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藤澤視点
待ち時間が終わって、
僕たちは次の現場に向かうために、
廊下を移動していた。
前方に彼の姿が見える。
それだけで僕は嬉しくなった。
その隣にいる人物に気付くまではーーーー
え?
あれは優里さんだよね?
肩を抱くほどに近い距離で、
彼もそれを振り払わないどころか、
そのまま立ち話をしていた。
彼にはあの距離感が普通なの?
嫌だ。
そんなにも簡単に、
優里さんに触らせないでよ。
やめて。
心が痛い。
僕はドス黒い感情に飲まれそうになる。
「優里さんとは⋯どういう関係なの?」
どうにか絞り出した自分の声は、
優里さんと彼が親密かもしれないという不安や、
彼を取られるという焦りから掠れていた。
僕はそんな言葉にならない思いをせめて、
親密ではないと否定してほしいと目で訴えてみた。
お願い、
僕の気持ちに気づいてくれる?
「仕事上は先輩で、
プライベートでは友人の一人です」
ん?
それは確かに僕が望んだ答えだった。
ただの友人関係?
それであの距離感?
まるで恋人くらいの近さだったのに?
親密さを彼に誤魔化されたようで、
僕がどうにも納得できずにモヤモヤしていると、
優里さんが動く。
彼のその答えを気に入らなかったようで
優里さんが肩を抱いていた手で、
彼の顎を掴んだ。
え?
何をする気?
そのまま自分の方に引き寄せて、
優里さんと彼の顔が急接近する。
キスできそうな距離感で、
さらに衝撃的な爆弾発言をしてきた。
「そこは「恋人」って答えるとこだろ?」
「えぇっ!?」
嘘だよね。
聞き間違えたかな。
今「恋人」って聞こえた?
でも彼の慌てようからしたら、
少し不自然だった。
本当にそうなら照れるはずだ。
どこか彼は焦ったような反応をしていた。
彼が嘘をつくメリットはなさそう。
かといって、
優里さんが嘘をつく必要性がわからない。
何のために?
まるで見せつけるみたいだ。
それでも彼は嫌がるそぶりを見せない。
優里さんの恋人発言は僕への当てつけだろうか。
目をつけられることをした覚えがない。
しかし優里さんの表情は真顔で真剣そのもの、
目にも怖いくらいに気迫が込められ、
とても冗談や悪ノリではなさそうな雰囲気だった。
「優里さん⋯⋯僕相手だからいいものの、
そういうこと誰にでも言わない方がいいですよ」
「全然⋯本気にしないんだな。
この鈍感は」
「鈍感!?
それどういう意味ですか」
やっぱり二人の間には親密さが隠しきれないほどに漂っていた。
果たして本当に恋人関係かどうかは分からないが、
ただの先輩後輩、
ましてや友人関係のみとは思えなかった。
僕じゃただの脇役?
彼の恋人候補にすらなれないってこと?
雫騎の雑談コーナー
いや〜星崎も大変ですな。
自分で書いておきながらなんですが、
巻き込まれ?
もらい事故が多いですね。
んじゃ本編ね。
星崎が優里さんと馴れ馴れしいほどの距離感でいたことに、
当然のように嫉妬する藤澤さん。
そりゃそうですよね。
何でその距離感なの?って、
突っ込みたくなりますよ。
星崎はちゃんと本音で友人だとキッパリ答えて、
関係を否定するものの優里さんは、
それをひっくり返そうとするわけですね。
では何故そんなことをしたのか?
次回は優里さん視点でその理由を明かします。