〈peint side〉
恋をしている
今まで冷え切っていた心が暖かさを帯びていくのを感じて、しかも特別な出会い方だったからかなんとなく運命だとさえ感じた
でもこの気持ちを伝えるつもりはない。
それは彼と暮らし始めて三か月が過ぎた今も変わらない。
だって伝えても俺は、、、
…‥‥……………………………………………*
〈radao side〉
鳥の囀りと鬱陶しいほどこびりつく蝉の鳴き声を聞きながらまだ夢の中にいた
ーーー起きならっだぁー!
その声と共に視界が一気に眩しくなる
ギラギラと輝く夏の朝日と俺の耳の奥まで届く彼の通る声にしょぼつく目をこじ開ける
rd 「むり、ねむい」
pn 「ほら、朝ごはんできたからおいで」
半ば強制的に布団を剥がされ、まるで人形のような扱いを受けながら引きずられて食卓まで連れてこられる
それでも目の前に広がる出来立ての温かいご飯にいたく幸福感を覚えた
rd 「いただきます」
rd 「うんま」
ありがとうと伝えて彼を見ると、おそらく自分の支度よりも朝食を優先してくれたのであろうと予想できるほど、わかりやすく寝癖がついていた。
俺はその寝癖を治そうと彼に手を伸ばす
耳から後ろに髪を流して、うなじをくすぐって、天パも相まって小動物のように見えるその小さめの耳を撫でた
pn 「ん、なに」
rd 「天パの寝癖ってこうなるんだね」
pn 「えっ嘘そんなに変?」
rd 「かわいいよ、子犬みたい」
〈peint side〉
人の気も知らないでそんなこと言ってしまうんだからほんとに罪深い人だ
最近は特にこういうことが多い。
前だって、、、
rd 「ぺいんとー」
pn 「なにー?」
rd 「あのさ、風呂これから一緒に入らね」
pn 「え、?」
rd 「いやだから、お風呂」
pn 「今日?」
rd 「違う違う、これからずっと」
らっだぁって意外と積極的なとこあるなと照れていたら、理由は二人で入った方がコスパがいいからとかいう。
あまりにも効率重視で全然おもしろくない
rd 「あと寝るのも一緒の部屋にしようよ」
pn 「なんで?」
どうせまた合理的なつまらないことを言うんだろうなと、彼の返事に期待はしていなかった
rd 「俺誰かに抱きついてないと寝れないんだよね」
pn 「いくつだよ笑笑」
馬鹿にしながら嫌がるそぶりを見せるけど、正直ご褒美でしかない。思わず口角が上がりそうになって慌てて歯を食いしばって抑え込んだ
rd 「前の家の時はワンコの抱き枕持ってたんだけど、引越す前にキモがられるからって知り合いに容赦なく捨てられてさ」
pn 「俺のエビフライは貸してあげるよ」
rd 「やだよ、ボロボロじゃん」
pn 「だから衣だって!」
rd 「ぺいんとがダメっていうならしょうがない。新しいの買うかー」
pn 「いやそれくらいいいよ別に、俺で我慢しろよ?」
この発言が今は裏目に出てしまって後悔している、、、
だって寝てる時俺が我慢しなくちゃいけないんだもん。 寝息すらも聞けるこの距離なのに手が出せないって何事?
新手の拷問でしかない
rd 「んーーふぅ、」
ギュッ
さらに密着するこの状況で俺の鼓動でらっだぁのことを起こさないか心配になる程暴れていた
もちろん自分が意識してしまっているだけで相手はその気ではないのは解っているのだけれど、最近ついちょっとしたことで反応してしまうから参っている
自分では対処できずにただただ我慢の日々が続いていた。 なんだか行き場のないこの感情をそのままにしておくには勿体無い気がして俺はあることを思いつく
朝食を終えたから早速押入れの中をごそごそと探る
pn 「たしかこの辺に」
pn 「あった!」
rd 「なに探してたの?」
pn 「日記書こうと思って、引越す前に余ったノート持ってきてたんだよね」
これに昇華できない感情とか日々の生活とかを書けば、俺のこの気持ちも形として残るし、しかも文章力も上がって一石二鳥なのでは?
これは素晴らしい案だと気分が上がる
rd 「俺のこと書いてくれてもいいよ全然」
pn 「なんで?俺の日記なのに」
rd 「いいじゃんこれからずっと一緒なんだから」
、、、やめてよ、そんなこと言うの。 期待しちゃうじゃんか
もし俺がこの気持ちをらっだぁに伝えても、ずっと一緒にいてくれるのかな
まるで「なにがあってもそばにいるよ」と言われたかのように都合よく解釈しそうになる
そんな苦さを感じながら誤魔化した
pn 「んー、まあ考えておくわ」
rd 「絶対書かんやん」
pn 「あ、でもあれだよ?日記らっだぁには見せないよ?」
rd 「だめなの!?」
あたりまえでしょ、あんたへの気持ちを書くっていうのにそんなの見せれるわけないじゃん
なんて言えるわけもなく、絶対に隠し通すと自分に誓った
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8月13日
田舎に引越してから3ヶ月ほどが経って、 やっと慣れてきたこの生活に最近ではのびのびと好きなことをして過ごしている。
問題はひとつ、らっだぁっていう男のこと
なにをするにしても不器用で料理も家事も、仲を深めた今ではお風呂も寝るのも一緒にすることが多くなってきたんだけど、 面倒だと思うのだけならなんの問題もなかったんだ。
ただ恐ろしいことに、そのダメな姿すらかわいらしく見えてきてしまったこの頃に自分でもびっくりした。 しかも家事とか苦手なくせにゲームはものすごくうまくてそのギャップに腹が立つほど惚れちゃうんだよね
一目惚れだったんだ。
出会ってからずっと、どうしようもなく彼のことが好きだ
この長い時間の片思いは俺とこの日記だけが知る内緒話にしておこう
コメント
2件
日記、、、つけてるのいいなぁ❤︎
ふぁ〜この甘酸っぱいようならだぺんがすごくいい✨👍