「え、それじゃあしゅうとの行きたいとこじゃないじゃん」
なんなん。さっきまでふざけてたのに、急に捨てられた子犬みたいな顔すんなや。
「……だって、鬼のようにバイトしてるいつきくんとやからこそ行けるちょっとお高めのカフェやで? ゆうたがバイト入ってないなら無理強いできひん」
「え、いいよ。俺、フットサル以外に趣味ないから意外と貯めてるし」
「え、そうなん?」
ならちょっと安心した。……と思った矢先、神様の声がした。
「しゅうとー! 日曜、大丈夫ぅ~!」
珍しく大きな声を出したいつきくんが、両手で大きく丸を作ってこっちを見ている。なぜか、あの「狐」もこっちを見て笑顔で丸を作ってるけど、目が全然笑ってない。
怖いな。あれは絶対サイコパスの顔や。
「……えっと、ゆうた……さっきの話なんやけど」
どうしよ。誘ったのはいつきくんやけど、先に行こうって言うてくれたんはゆうたで。でも、そこはいつきくんと行きたかった場所で。
「……うん! いいよ!」
そんな満面な笑みで返されたら、ちょっと心臓痛むやんか。
「ほんっまごめん!」
「ううん。じゃあ……時間決まったら連絡して?」
え? は? なんて? なんでゆうたに連絡すんの?
大きな丸を作っていつきくんに見せてる場合ちゃうて。いつきくん意味わからんと笑いながら首傾げてるやん。
「楽しみだなぁ、3人でデート!」
は? 違うって言う前に、手を振って「じゃあね」って帰っていった。あれ? いつ3人でいこいうた? どこでそうなったん? ほんで3人でやったら、デートとか言わんのちゃう?
「……ほんま意味わからん子」
「……どうしたの? なんかしゅうと楽しそう」
一人でクスクス笑ってたら、不思議そうな顔していつきくんが寄ってきた。
「日曜、ゆうたも来るって。3人でデート楽しみぃって言うて帰ったわ」
「あー、だからあんな笑顔で丸作ってたんだ。……可愛いよね、あいつ」
「……アイツ?」
ちょっと待て。いつきくんがゆうたをアイツ呼ばわり? え、そんな距離近いの? いや、元々ゆうたと俺を繋いでくれたのはいつきくんやし、そりゃそうか。でも、最近フットサル以外でそんな仲良くしてへんよね。それとも俺の知らんとこで遊びに行ったりしてんのか?
ていうか、いつも王子様みたいないつきくんが、人を「アイツ」って呼ぶなんて。
「……どうしたの? さっきから百面相してるけど」
クスクス笑いながら、眉間の皺を人差し指で押してくる。思わず「ひゃあ」って言いながら目を瞑ったら、ちっさい声で「可愛い」って言われた。
ほらまた俺、いつきくんにときめいてもうたやん。
「ねぇ、さっきからイチャイチャしすぎじゃない?」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ライラ からぴち・シクフォニ♡
20