⚠学パロ
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エアコンをつけて涼しむ7月
夏休みも近づき
勇気を出すべきか否か
ピピピと可愛らしい音が鳴るがそのボリュームは大音量
まだ起きたくない俺は布団の更に奥深くへと潜る
そうだ。今日は大変だ。終業式があることを思い出してガバリと布団を剥ぎ取り起こしてくれなかった兄貴を恨む
しかし兄貴は大学での大事なテストがあるとかないとか言っていたので嫌々ながらもあいつをゆるしてやった。
「行ってきまーす」
「朝ご飯は?」
母親が聞いてくる
「タッパーに入れた」
早く行くといっても流石に腹が減ってしまうのでトースト二枚と卵焼きをぶち込んで学校に行って食べようと考えた
「そう、なら行ってらっしゃい」
にこやかな声で送り出されて駆け足で学校へ行く
ーーー
教室に飛び込むとポツポツと4、5人居るだけでレトさん達はまだ来ていない様子だった
クラスにいる奴らがまとまっていて「おはよ~」と挨拶をしてくれる
「おはよ」
少し目を合わせながら挨拶を返すと皆が嬉しそうな顔をして話に戻っていった。
俺との会話が終了したことを確認すると自分の席に着く
さて、と…
あーーーいい匂いだーーー
「んふふ」
バッと手を口に当てる。
やっべ………なんか今きっっもい笑い方したかも……
よかった。気付かれてないようだ…
ほっと胸をなで下ろす。
よし。朝飯食うか
サクリといい音をたてる食パンと、とろりとした半熟の卵焼きをペロリと完食。
旨かったぁ。まだ5分しか経ってないのか…
朝休みが終わるまで後20分もある
一人だけだと時間が経つのが遅いなぁ
ぼーっと考えていると例の3人が朝早くからやってきた
珍しっ?!ま、俺もか
「え…雨……降る……の?」
「マジやめろよ」
「いやいや、雪が降るんじゃない?」
コイツら来た瞬間から好き勝手言いやがって…
教室に居る俺を見てからレトさん達の表情が急に青ざめどうやら本気で心配しているようだ
「違いますぅー。終業式があるから早く来たんですぅー」
拗ねた俺はいじらしく返答をする
「そんなキャラだっけ?」
「キャラぶれてるよ~」
レトさんとうっしーがケラケラと嘲笑ってきて、それが面白いのかガッチさんは止めさせようとはしてこない
そんなこんなと駄弁っていたらあっという間に時間が過ぎていた
やっぱり4人の方が面白い
ーーー
あれだけ連呼していた「終業式」という行事は目を開けていられるのがやっとで意識が朦朧としていた。
そうすると優しく肩を叩かれる
とんとん
オノマトペで表現したとするならばひらがなの様だ。
肩を叩かれたので隣を見ると
「いつもと逆じゃん」とクスクス笑うレトさんがいた
その一瞬だけで目が自然と覚めてきた。
こんなことでですよ?重症だ。
ーーー
終業式が終わってクラスでは休み時間に入っていた。短い時間で何を話そうかと考えているといい話題が思いついた。
「そういえばさ、皆は好きな人いる?」
「「「急だな」」」
「そんで?」
「うーん。確かにうっしー達の気になるかも」
レトさんが乗り気になった様子で言うと二人は驚いていた
「あれ?ガッチさんと俺の恋愛事情言ってなかったっけ?」
「言ったきがしたけどね~」
訳の分からないことを二人が喋っている。それに気付いたのか、ごめんごめんと説明してくれる。
「俺らね~。彼女いるよ?」
「ええええええええええ?!?!?」
俺は驚きすぎて全フロアに聞こえるレベルで叫んだ。
レトさんは頭の上にハテナマークを浮かばせて必死にずり落ちそうな眼鏡とマスクを押さえつけ、「ん?ん?」と呟いている。
「………うそ?」
「ホントです」
「マジかぁぁ」
クソ…ガッチさんはまだしも、うっしーには負けたくなかった…
仕方なくどんな子かを聞いてみる。まずはガッチさんだな
「そうね~。優しくて、一生懸命な人かな」
続いてうっしーに問いかける
「俺ですかぁ?……気が強いけど、可愛い奴」
なんて幸せそうな顔をしてやがる…リア充め…
「そういえばお二人は?」
ガッチさんが笑顔で聞いてくる
「はいはーい!俺は居るよー!」
先手を打つぞ…!レトさんにもアピールだ!
「おっ、キヨさん。どんな人ですかぁ~?」
「なんかふわふわしてて、馬鹿で毒舌で可愛いけどときどきカッコいい系の人」
「ヒントいっぱいくれましたね~。お次はレトさんっっ!」
しん…と俺らの所だけに冷たい空気が広がる
「…俺は………よく分かんない」
「分かんない?」
「うん。好きかどうか分かんない。」
ハイライトが入っていない切れ長の目で伝えてくる。「その感情は知らない」って
「その人と居るときレトルトはどんな感じになるんだ?」
「楽しい。他の人とはなんか違うしその人と話してると釣り針が心臓に引っかかった感じだよ」
「それはな」
「多分だけど、恋だぞ」
「そっか」
レトさんはあっさりとそのことを受け止めるとまだ喋り続ける
「なら俺、無謀な恋だわ」
「その人はね、どちらかというとカッコいい系なのかな。ときどき犬みたい。あれだよ、モデルみたいな人」
「随分とハードル高い人だなw」
「でしょ?」
表情を一切変えずに上辺だけの声を変えて言ってくる。
そんなことどうでもいい
俺はそれどころじゃない。
胸が痛い。心臓が縄に圧迫されて止まってしまいそうだ。
そうだよ、レトさんは男だ。女を好きになるに決まってる。
あの相談をしたときなんで俺にもチャンスがあると思ったのだろう
吐き気がする
だけど、よく考えろ。
レトさんが幸せに笑ってる所を見たくはないか?
俺はレトさんに言われた同性愛を尊重して自分もまだ愛していたい。
隣で相棒として応援してやろう。
回らない頭でグルグル、カラカラと精一杯考える。
あ、じゃあさ
こうしよう
「レトさん、うっしー、ガッチさん。話は変わるけど…」
「俺と夏祭り行かない?」
隣で応援して、相手の笑顔を出来るだけ見てやって、無謀な恋でもいいから
諦めないで居よう。
自分はなんて卑怯な選択をしたのかなんて分かりきっている
それでも、だ。
ーーー
ツヅク…?
コメント
2件
あぁ………………好き。