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第66話読了!めっちゃ良かったわ〜!白川さんの周りが相変わらず忙しなく動いてて目が離せなかった。特に黒沢君との弁当シーン、あの使い込まれたショットガンを「頑張った証拠だね」って言ってくれる優しさにグッときたよ。で、最後のデートのお誘い…!思わずニヤけたわwww白川さんの「私服ないんですが」って内心のツッコミで笑った。二人の距離が一歩近づいた感じがして、次が楽しみすぎる🔥
「という訳で、今回の件は口外禁止な? 夢月側からしたら、お前の動きを見たプレイヤーが、よく分からんがサポートアイテムくれて立ち去った。それで通せ、所謂“辻ヒール”みたいなもんだ」
「つ、つじ……ヒール、とは」
今回の件をお兄ちゃんに相談しようとしたら、むしろ向こうから部屋に呼び出され。
その後お話を聞いていたのだが。
急に不思議な言葉が出て来たので、スマホで調べてみると。
※オンラインゲームなどで、通りすがりの知らないプレイヤーに対し、無言で回復魔法をかけて立ち去る行為。
だそうです。
なるほど、辻斬りのお助けバージョンみたいなものか!
今回はアイテムだったけど、オンラインゲームにはそういう事するプレイヤーも存在するみたいだ。
でも確かに街中で急にPVPが発生して、一対多でやられちゃってる人を見たりすると……た、助けに入った方が良いかな? と思った事も少なくない。
つまり、コレを無言でやって立ち去るって事なのだろう。
え、なにそれ。ちょっと格好良いかもしれない。
46leatherの方、そういうキャラクターにしようかな。
いやでも、6keyならまだしも……サブキャラでは全然格好がつかないかもしれないけど。
「ま、あんまりお前の方から話題に触れるなって事だな。しかも……賞金首が一般プレイヤーに関わって来たんだ。詳細が出回れば、わりと面倒な事になる」
「え? あの……私も、賞金首だけど」
「それは6keyな? サブは違うだろ?」
そうでした、ごめんなさい。
むしろ私の見た目はサブキャラだったのに、新しい靴をくれたのだ。
単純に此方のスピードが危なっかしかったから、心配されただけって可能性もあるのでは?
だとするとoctopus8さんって、物凄く優しいお姉さんタイプなのだろうか?
なんか凄い、包容力高そう。
というのと。
「とりあえず、そっちは分かった。私からは何も言わない様にする。それから……ね? 前から言われてた“顔合わせ”のお話、受けようかなって……octopus8さんにも、ちゃんとお礼言いたいし。ナインとリアルでの顔合わせっていうのは、やっぱり緊張しちゃうけど。ゲーム内で良いって言ってるエイトの方なら……何とかなるかなぁって」
そう言ってみれば、兄はフッと表情を緩めてから。
ポスッと此方の掌に資料の束を渡して来た。
これは、いったい何でしょう。
「丁度良い事に、今度のイベント“賞金首のオフショット”的な感じだから。それこそ、そのタイミングで会えば都合が良いんじゃないか? イベントにも参加出来るし、相手の要望も叶えられる」
待って、本当に待って。
なんか今、凄い事言っていた気がする。
早乙女さんからも、戦闘系ではないって聞いたけども。
オフショットって、なに。
プルプルしながら企画書を捲ってみると……そこには、恐ろしい内容が書かれているではないか。
「これこそ、私は辞退するべきなんじゃ……」
「いやいやいや、お前がガンサバを6keyで普通にプレイしたのなんて、それこそ最初の“お試し”だけだろ? だったらこのタイミングで、他の機能にも触ってみれば良いんじゃないか? それこそ、バイクに乗れる様になるかもしれないぞ?」
「最初のイベントでやらかしたヤツ! 未だにアレ恥ずかしいんだから言わないで!? まだ映像残ってるってチラッと聞いたよ!? 私がバイク倒すヤツ!」
という事で、これまた次のイベントがやはり訪れるらしい。
まぁお仕事だし、当たり前なんだけどさぁ……。
何度も言うけど、ペース早くないですか?
◆
「凄く……美味しかったです。ありがとう、白川さん。な、なんかゴメンね? ここ最近、何度もお弁当頂いちゃって」
「いえいえいえ、この程度ではとても……それから、本日は、ですね……」
あれからまた数日経ち、本日も黒沢君にお弁当を食べて頂いてから。
食べ終わったソレを片付けると同時に……例のブツを、取り出した。
普通学校では絶対取り出さないであろう代物。
あろう事か、銃火器。
というか、黒沢君にお借りしていたショットガン。
いつも二人でお昼を食べている場所なら、全然人が来ないし。
ここなら大丈夫だろうと、今日は持って来てみたのだが。
「お借りした身分で、大変申し訳ないのですが……ご確認頂きたく。こんな感じに、なってしまいまして……本当に、ごめんなさい。弁償しますので、請求して下さい……」
そう言ってから、彼にショットガンを渡してみると。
相手はアハハッと困った様に笑ってから。
「これはまた、随分使い込んだね。見ただけでも分かるよ」
「ほんっとうに、すみませんでした……夢中で練習していたら、いつの間にか……凄く大事な物だって、聞いていたのに……ごめんなさい」
ショットシェルの方は、通販でも買えるみたいだったけど。
本体の方は、どうしても売っている所が見つからなかった。
いくら6keyの戦力アップとはいえ、何をしているんだと自分でも思う程に……擦り傷が目立つ状態になってしまったのだ。
弾の方はもはや見るも無残な程シールが削れているし、バレル内部にも何度も擦った跡が残ってしまった。
パカッと開く駆動部分も、私が動かしすぎた影響か……最初より、ちょっと動きが渋い気がするし。
なんかもう泣きそうになりながら、とにかく頭を下げたのだが。
「ホント……見ただけでも分かる、すごく“頑張った”んだなって」
「……え?」
不思議な言葉が聞えて来て、視線を上げてみると。
黒沢君は、凄く柔らかい笑顔でバレルの傷を撫でていた。
「こんなに夢中になる程ハマってくれたっていうのが、凄く嬉しいし。俺でも役に立てたって言うのも、凄く嬉しい。それと同時に、羨ましくもある……かな。多分俺じゃ、こんなに傷がつく程本気で練習するかって言われたら……多分、“出来ない”から。ハハッ、情けないよね。白川さんは、全然泣き言とか言わないで練習してるのに。俺、前に白川さんに愚痴溢したりしちゃった……ごめん」
そんな風に言って、ちょっとだけ視線を落としてしまった。
え、えぇと? えぇと!? これは、どういう事だ!?
黒沢君が“愚痴”って言っているのは、前に話してくれた“全然自分が上手くなれないのが悔しい”、みたいなアレの事だろうか?
あんなの、愚痴でも何でもなくて。
単純に疲れちゃった時の、口から出て来た言葉だと思うのだが。
私だってそんなのいくらでもあるし、家では上手く行かない度に一人で唸っていたりするし。
ただただ話す人がいないから、私は他の誰かの前で口に出さないだけであって。
弱音を吐いて良いって言われたら、いくらでも言える自信がありますが!?
実際4cardにも、物凄く情けない過去を聞いて貰ったばかりな訳ですし!
とかなんとか、非常にテンパってしまったのだが。
結局のところ……なんて言葉にしたら良いのか分からず、その場でアワアワと慌ててしまった結果。
ガシッと、彼の手を掴んだ。
「く、黒沢君は、情けなくなんか無いです! 凄く、その……えっと、頼りになりますし、頑張ってますし……えと、とにかく私からすれば凄いんです! 色々出来て、優しくて、私みたいなのにも構ってくれて。だから私は、“格好良い”って思ってます!」
なんて、思いつく限りの言葉を並べてしまったが。
もう少しこう、ね?
相手に分かりやすくというか、励ますにしても格好の付く言い方があるでしょうに。
もはや自分の語彙力が悲しくなって来るが……なんか、前にもこんな事があった気がするな。
黒沢君に対して、似たような事を二度もやっている気がする。
どこまでワンパターンなんだ私は……なんて、乾いた笑い声を上げそうになってしまったけど。
「白川さんは……なんていうか、凄いね。いつも元気を貰ってる気がする」
「え、私がですか? むしろ此方が貰ってばかりな気がしますけど……」
驚いた様な表情を浮かべた後、非常に柔らかい笑みを浮かべた彼の言葉に。
思わず脊髄反射で声を返してしまった私、会話が下手です。
4cardみたいに、まずは相手の話を促しなさいよ。
今は私の事喋る番じゃないよ、向こうのお話を聞くタイミングだよ。
とか思ってしまったのだが。
彼の手をガシッと掴んだまま私の掌を、黒沢君は逆の掌でソッと包み込んで来た。
すみません! また急に触ってました! というか触れたままでした!
思わず手を引っ込めようとしたが、彼はそのまま軽く此方の手を握ってから。
「あの、さ……前にも言った通り、弁償とかそういうのは、全然しなくて良いから。でも、その……コレを貸したお礼って意味でなら。えと……俺と一緒に、休みの日に出かけるとか……駄目、ですかね。お弁当とかもらってるし、お礼なら既に済んでるだろーって話なんだけどさ……」
何やら顔を赤くした状態で、急にそんな事を言って来た。
休日に出かける、とは。
つまり私は、制服とかじゃなくて私服な訳で。
出掛けるとは言っても、別に買い物に付き合うとか、そういうお話じゃないのは分かる訳で。
もっと言うのなら、これまでの様に“連れて行ってくれる”という感じではなく、“一緒にお出掛け”をご所望? という感じで……つまり?
ポカンとしたまま、相手を眺めていると。
「えと……だからね? 変な意味じゃなくて、なんだけど……いや、でも普通にって訳でも無くて……あの、分かりやすく言うと、えぇと! “デート”、しません……か?」
そんな風に言われた瞬間、こちらもボッと顔が真っ赤になったのが分かった。
いや、は?
デートって、アレだよね。
“そういうイベント”的な、アレな訳で。
待って、待ってください。
私これまで、そういう“陽の者”の特権的な出来事を経験していないので。
こういう時どういう反応をした良いのか分からないというか、そもそもデートって何するんだって話になって来るし。
むしろ私と二人で出かけても、黒沢君につまらない思いをさせてしまうだけなんじゃないか!? とか。
いやでも実際よく考えればこれまでも二人で出かけた事はある訳で、その時は楽しそうにしてくれたけど、私に合わせてくれただけなんじゃないか!?
とか、今更色々不安になって来る訳でして。
なんかもう、頭の中がショート寸前状態で黙ってしまった訳だけども。
「そ、その! 返事とかは、全然後でも良いから! ホラ、たまには休日に遊びに出かけるのも楽しいかなって! だから、ね!? 大丈夫だから! ホント、そこまで深く考えないで!? 嫌だったら全然、断わってくれても問題ないし!」
ピクリとも動かなくなってしまった私に対し、黒沢君の方から慌ててフォローを入れてもらう形に。
とりあえず今は保留で良いって事らしいけど……これは、どうすれば良いんだろう?
私、そういうイベントに着て行ける様な服とか持ってないんですが。