テラーノベル
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人は、生まれ持った才能がない者に限って「何者か」になりたがる。
<第×話>平々凡々
私の名は古賀真綾(コガマアヤ)。お世辞にも評判が良いとは言えないような高校の2年生だ。時刻は7時52分…学校へ向かうバスの中。朝のヒンヤリとした空気に酔いながら、眠気まなこで外を眺めていた。
ふと目に入ったのは日々の通学で見慣れているはずの山々。なぜかいつもより美しいと感じた。ただ、それだけの朝。
学校へ着く。いつものように友達とくだらない会話をし、いつものように授業中にスマホを触り、いつものように怒られてみたりする。
変わらない日。ひたすらに過ぎてゆくだけの、退屈で、生産性のない、ただそこに「在る」日。
もちろんここから何か大きなことが起きるわけでもなく、普通に帰宅。
『ただいまぁ』
『真綾おかえり!夕飯できてるよー』
いつもと同じ母との会話。食卓からはシチューの香り。
私は、死にたかった。
<第1話>夢
10月28日、 季節は秋。最近の日本はやたら暑く、地球温暖化の影響を大いに感じる。夏がでしゃばり、短くなってしまった秋は、きっと人間を恨んでいるだろう。
…あ、ちなみに私は今、とても困っている。明日も学校だと言うのに眠れないのだ。時計の針はそろそろ3時を指そうとしている。勘弁してほしい、明日は体育もあるというのに。
何度も寝返りを打つ。何度も何度も何度も。なぜ人は時々、眠り方を忘れてしまうのだろうか。苛立ちと焦りにより更に目が覚める。
数十分の格闘の末、眠るのを諦めてみることにした。寝そべったまま視線だけ窓へ向ける。秋風により揺れるレースカーテンは、花嫁のベールのようで美しかった。耳を澄ますと、外から鈴虫の声が聞こえてくる。この季節にしか味わうことのできない音楽に心が安らぐ。
眠らない夜も悪くは無い… なんてことを考えていると少しウトウトしてきた。さすがにこんな時間に寝てしまうともう起きられない。スマホのブルーライトで目を覚まそうと、スマホの電源を入れた。
画面にうつっている時刻は4時31分。あーあ、がちでオールで学校じゃん。行きたくねー。あれ、今日バイトあったっけ。あったらまじで詰んだ。
頭の中は絶望と後悔で渦巻く。せめて放課後は真っ直ぐ家に帰りたい。バイトが無いことを願い、カレンダーアプリの予定を見た。28日…バイトのシフトが入っていた。無言で天を仰ぐ。放課後、眠い目をこすりながら4時間のレジ打ちをすることが確定した。
そんな時、ふと違和感に気づいた。カレンダーアプリでは今日は27日と示してある。勘違いしていたのだろうか。いや、そんなはずはない。確実に昨日が27日であった。スマホのホーム画面で確認するも、結果は同じであった。
寝ぼけてるんだ、ちょっと顔洗って目覚ましてこよ。洗面所へ行き、冷水で思いっきり顔を洗った。それでも、何度見てもどこを見ても、今日は27日と示しあった。
自分が勘違いをしていた、ということにした。この日が全ての始まりであることを、私は知る由もなかった。
#だいめいぼしゅー
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コメント
1件
いや、めっちゃ良かった……! 最初の「死にたかった」って一文で引き込まれて、その後の淡々とした日常とのギャップが効いてる。通学バスの中とか授業でスマホいじるところ、めっちゃ共感できたわ。で、夜ふかしからの「なんで27日??」って違和感、ここから何か始まる予感がヒリヒリする。続きが気になる—! ✨