テラーノベル
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25時。液晶の明かりだけが、瑞希の部屋を青白く照らしている。
画面の中では、絵名が楽しげに笑い、最近描き上げたイラストを自慢していた。
「見て、瑞希! 今回は光の入れ方を工夫したの。いい感じでしょ?」
いつもなら「最高じゃん!」と即答するはずの瑞希の指が、ピタリと止まる。
視界の端、SNSの通知欄には、瑞希の正体への言葉が並んでいた。
そしてその火の粉は、執拗に絵名のアカウントへも降り注いでいる。
『あんなのと一緒にいるなんて、東雲絵名も同類か』
『幻想を見せられてるだけなのに、バカみたい』
絵名と一緒に食べるパンケーキも、この賑やかな通話も、自分という「毒」が混ざった瞬間に、すべてが腐ってしまう。
「瑞希? どうしたの、黙っちゃって」
「……あはは、ごめんごめん! ちょっと、可愛すぎて見惚れてただけだよ」
嘘をつくたび、胸の奥に「39度の熱」が宿る。
それは恋心なんて綺麗なものじゃない。自分の存在が、一番大切な君を泣かせてしまうという、救いようのない焦燥感だ。
「一緒には居れない……ボクが一緒にいたら、絵名が…」
瑞希は通話を切った後、鏡に映る自分を睨みつけた。
甘い愛の存在証明なんて、ボクには一生手に入れられない。
ならばせめて、絵名がこれ以上汚れる前に、ボクが「最高の悪役」を演じて消えてあげなきゃいけない。
コメント
2件
瑞希ー😭ダメだよーー(泣) 初めて、投稿見たけど凄い✨️