テラーノベル
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直美さんから聞いたお花屋さんへ電話をしてみると、働くにあたって、特に資格はいらないと言われた。
“アレンジメントの経験があるなら、ハサミは使えるでしょうし、花の裏表がわかると思うので十分に始めていただけますよ。決まった型の仏花を組むところから教えるので”
「わかりました…あとひとつ確認させてください。勤務時間や曜日はどのような形で求人されていますか?」
ホームページにはフラワーギフトの案内などはあったけど、求人は載っていなかったので聞くしかない。
“ご相談という形ですね。娘と二人でやっているお店なのですが、お手伝いしてくださる方を探していて…時給はとりあえず最低賃金からですけど、よかったらまたお電話いただいてから、一度お越しください”
得られたのは少しの情報だけだったけど、少しだけ働くイメージは出来た。
まだ夫には言っていない。
そういえば、夫のコソコソがなくなったようなのよね。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「おかえり~。ママ、シャワーしていい?」
「えぇ?いま?」
夫が帰ってきたから、千愛はゲームを片づけるんでしょ?
「パパが帰ってきたから、ご飯にするわよ?」
「髪の毛がプールの匂いで嫌だ」
千愛がそう答えたので、夫を見ると
「千愛のシャワーくらい待てばいいだろ。千愛、シャワーしてきていいぞ」
と言いながら、シャツを脱ぐ。
「特急で行ってくる」
「パパも一緒にいいか?」
「いやだぁ」
お風呂まで走って行く千愛のドタドタした足音がする間に
「やっぱり千愛は女の子だからか、匂いとか髪に敏感ね」
私は、夫の様子を窺うように言ってみた。
「あああああ…」
わずかに多い“あ”に、夫の動揺が感じられる。
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