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星崎視点
どうやら現場の入りが遅くなったために、
時間を持て余した藤澤さんが膝枕をしていてくれたらしいことを知った。
「膝枕されたいって言ってたから、
ついね?」
イタズラっぽい笑みでそう話してくれる藤澤さんが可愛い。
⋯⋯ん?
ちょっと待てよ。
膝枕ってまさかーーー
『動物性の体温が恋しい。
なんなら膝枕もされたい。
僕だってたまには⋯ベタ甘に甘やかされたいよ』
あれを聞かれていたってことか?
ダサすぎる。
なんて格好悪いところを見られていたのか。
本音は恥ずかしいが、
その優しさがとても嬉しかった。
寧ろまたしてほしいなと思ってしまうくらいには、
寝心地が良い。
こんなわがままなんか絶対に口が裂けても言えないが、
一緒にいられる時間を増やしたいと切望したのは事実だ。
(何で人を好きになるとわがままになっちゃうんだろう)
彼を好きではいたい。
でも困らせたくはない。
そのためにはやっぱり先輩と後輩の一線を超えてはいけない気がした。
きっとその一線を超えたらわがままだけじゃなく、
独占欲や束縛に至るまで依存してしまいそうで、
自分の中に眠る感情が制御できなくなりそうで恐ろしかった。
こんな感情を後輩から向けられていると知ったら、
きっと彼は離れていく。
どうせ離れて行かれるくらいなら、
近づきすぎない距離感でいたほうがいいのだろうか。
どのくらいの距離感がちょうどいいのかわからない。
そんな良からぬことを考えていると、
肩に何かが触れた。
「うわっ!?」
いきなりのことで驚いた僕は、
その場にしゃがみ込んだ。
「久しぶりに会った反応がそれか?」
不満そうな声がした方をみると、
そこには優里さんがいた。
僕の担当ではないため知らなかったが、
彼もこの現場だったのか。
確か会うのは2年ぶりだ。
帰国してからというもの、
こうした現場被りが多いため、
懐かしいというよりも空気のような存在だった。
いつも通りの距離感で肩を抱かれて、
そのまま僕たちは立ち話をする。
そこに次の現場に向かうためか移動する、
藤澤さんらと鉢合わせる。
(やばっ!)
距離を取ろうかどうしようかと考えていた矢先に、
顔を合わせてしまった気まずさから、
僕は思わず目を逸らした。
チラッと一瞬だけ彼の方を盗み見ると、
ひどく傷ついて泣いてしまうのではないかと、
思うほど暗い表情をしていた。
最低だ。
僕が彼を傷つけた。
もう嫌われたな。
「優里さんとは⋯どういう関係なの?」
うっかり他事にでも気を取られていると、
聞き漏らしてしまいそうなほど、
か細い声で彼が僕に聞いてきた。
親密ではないと否定してほしそうな目で訴えてくる。
「仕事上は先輩で、
プライベートでは友人の一人です」
本当にそうだから素直に答えた。
しかしその答えでは気に入らなかったのか、
優里さんが肩を抱いていた手で、
僕の顎を掴んだ。
掴むと言ってもそれほど強い力ではなかった。
どちらかと言えば摘むが近いくらいだ。
そのまま優里さんと顔が急接近する。
そして衝撃的な爆弾発言をしてきた。
「そこは「恋人」って答えるとこだろ?」
「えぇっ!?」
優里さんは僕を時々揶揄ってくることはあった。
これまでは最初から冗談だとわかる程度の悪ノリだった。
でも今回は明らかに違う。
表情は真顔で真剣そのもの、
目にも怖いくらいに気迫が込められ、
とても冗談や揶揄いではないことが分かる。
「優里さん⋯⋯僕相手だからいいものの、
そういうこと誰にでも言わない方がいいですよ」
「全然⋯本気にしないんだな。
この鈍感は」
「鈍感!?
それどういう意味ですか」
僕と優里さんが親密な関係だとは誤解されたくないのに、
何故か態とらしいほど藤澤さんに、
勘違いされるような言い回しをする優里さんに違和感があった。
普段はこんな意地悪な人じゃないのにどうして?
優里さんが何を考えているのか分からない。
分からなくて少し怖いと思ってしまう。
僕はもう完全に居た堪れなさから、
藤澤さんの顔なんて見る余裕すらなかった。
雫騎の雑談コーナー
は〜い!
またまた不穏な空気が流れておりますな。
あ、
ちなみに二人の恋愛模様はこんな感じです。
藤澤さん→好きになると相手に尽くせるだけ尽くして甘やかすタイプ
星崎 →好きになると相手を独占・束縛するほど依存するタイプ
という設定で書いております。
ではサクッと本編行きましょう。
藤澤さんからしてもらった膝枕の心地よさから、
またしてほしいと徐々にわがままになっていく星崎。
しかしそれを知られて、
藤澤さんの負担になりたくないと、
距離を取るべきかどうかで迷い始める。
そんな状況に優里さんの爆弾発言である「恋人」アピールをされてしまう。
次回もお楽しみに〜♪