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大学2年・10月。
仁義の大学で文化祭。
「直弥くん!こっちこっち!」
仁義が手を振る。横にいるまりか。
「仁ちゃん、その人?」
仁義「うん!」
「横浜から来てくれたんよ。」
まりかが、「遠いのにありがとう!」
と笑う。
直弥が、ぽつりとひと言。
「……変わるかもしんないけど。」
仁義「え?」
直弥「家。」「出なきゃいけないから。」
仁義「え、直弥くんひとり暮らしするの?!実家だったよね?」
直弥「うん。」「もうすぐ20だから。」
仁義「え!誕生日近いの?いつ??」
直弥「えっと…10月、20、………3? 」
仁義は笑いながら、
「なんで自分の誕生日忘れよん!!」
「おめでとう! 」と返す。
一瞬だけ止まる直弥。
「……ありがとう。」
仁義「なんか食べ行こう!」
直弥「なんで?」
仁義「誕生日じゃん!」
直弥「誕生日って、ご飯食べる日なの?」
仁義「えぇ……。」
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仁義「軽音部のライブ始まるまで暇だからさ、造形学部の展示見に行こうよ。」
まりか「あたし、デザイン勉強してて。」
直弥「…そうなんだ。」「面白そう。」
まりか「面白いよ!自信作あるから。」
そういって促すまりか。
先に仁義が教室に入る。
そこにあったのは、
先月撮った『潮騒』のパネル。
しかもA0サイズ。
海女さん姿のまりかと、上半身裸の仁義。
仁義「…!!!」
「直弥くん。」
「ちょ、ちょっと待って。」
言いながら、パネルを慌てて自分の体で隠す。
直弥「?」
まりか「なんで!?せっかく撮ったのに!」
まりか爆笑。
仁義「見んでええけん!!」
「ごめんけど別ん部屋さき見とって!!!」
直弥「……??」「うん。」
別室へ歩く直弥。
まりか「え?」「ほんとになんで?」
仁義「いや……。」
「ええけん……。」「ごめん。」
パネルを裏返す仁義。
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ライブ終了後。
直弥「ありがとう。」
「音楽のこと、よく知らないけど。」
「まりかさん、上手いと思う。」
まりか「でしょ?」
仁義「そういや話飛んだけどさ、」
「直弥くん、どこ引っ越すの?」
直弥「まだ決めてない。」
「大学通えるところ。」
仁義「じゃあ井の頭線おいでよ!」
「吉祥寺も近いし!」
「遊びやすいし!」
周囲
「いやいやいや!!」
「横浜なんだろ!?」
「大学めっちゃ遠くなるじゃん!!」
仁義「え?」
直弥は少し考えて、
「……そう、だね。」
まりかたち
「そうだねじゃない!!」
「なんで納得しかけてるの!?」
仁義と直弥、2人して「?」という顔。
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文化祭終了後。
機材を片付けながら。
まりか 「……きれいな人だね。」
仁義 「え?」
まりか 「直弥くん。」
仁義は少し照れくさそうに笑う。
「……うん。」
まりか「でも、ちょっと独特っていうか。」
「変わってる。」
仁義「あはは。」
まりか「仁ちゃんによく似てる。」
仁義 「え?」
まりか
「なんかね。」
「ちょっと世間とズレてるとことか。」
「変なとこ真面目そうなとことか。」
「⋯あと、たまにどっか遠く見てる。」
「悪い意味じゃなくて。」
「見てる方向がみんなと違う感じ。」
「そっくり。」
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帰りの電車。
窓の外をぼんやり見ている直弥。
仁義の「おめでとう!」が、
何度も頭の中で反芻される。
ふと思い出す。
子どもの頃。
「今日、誕生日でしょ。」
ケーキにろうそくを一本立てて、
「おめでとう。」と秋が言ってくれた。
ひとり、少し微笑んで心の中でつぶやく。
「(……ありがとう。)」
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文化祭が開けて、平日の軽音部室。
まりかが、教室に置いておいた作品感想ノートの中身を持ってきて音読する。
「『モデルさんイケメンでした!』
『雰囲気がすごい』『網がリアル』。」
仁義「網がリアルって何。」
まりか「漁師の息子だから。」
仁義「そこしか褒められてない。」
まりか「イケメンって書いてある。」
仁義「嬉しくない。」
フジファブリック『会いに』。
コメント
1件
うわあ、文化祭の空気がすごく伝わってくる回でした。仁義の「おめでとう!」に一瞬止まる直弥くん、そこから子どもの頃の秋さんの思い出に繋がるのが胸にきました。まりかが言う「二人ともちょっと世間とズレてて、どっか遠く見てる」っていう分析、めっちゃ納得。仁義と直弥、確かに似てる。最後のフジファブリック『会いに』もタイトルとリンクして、じんわり沁みました。続きが気になります!